光市母子殺害事件 差し戻し審 被告、遺族と目合わさず 5年ぶり姿 (中国新聞'07/5/25 )

2007-05-25 | 光市母子殺害事件

被告、遺族と目合わさず 5年ぶり姿  (中国新聞)'07/5/25
 光市母子殺害事件で殺人罪などに問われた犯行時少年の男性被告(26)の差し戻し審が二十四日、広島高裁で始まり、被告は無期懲役の広島高裁判決以来五年ぶりに法廷に立った。無期懲役を破棄された差し戻し審がどんな結論を導くのか。傍聴席に詰め掛けた六十人は被告の背中に視線を集中させた。(野田華奈子)
 午後一時半、三〇二号法廷。被告は青と白のチェックの半袖シャツにベージュのズボン姿で現れた。傍聴席の本村洋さん(31)ら遺族と目を合わせなかった。
 弁護側が被告の生い立ちや犯行に至る経緯を話し始めると時折、目を閉じてうつむき、母親が自殺した場面では、上方を仰いで虚空を見つめた。退廷時には弁護士と短く言葉を交わし、本村さんが妻子の遺影を抱いて座る傍聴席に表情を変えることなく一礼した。
 弁護人二十一人のうち十五人が出廷。閉廷後の会見で、安田好弘主任弁護人は「母恋しさ、寂しさからくる抱き付き行為が発展した傷害致死事件。凶悪性は強くない」と主張。犯行当時の被告の精神状態や贖罪(しょくざい)意識などを明らかにし、死刑回避を求める方針を強調した。
 昨年六月の最高裁判決で「被告は罪の深刻さと向き合って内省を深めていると認めるのは困難」と指摘された。が、接見した人たちに「生きて償いたい」と話し、これまで本村さんに謝罪の手紙などを計四通送ったという。気持ちをどう表現するべきか悩む様子を見せることもあったという。
 弁護人らによると、被告は三月から広島拘置所内で一日六時間の労務作業を始めた。初めて得た一カ月分の報奨金九百円ほどを供養代として初めて本村さんに送金した。
 男女二人を殺害し無期懲役を言い渡された男性受刑者が、手紙や報奨金を送り続けた被害者の父親から礼状を受け取った例を知り、その受刑者と文通を始めた影響もあるという。「同じような境遇の人と話すことで、罪に向き合おうとしているのではないか」と関係者はみる。接見した一人は「差し戻し審で本心を見せてほしい」と話した。
.......


4 コメント

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傷害致死の法定刑 (春霞)
2007-06-16 06:39:43
横レス失礼します。法律問題が問われているので、円さんやゆうこさんに代わって、答えさせて頂きます。こちらでDHさんと会うとは思ってもみませんでしたが。

>DHさん
>仮に傷害致死に止まるとすれば、どのような刑が相応しいのでしょうか。一桁の有期刑でしょうか。

(傷害致死)
刑法第二百五条  身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

2人死亡させたので併合罪加重があるとしても、行為当時の刑の上限は15年の有期懲役ですから、3年以上15年以下の懲役の範囲内となります。なので、「一桁の有期刑」の可能性もあることは確かです。

このように傷害致死罪であれば、死刑になる可能性はゼロです。弁護人であれば、傷害致死罪の可能性があるならば、当然、主張するべきです。


>弁護側は精神年齢が12歳程度と主張しているようですから、そもそも刑事責任能力に欠けると見做されるべきなのでしょうか。

知能が未発達な精神薄弱となれば責任無能力(刑法39条1項)となる場合があります。精神年齢があまりに幼いのであれば、限定責任能力(刑法39条2項)として刑の減軽することになります。


>いずれにしても、お二人の命は何と軽いことか、と思います

人を死亡させた場合、客観的な行為態様の違い、殺意があるか否かで殺人罪か傷害罪か異なってきます。条文が異なれば、量刑が異なるのは当然です。法とはそういうものです。

命の重さは、刑法の量刑で決まるのでしょうか? 死刑にしないと命が軽いと思うのですか? 命は、命として尊重するからこそ重いのであって、量刑で決まるものではないと思います。
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訂正お願いします (春霞)
2007-06-22 01:56:28
こちらのコメント及びエントリーで取り上げてくださったコメントともども訂正・修正をお願いします。大変申し訳ありません。

併合罪という扱いによって、その最も重い罪につき定めた刑の長期を1.5倍するのですが、加重の限界は行為当時20年です(刑法14条)。なので、次の「 」内の文章を「→」以下の「 」の文章に訂正します。

「2人死亡させたので併合罪加重があるとしても、行為当時の刑の上限は15年の有期懲役ですから、3年以上15年以下の懲役の範囲内となります。」→「行為当時の刑の上限は15年の有期懲役ですから、2人死亡させたので併合罪加重があるとしても、3年以上20年以下の懲役の範囲内となります。」

文章中の最後の「15年」を「20年」に直すだけでもよいのですが、どうせ訂正するならということで、文章の入れ替えもさせて下さい。宜しくお願いします。
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春霞さんへ (ゆうこ)
2007-06-22 06:20:50
 エントリーは早速訂正いたしました。コメントのほうは、訂正ということはできないので申し訳ございません。gooの場合、「コメント」は、本人にも管理人にもいじれなくて、削除しかないのですね。削除して新たにコメントしますと、日付が変わって、へんなことになっちゃいそう・・・。すみません。

 春霞さんから教えて戴いた太田昌国さんの「弁護士のあり方を通して見る日本と世界の現状」。感動しました。こういう方がいらっしゃる。光明のように感じました。たまたま拙サイト
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/colum10-yasuda.htm
 に重複していましたので、差し込みさせて戴きました。
 いつも春霞さんには感謝です。
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ありがとうございます (春霞)
2007-06-23 23:35:36
>エントリーは早速訂正いたしました。

ありがとうございます。


>コメントのほうは、訂正ということはできないので申し訳ございません
>gooの場合、「コメント」は、本人にも管理人にもいじれなくて、削除しかない

訂正するという、意思表示ができたのでそれで十分です。自戒のためにも「削除」せずに残しておいて下さい。
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