大 波 小 波 国語改革、学会からの批判
2019.9.2 中日新聞夕刊
「すばる」「季刊文科」「文学界」が相次いで特集を組み、文芸の世界で話題となっている国語教育改革について、「文学は芸術なのだから、音楽や美術と同じような選択科目にすればよい」との意見がある。
現在の「現代文B」が「論理国語」と「文学国語」とに分割され、ほとんどの高校が単位数の関係から実質的に「論理国語」だけを採択するだろうと言われる状況で、たしかに生徒が自らの意志で「文学」を選択できる方がまだましにも見える。
しかし、文学が芸術の一種であることは当然のこととしても、広義の文学は字のごとく「学」でもある。音「楽」とはそこが本来的に異なるはずだ。
だからだろう、文芸誌ばかりでなく、学会も声を上げ始めた。8月に行われた日本学術会議の公開シンポジウムでは、文科省の視学官を相手に、壇上からもフロアからも、「文学」と「論理」を分けたことの是非が厳しく問われた。「文学」には「論理」がないかのような安易な2分割だと言うのだ。さらに、日本近代文学会をはじめ実に16の学会が合同で新指導要領を批判する見解を表明。人間をまるごと扱える学問分野としての文「学」からの批判に、文科省はどう応えるのか。
(文学徒)
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
*「文学を軽視」懸念の声 高校・国語の新学習指導要領 2019/8/25
* 「人間」は定義できない。 「文学」で描くしかないのである。 2019/7/1
* 阿刀田高の苦言 高校国語改革「違和感を覚えるのは私だけでしょうか」 『文藝春秋』2019年1月号