狂言「三本柱」「舟船」「武悪」

2016-11-19 | 本/演劇…など

三本柱(さんぼんのはしら) 
登場人物/果報者・太郎冠者・次郎冠者・三郎冠者  上演時間/約25分
 果報者は三人の召使いを呼出し、普請(自宅の新築)のためあらかじめ用意しておいた木を、山から運んで下ろすよう命じます。ただしそれには条件があって、「三本の柱を、三人の者が、二本ずつ持って戻る」という事です。山に到着した召使い達は、この難問を試行錯誤しながら解いていき・・・。
 狂言では召使い(太郎冠者など)が登場する場合、任務が失敗に終わる演目が多いものですが、本曲では召使いの数学的知識や任務遂行の実直さなど、主に対する忠誠心が伺えます。
 また新築を扱った目出度い演目ゆえ、舞台披き(杮落し)などに起用される事も多く、名古屋能楽堂の開館や本丸御殿起工式典でも上演されています。

 ◎上記事は[狂言共同社]からの転載・引用です 
--------------
舟船(舟ふな)
 よみがな「ふねふな」 ※大蔵流山本家・和泉流では「舟ふな」
*登場人物
 •太郎冠者(シテ)
 •主人(アド) 
*あらすじ
 この頃はちっとも出かけていないという主人が(※狂言記では殿となっている)、太郎冠者にどこかよい所はないかと聞くと西宮(兵庫県西宮神社)が風光明媚で良いのではないかといって早速出かけていく。途中、神崎の渡しにさしかかり、舟を呼ぶ太郎冠者が「ふなやい」という。
 主人はなぜ「ふね」といわないのかと怒り出す。
 すると太郎冠者は、「船着き場(ふなつきば)」とはいうが「ふねつきば」といわないと言うが、主人は「ふねつきば」だと言って譲らない。
 太郎冠者は古歌にも「ふね」というではないかと古歌をひく、対して主人も「ふね」といっている古歌をひくが、どうにも太郎冠者の方が古歌をどんどん出してくる。形勢が不利になった主人は謡いもあるぞといって「山田矢橋の〜」と謡を出すが、実は最後が「ふな人もこがれ出らん」と謡うものでそれを太郎冠者に指摘され、とうとう堪忍袋の尾が切れて、叱り留めでおわる。
*参考注釈
•以下に太郎冠者が狂言記で引いている古歌を引用。
 ふな出してあとはいつしか遠ざかる須磨の上野に秋風ぞ吹く(能「経盛」に類歌あり) ふな人は誰をかうとかあふしまのうら悲しげに声の聞ゆる(源氏物語・能「玉鬘」にも)
 ふなぎおふ堀江の川の水際に来居つつ鳴くは都鳥かも(万葉集・能「隅田川」「船橋」にも、作は大伴家持)
•以下に主人の引いた古歌を引用。
 ほのぼのと明石の(が)浦の朝霧に嶋隠れ行ふねおしぞ思ふ
 ※ 古今集・能「草子荒小町」などにも人丸の歌だが、主人は二度も本歌を引用。かっこかき部分だけかえて、猿丸の歌などといっている。
•主人が謡ったのは能「三井寺」の一説
 山田矢橋の渡船の 夜は通ふ人なく共 月の誘わばおのづから 船(ふね)もこがれて出づらん ふね人もこがれ出らん
•上記の謡いのさいごで、「ふ」と主人がためらう演出の流派もある。

 ◎上記事は[KWP 狂言wiki化プロジェクト]からの転載・引用です 
--------------
武悪(ぶあく)
あらすじ
 不奉公者の武悪(ぶあく)を討つよう主人に命令された太郎冠者は、やむなく同僚の武悪をだまし討ちにすることにしますが気づかれてしまいます。事情を知って覚悟を決めたものの嘆き悲しむ武悪を見て、冠者は太刀を振りおろすことができず、武悪の命を助け遠くへ逃げるよう指示します。武悪を討ったという嘘の報告を聞いた主人は、太郎冠者を連れて都の東山へ出かけ、一方の武悪は、命が助かったのは清水寺の観世音のおかげだからとお礼参りに向かいます。鳥辺野(とりべの)の辺りで両者が鉢合わせてしまい、冠者の入れ知恵で武悪は幽霊になりすまします。武悪の幽霊が出たと聞いた主人は急に怖気づきます。そこで武悪は、あの世で主人の父親に会い、息子から太刀や扇を受け取ってくるよう頼まれたと言い、太刀などを取りあげます。さらにあの世へ連れてくるようにと伝言されたとおどし、言い逃れしようとあわてふためく主人を追い込みます。

 ◎上記事は[文化デジタルライブラリー]からの転載・引用です 
――――――――――――――――――――――――
2016年11月26日 14:00~ 第15回狂言三の会 ~十四世野村又三郎斯道40周年記念~ 名古屋能楽堂
狂言「三本柱」「舟船」「武悪」
 野村又三郎、野村信朗、松田高義、野口隆行、奥津健太郎、伊藤泰、伴野俊彦、藤波徹、奥津健一郎
 日時:2016年11月26日
 会場:名古屋能楽堂
 住所:愛知県名古屋市中区三の丸1-1-1 電話:052-231-0088
開場:13:45 開演:14:00

 ◎上記事は[野村又三郎家]からの転載・引用です


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。