「シナ」と呼ぶことが憚られる世の中 なぜ日本で「支那」が憚られるも海外で「China」がOKか 2017/1/1 

2017-01-02 | 国際/中国/アジア

なぜ日本で「支那」が憚られるも海外で「China」がOKか
 zakzak 2017.01.01
 英語で中国のことを「China」と呼ぶにもかかわらず、「シナ」と呼ぶことがはばかられる世の中になっている。評論家の呉智英氏が、なぜ日本では「中国」と呼ぶことが強制されるようになったのかについて解説する。
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 沖縄における機動隊員の「土人」「支那人」発言がジャーナリズムの一部で今も批判の的となっている。しかし、よく観察してみると「土人」批判が中心となり「支那人」批判は勢いを減じている。「支那人」批判が論理的に成り立たないと気づきだしたのだろう。「東シナ海」も「インドシナ半島」も、これらジャーナリズム自身が使っているのだから。
 「支那」「支那人」が禁止され、「東シナ海」「インドシナ半島」(支那かシナかは、単なる用字の違い)が許されている矛盾に気づけば、真実は容易に分かる。これは国家権力による言論抑圧なのである。
 敗戦期の1946年、連合国占領下の言論統制策の一環として、原爆の被害報道や米兵の犯罪報道などとともに「支那」使用が禁止されたのだ。同年六月の外務省局長通達が、この言論弾圧の法的根拠である。その文書の中に、「東支那海」などは可とあるから、これらは許されているのだ。
 では、支那は、なぜ日本に「中国」を強制したのか。支那が世界の「中心の国」であり、日本(朝鮮やベトナムも)はその属国だと認めさせたいからだ。「中華思想」「華夷(かい)秩序」である。しかし、イギリスやフランスやドイツに、支那は世界の中心だからChinaではなくCentral Landと呼べとは言えない。それ故、欧米では「支那」が通用している。
 夷(えびす)として差別されている日本人が、嬉々としてこれを受け容れ、この差別を批判する人たちを差別者であると誹謗する。歪んだ“正義”が言論界を支配している。
 昨年、米大統領選で勝利したトランプのもとへ安倍首相が真先に駆けつけた。これを「朝貢外交」だと、愚かな言論人たちは批判した。安倍総理の行動は、適否は別として、外交技術の範囲内だ。朝貢外交を批判するなら、支那を「中国」と呼ばせることをまず批判すべきである。朝貢外交は華夷秩序の下で行なわれる。
 こんな異常な言論空間が70年も続き、さまざまな場所で「支那」狩りが行なわれてきた。C・H・ビショップ文、K・ヴィーゼ絵の絵本『シナの五にんきょうだい』の絶版事件もその一例である。
 原著は1938年刊。日本では1961年福音館から石井桃子訳で刊行された。内容は、ユーモラスなホラ話である。支那の五人兄弟は、それぞれ海の水を飲み干すなどの超人的な特技を持っているが、それ故に死刑になりそうになる。しかし、その特技によって助かる。子供が喜びそうな創作おとぎ話である。ところが、1970年代、「シナ」が侵略的で差別的だという理不尽な非難が起き、1978年に絶版に追い込まれた。
 その後も復刊を望む声が多く、1995年、瑞雲舎から新訳が出て重版が続いている。書名は『シナの五にんきょうだい』のままだ。福音館は何におびえて絶版にしたのだろう。周囲の出版人、言論人は何を考えていたのだろう。新訳の訳者は川本三郎である。川本も一つぐらいはいいことをしている。
<筆者プロフィール>
くれ・ともふさ
 1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。
 ※週刊ポスト2017年1月1・6日号

 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖


3 コメント

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うーーん (あやか)
2017-01-04 19:23:25
私たちの世代にとっては、チャイナの呼び方の問題は、とても難しくわかりにくい問題です。
ただし、昔は「支那」といいかたをしてたのに、いつのまにか、それがいけなくなって「中国」と呼ばせられるようになった事実は、私たちにも、なんとなくわかります。
英語では、チャイナと呼び、フランス語では、そのものずばり、シーナと呼んでるのに、なぜ
日本人が支那とよんではいけないのか?ーーこの質問に納得できるような答えができる人はいないでしょう。
ただし、年長者のかたにお聞きしますと、昭和30年代のころは、まだ「支那」の言い方はかなり残っていたらしいです。また、共産党の中華人民共和国を呼ぶ際には「中共」という呼び方が一般的だったそうです。ですから、当時は「支那」「中国」「中共」という呼び方が、混在し、かなり任意に使われてたらしいです。
もちろん、今の時代に戦前のような「支那」の呼び方をすべて一律に復活するのは無理だと思います。けれども、支那のいいかたを、禁止表現にするのは、絶対におかしいです。
せめて、昭和30年代の、比較的、表現の自由があった時代にもどして欲しいです。
特に私が許せないのは、原著書に「支那」とかいてあるのにわざと「中国」に修正してるケースです。例えば、江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」ですが、原本には「支那」「満州」と
書いてあるのに、その部分を「中国」「中国東北部」と改められてるそうです。許せないことです。
ちなみに、私は、古本屋さんが大好きですが、それは時代の風潮に超然とした、貴重な知識を
得ることが出来るからです。
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謹賀新年 (あやか)
2017-01-04 19:28:53
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
※今日は職場の、仕事はじめの発会式で、私は振り袖姿で手拍子を打つ役をしました。。。
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Unknown (ゆうこ)
2017-01-04 20:47:48
 コメント、ありがとうございます。本年も、よろしくお願いします。
 東京株式市場の大発会の様子、ニュースで見ました。振り袖姿の女性、続いて麻生金融担当相が鐘を打ち鳴らしていました。お正月の真新しい気分に浸りました。いいですね。
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