高速道路無料化の経済効果=国交省、民主党に有利な試算結果のため?公表せず

2009-09-06 | 社会

高速無料化の経済効果 国交省、一転試算認める
asahi.com 2009年9月6日5時5分
 高速道路を無料化した場合の経済効果について国土交通省が2年前に試算を行っていたことが明らかになった。一般道の渋滞が解消されることなどから、直接の経済効果を2.7兆円と見込んでいる。これまで政府は「試算は存在しない」として隠してきた。民主党の公約に有利な結果だったため、公表しなかった可能性がある。
 試算は07年度に国交省の国土技術政策総合研究所が実施した。政府が08年度以降に検討していた高速料金値下げの影響を調べるためだった。だが、政府は国会答弁や質問主意書への答弁書などで高速道路無料化の経済効果に関する試算について「国交省が取りまとめたものは存在しない」などと存在を否定してきた。
 朝日新聞の取材に対し、同省道路局は試算の存在をこれまで認めてこなかった理由について、「『検討段階』だったため」と説明している。
 朝日新聞が入手した資料によると、「3割引き」「5割引き」「10割引き(無料)」の3パターンについて経済効果や渋滞予想区間を詳細に調べている。無料の試算は、首都高速、阪神高速を除く高速道を無料化した場合のもので、民主党公約と一致する。
 経済効果は、(1)走行時間の短縮(2)燃費など走行経費の減少(3)交通事故の減少、の三つの効果を、国交省の基準に基づき金額に換算した。
 高速道自体の経済効果は、渋滞増加などで年間マイナス2.1兆円となるが、車が流れやすくなる一般道が4.8兆円のプラスとなり、差し引きで「2.7兆円の効果が生じる」とした。利用者の料金負担の軽減分などを加味した別の計算方法では、経済効果は7.8兆円に達した。
 高速道と並行する国道の通行量が減ることで二酸化炭素(CO2)排出がどれだけ減るかも試算したところ、割引前の1.8%減にあたる310万トンの削減となった。ただ、高速道の通行量が増えたり、鉄道やバス利用からマイカーに切り替えたりすることによるCO2の増加量は試算しておらず、差し引きのCO2の増減効果は不明だ。
 無料化した後の高速道の混雑度についても予測。通行量が道路の許容量をオーバーし、慢性的に激しい渋滞が起きやすい「混雑度1」を超える区間は高速道全体の21%にあたる1580キロとなった。広域で渋滞が起きると予測されているのは東京外環道、東名高速、名神高速、東名阪道など。東北や北陸、四国などは混雑度は低いものの、地方の中核都市周辺や2車線の道路は混雑が予想されている。
 民主党はマニフェスト(政権公約)の目玉に高速無料化を掲げ、10年度から段階的に実施する方針を打ち出している。これに対し国交省は総選挙前まで高速道無料化について一貫して反対してきた。選挙後は「新しい大臣の指示をいただいて検討する」(谷口博昭事務次官)としている。(津阪直樹)
     ◇
 〈民主党の高速無料化公約〉 高速道路の通行料金を都市部を除き、原則無料にする。渋滞が見込まれない地方部を中心に10年度から段階的に実施し、12年度から「完全実施」としている。物流コストを減らして物価を下げることや、地方経済を活性化させることなどが目的。無料化後、高速道路の建設費用は税金で賄うとしている。無料化は、03年の衆院選から政権公約に盛り込んでいる。
..................................................................................
新S. くらべる一面 「編集局から」
朝日新聞
 政権交代で注目される高速道路無料化で特報です。国土交通省が無料化の経済効果を2.7兆円と試算していることがわかりました。国会では「試算は存在しない」と答弁していましたが、隠していました。民主党に有利だったため公表しなかった可能性があります。無料化に対しては世論の支持は低く、マニフェストに掲げた民主党の対応が焦点です。利用者の関心も高く、尾を引くテーマです。新政権の人事も進んでいます。(磐)
日本経済新聞
 G20の財務相・中央銀行総裁会議が日本時間5日深夜に終了しました。景気刺激策の継続で合意、出口戦略は慎重に臨むべきというのが各国の共通認識です。金融機関の幹部への報酬制限では巨額報酬を抑制する指針を策定することで合意しました。出口が見えないままどこまで報酬制限、自己資本規制などの規制強化に踏み込むべきなのか。各国に温度差もあります。4面の連載「大収縮」で危機が規制の枠組みを変えてきた歴史、政治とのせめぎ合いの現状を紹介しています。(岡)
読売新聞
 次期民主党政権の副総理兼国家戦略相に菅代表代行、外相に岡田幹事長が内定し鳩山体制の主要人事が固まりました。政府は鳩山代表(次期首相)を菅氏と官房長官に内定している平野党役員室担当が中心になって支え、党務、国会運営は幹事長に内定した小沢代表代行が担うことになりました。菅氏が担当する国家戦略局は国会議員ら約10人の構成で当面「準備室」としてスタートすることになります。1面などで伝えています。(正)


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。