「元少年A」から途切れた手紙 神戸連続児童殺傷21年
後藤遼太
2018年5月19日08時00分
1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、小学6年生だった土師(はせ)淳(じゅん)君(当時11)が亡くなってから、24日で21年を迎える。父の守さん(62)は命日を前に、朝日新聞の取材に応じた。当時14歳だった加害者の男性(35)から毎年届いていた手紙は、今年はまだ届いていないという。
「手紙を書くということが、自分が起こした残忍な事件に向き合う唯一の方法であり、遺族との唯一の接点だったはずだ。書き続けてほしかった」。毎年、2~3月に手紙は届いていたといい、「今年はもう来ないでしょう」と話す。
男性は2004年に医療少年院を仮退院した後に手紙を送り始めたが、15年に突如、遺族に知らせずに「元少年A」として手記「絶歌」を出版した。守さんは「遺族をさらに苦しめる、二次加害だ」と強く抗議し、16、17年は手紙の受け取りを拒否した。
男性の手紙を読む作業は、精神的な負担が大きかった。それでも「なぜ淳の命が奪われたのか」を知りたい。それが親の責務と思い、読み続けてきた。
「私が受けとらないことと、彼が書かないことは別。ずっと受けとらないわけではない。何年、何十年かかるか分からないが、彼が自分なりに考える時が来てくれたらと思っていた」。手記の出版で、すべてが台無しになったと感じている。
◎上記事は[朝日新聞DIGITAL]からの転載・引用です
◇ 神戸連続児童殺傷事件から21年 加害男性から、今年は命日前の手紙届かず 2018/5/3
-------------------------
◇ 『絶歌』元少年A著 2015年6月 初版発行 太田出版 (神戸連続児童殺傷事件 酒鬼薔薇聖斗)
------------------------------------
◇ 神戸連続児童殺傷事件から20年 加害男性(元少年A)父母「たまに連絡が入る。『絶歌』に涙止まらず」 神戸新聞インタビュー 2017/3/26
-----------------------------
◇ 【ぬぐえぬ影 連続児童殺傷20年】《酒鬼薔薇聖斗くん32歳の誕生日おめでとう♪》殺人願望、元少年Aの影響色濃く