コロナでアフリカ出身者へ差別激化 中国、批判回避に躍起 2020.4.20

2020-04-21 | 国際/中国/アジア

コロナでアフリカ出身者へ差別激化 中国、批判回避に躍起
  東京新聞 2020年4月20日 夕刊
 新型コロナウイルスへの対応を巡り、中国広東省広州市でアフリカ出身者が差別的に扱われているとの批判が出ている。中国政府は批判の回避に躍起だが、中国国内では新型ウイルスの広がりにともない、外国人、特にアフリカ出身者への反感が高まっている。 (北京・中沢穣)
 四月以降、中国人警官らが黒人をこづきまわしたり、パスポートを取り上げる映像がツイッターなどで広まった。いずれもアフリカ出身者の多い広州市で撮影されたとされ、アフリカ諸国などで中国への非難を引き起こした。
 市当局はアフリカからの渡航者の感染確認が相次いだとしてアフリカ出身の在留者への検査を進める。十四日の発表によると在留者四千五百五十三人のうち百十一人が陽性だった。
 当局は「中国人と同等の防疫措置の一環」と強調するが、アフリカ出身者の多いホテルや飲食店が閉鎖され一部で地区全体が封鎖。最近の国外渡航歴がないのに検査を強要されたり住まいを追われ路頭に迷った人も少なくないもようだ。
 これに対し、アフリカ諸国は十日、「アフリカ出身者への不当な扱い」に懸念を表明した。ナイジェリアなどは現地の中国大使を呼び出して対応を求めた。
 外交関係への影響を恐れた中国政府の対応は早かった。外務省の報道官は十二日夜の声明で「差別を容認しない」と表明し、同省幹部は十三日に北京に駐在するアフリカ諸国の大使と面会して善処を確約した。これを受け、一部の国の政府は中国側の対応を評価する声明を出した。
 しかし中国のSNS上では「黒人がウイルスを広める」などと、アフリカ出身者を目の敵にするような書き込みが絶えない。
 中国では三月以降、感染対策の重点が国内での拡大から国外からの持ち込みに移り、当局は「外国人も防疫措置に従うべきだ」との通知を何度も出している。外国人が特別扱いされているという国民の不満をかわす目的があり、防疫措置に従わない外国人の処分などが大きく報じられている。北京でもオーストラリア人女性が隔離措置に従わず、居留許可を取り消された。
 一方で、もともと根強いアフリカ出身者への偏見が増長するのは野放しとなっている。感染が確認された国外からの渡航者の大部分は中国人の帰国者が占めるが、官製メディアはあまり伝えていない。北京在住の米国人ライター、ジェレミア・ジェイン氏は「中国での外国人差別は、欧米でのアジア系差別ほどひどくはない」と強調した上で、「中国政府も、ウイルス対応の不備から目をそらすため人種差別をたきつけている」と話した。

 ◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です


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