日本郵政の収益構造の改善は大きな課題 郵貯の自主運用も、8割を国債に依存する異常な状態のまま

2009-10-21 | 政治
【日本郵政】改革「後退」、新日本郵政どこへ
産経ニュース2009.10.21 21:48
 鳩山政権の強力な後ろ盾を受けてスタートする「新日本郵政」だが、民営化を前提に分割経営を模索してきた事業体制を、再び「3事業一体サービス」に巻き戻すのは容易ではない。4分社化による縦割りサービスは、全国で利用者の利便を損ない、「民営化の弊害」と揶揄(やゆ)されてきた。だが、ベクトルを再び、一体経営に向かわせるためには、組織やサービス体制よりも、逆の価値観を踏み絵にされる社員のモチベーション回復が求められる。
 大蔵省(現・財務省)事務次官を経て、現在は、東京金融取引所の社長を務めている斎藤氏は、次官時代から、政治家に一歩も引かずに持論を展開する豪腕ぶりから「10年に1人のスーパー次官」などと評価された大物官僚だ。
 金融デリバティブ商品を専門に扱う東京金融取引所社長としても、外国為替証拠金取引(FX)の規制導入に強く反対するなど、市場関係者から煙たがられる存在だった。
 その辣腕(らつわん)ぶりは、「霞が関を背負って立つ官僚」の姿がだぶって見える。斎藤氏は21日の会見で、「私の中では、元官僚の意識はない」と強調したが、斎藤氏を迎える日本郵政内では、「元大蔵官僚とは驚いた。官僚と、経営者としての手腕は違う」(グループ会社幹部)と困惑も広がる。
 日本郵政の収益構造の改善は大きな課題だ。平成21年3月期連結経常利益は8305億円を計上したが、4千億円近くを稼いだゆうちょ銀行依存の構図は変わらない。郵便の取扱量、郵便貯金の残高、簡易保険の契約数とも長期的な減少傾向が続く。
 一方、財政投融資の預託義務が廃止された郵便貯金の自主運用も、8割を国債に依存する異常な状態のままだ。有価証券や住宅ローン解禁など運用先の多様化を模索しているが、元大蔵官僚という国債を売る立場から買う立場に転じる斎藤氏が、どのような解決策を打ち出すか、市場は注目している。
 日本郵政は28日の取締役会で西川善文社長が辞任し、指名委員会、臨時株主総会を経て斎藤氏が社長に就任する。
 斎藤新社長の下で新たな経営体制づくりが始まるが、霞が関という世界では高い評価を受けた斎藤氏が、大きく方向を変える巨大組織をどうかじ取りしていくか。新生日本郵政は、新政権とともに、日本経済の試金石になる。

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