秋葉原無差別殺傷事件〈加藤智大被告〉第12回公判2010.6.3検察側の立証終了

2010-06-28 | 秋葉原無差別殺傷事件

秋葉原事件:「地獄」34人が証言 検察側の立証終了
 東京・秋葉原で7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件は8日で発生から2年を迎える。殺人罪などに問われた元派遣社員、加藤智大(ともひろ)被告(27)の裁判は3日の第12回公判で検察側立証がほぼ終了し、次回から弁護側の立証に移る。これまでに34人が出廷し「現場は地獄のようだった」などと証言。自暴自棄になって事件を起こしたとされる加藤被告が、涙を流す場面もあった。【伊藤直孝】
 ◇「絶対許せない」 
 「絶対に許されることではない。だけど、亡くなった人のためにひとつでも良いことをしてほしい」。5月25日の第10回公判。背中をナイフで刺されて重傷を負った男性の妻が証言台から語りかけると、加藤被告は眼鏡を外し、法廷で初めて涙を見せた。証言によると、夫は周囲から中傷を受けたこともあったという。加藤被告は毎回、入退廷の際に傍聴席に向かって頭を下げていたが、この日はショックを受けたのか、礼ができなかった。
 ◇弁護団には批判 
 弁護側は一部の被害者や目撃者の供述調書の証拠採用に同意せず、尋問を求めた。裁判では、証人たちの証言で、事件の生々しい様子が連日再現されている。検察官は現場の地図を示し、証人が被告の動きを書き込みながら証言を続ける。
 弁護側関係者は「捜査で分からなかった新事実が明らかになっている」と説明するが、被害者からは批判の声もある。「家族と父の良き思い出だけを語り合って暮らしたい。法廷で証言するのは傷口に塩を塗られた気分だ」。5月21日の第8回公判。一緒に秋葉原を訪れた父親(当時74歳)が、目の前で加藤被告の運転するトラックにはねられ死亡した男性は、憤まんやるかたない様子で話した。
 ◇極刑求めぬ人も
 被害者の中には極刑を望まない人もいた。下腹部をナイフで刺されて3カ月の重傷を負った30代の女性は、3月11日の第5回公判で被告に「加藤さん」と呼び掛け、「被害者の遺族に死刑を願わせることがどんなに残酷なことか分かってほしい」と訴えた。女性は「被害者と加害者がかかわることが必要」と考え、公判を毎回傍聴している。
 「私にできるせめてもの償いは、どうして今回の事件を起こしたか明らかにすることです」。初公判でそう語った加藤被告は、B5判のノートを持参し、細かい字できちょうめんにメモを取っている。被告人質問は、7月末にも始まる見通しだ。
毎日新聞 2010年6月3日 20時39分

秋葉原事件加藤智大被告謝罪の手紙要旨「同様の事件が起きないよう(公判で)真実を明らかにしたい」2009-11-07 | 秋葉原無差別殺傷事件
秋葉原無差別殺傷事件〈加藤智大被告〉第5回公判2010.3.11〈被害者〉証人尋問 -下-2010-03-11 | 秋葉原無差別殺傷事件 
 検察官「被害直後の周りの様子は覚えていますか」
 証人「はい、覚えています」
 検察官「事件を忘れたいと思いますか」
 証人「いえ、忘れたくないです」
 検察官「それはなぜですか」
 証人「はい、あの場所にいてたくさん亡くなった人がいますが、そういう人はしゃべりたくてもしゃべることができません。何か役に立てることがあれば、覚えていることで役に立てることがあれば…」
 検察官「事件を忘れないようにして、知りたい人に教えていきたい?」
 証人「はい」
 検察官「次に、亡くなられた方などが写った現場の写真を見ていただきます。この写真で車が交差点に止まっていますが、その車の前の人は誰ですか」
 証人「私です」
 検察官「写真に私と書いてください」
 証人「はい」
 検察官「この同じ写真に犯人は写っていますか」
 証人「顔は写ってないのではっきり分からないですが、格好が犯人に似ている人はいます」
 検察官「それを丸く囲んでください」
 証人「はい」
 検察官「走っている白っぽい服の人が犯人ですか」
 証人「そうです」
 検察官「12時33分と記された写真を示します。どういう場面が写っていますか」
 証人「先ほど話した警察官とベージュのジャケットの人が写っています」
 検察官「それぞれを丸で囲んで警察官、犯人と書いてください」
 証人「はい」
 検察官「次の写真に犯人がいたら赤丸で囲んでください」
 証人「少しはっきりしませんが、この人と思うのはいます」
 検察官「次の写真を見ていただくと、犯人の近くにあなたはいますか」
 証人「はい。はっきりと分かりませんがいます」
 検察官「この写真であなたは犯人におなかを刺されたんですね?」
 証人「写真の前後関係からするとそうだと思います」
 検察官「この写真で道路に倒れているのは」
 証人「私です」
 検察官「私と書いて丸で囲んでください」
 証人「はい」
 検察官「最後の写真です。この写真で地面にひざをついている女の人がいますが、これは誰ですか」
 証人「私です」
 検察官「この写真の右に白い手袋と青い服の人がいますが誰ですか。左に倒れてるのは?」
 証人「右は先ほど話した警察官です。左は(亡くなった被害者の)Aさんです」
 検察官「あなたと警察官が助けようとしたAさん?」
 証人「はい」
 検察官「あなたは被告人から手紙をもらい、これまでの裁判も傍聴していますが、被告人に対して何か言いたいことはありますか」
 証人「被告人から見ると(殺傷対象は)誰でも良かったのかもしれませんが、私たちにとっては、私に向けられた悪意です。悪意と暴力を一方的にぶつけられました。あの時にいた人は何が起きているのか分からないまま、意識がなくなり、それでおしまい。分からないまま死んでいきました」
 「謝罪の手紙をもらいましたが、(加藤被告にとっては)自分の心を助けるためには、誰かを傷つけるのはやむを得なかったのかもしれません。しかし、私から見ると被告人は自分にわき起こる強い心に夢中で、本当にかかわるべき人にかかわっていないと感じました。『自分の言葉を分かってほしい』とか、『受け入れてほしい』とか自分のことばかり」
 「私はこの事件を一般化して理解してほしくありません。これは加藤さんが起こした個人的な暴力事件です。被害者や遺族に死刑を望ませたりするのがどんなに残酷なことか分かってほしい。自分のプライドを守るために、私たちの命を利用しているのを分かってほしい」
 「事件が起きたときに、私や私の周りの人を助けてくれる人もいました。自分の身の安全を確保できない時に、見知らぬ誰かを助けるために一歩踏み出してくれた勇気に感謝しています」
 検察官「先ほど声を詰まらせていましたが大丈夫ですか」
 証人「はい」
 検察官「事件を一般化してほしくないとおっしゃいましたが、(初公判で)『(他の人に)同じような事件を起こしてほしくない』と被告人が言っていたことに対して、そう思ったんですか」
 証人「はい、そうです」


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。