国家安全維持法によって、中国政府の統制が強まった香港で--- 2020.7.21

2020-07-21 | 国際/中国/アジア

中日春秋 
 2020年7月21日 
 本を見つけては焼きつくすことを職業にしている男が熱弁を振るう。<みんな似たもの同士でなきゃいけない…本が一冊あれば、それは弾をこめた鉄砲があるのとおなじことなんだ。そんなものは焼き払え>。作家ブラッドベリの小説『華氏(かし)451度』である
▼ユートピアと逆の絶望的な世界をえがく「ディストピア小説」として名高い。似たもの同士の世界を乱す本が禁制品となった近未来をえがき出している
▼焼き払われたわけではないが、何種類かの本が図書館の本棚から消えたそうだ。国家安全維持法によって、中国政府の統制が強まった香港で小説の暗い社会を思わせる不気味な出来事が進んでいるようだ
▼閲覧が禁じられたのは民主派らの著作という。学校の図書が見直されるとも報じられている。科学技術によって人の管理が行われ、介入が頭の中にまで及ぶ。そんな社会がディストピアの物語のひとつの典型だが、そこに近づいているように思えてならない
▼香港では、言論への取り締まりを恐れ、白い紙を掲げて抗議する運動が起きた。参加した一人が、メディアに古いジョークを語っていた
▼かつてのソ連で、白紙のちらしを配った人物が逮捕された。捕まえた当局者が言う。「何を書きたかったか私が知らないとでも思うのか」。思想を取り締まる社会を風刺したジョークは、笑えなくなっているようである。 

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です


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