【裁判員裁判】来年続々の控訴審「高裁は検証を」
産経ニュース2009.12.28 01:15
裁判員裁判の控訴審は、プロの裁判官だけで審理が進められる。今年の裁判員裁判の控訴審は、制度適用第1号となった東京都足立区の隣人女性殺害事件1件のみで、東京高裁は裁判員らが導いた懲役15年(求刑懲役16年)を支持した。
プロの裁判官だけが審理に参加する控訴審が、裁判員裁判の結論をどう扱うかは、制度導入前から議論があった。その課題を考えるひとつの指針は、最高裁の司法研修所が昨年11月に公表した報告書だ。
報告書は裁判員裁判の1審に対し、控訴審は「できる限り尊重すべきだ」と指摘した。裁判員第1号事件に対する東京高裁の判断は、この報告書の趣旨に合致したものだったといえるだろう。
ただ、法曹関係者からは、報告書への批判もある。ある高裁裁判官経験者は「裁判員らの結論が妥当だったかを含めて、高裁なりに検討する必要がある。制度の適切な検証には必要なことだ」と指摘する。
裁判員裁判の判決はすでに100件を超え、平成22年には控訴審も本格化していくことが予想される。今後、各高裁が裁判員の判断をどのように検証していくのかが注目される。