【金曜討論】「国防の義務」 葛城奈海氏、田嶋陽子氏
産経ニュース 2012.9.28 07:35
世界の多くの国では憲法に軍隊の規定があるだけでなく、兵役や国防の義務が明記されている。日本では憲法9条を改正して自衛隊を軍隊と規定すべきだとの声が高まりつつあるが、国民生活を維持するための国防の義務はどうあるべきかが次の問題として浮上してくる。元法政大教授の田嶋陽子氏と、キャスターで予備自衛官の葛城奈海氏に見解を聞いた。(溝上健良)
◇
≪葛城奈海氏≫
■成人前に男女とも必要だ
--9条改正をどう考えるか
「いまだに自衛隊では軍手を手袋、行軍を行進と言い換えるなど世間に気兼ねしている。改正して自衛隊は国軍とすべきだ」
○国民意識が芽生える
--国防の義務については
「盛り込むべきだ。今の日本人は日本国民であるとの意識が希薄な人が多い。国に何かを期待するだけでなく、日本国の一員として国に何ができるか考えてほしい」
--どんな形がいいと考えるか
「自衛隊の新入隊員訓練のような3カ月程度の訓練を男女に関係なく、成人への通過儀礼として導入することが考えられる。軍隊でなくても警察、消防、ボランティアなど、公のために奉仕することを体験させるべきだ」--一歩進んで、徴兵制も憲法で規定すべきだと考えるか
「どちらかといえばあったほうがいいと思う。以前のドイツ(昨年まで徴兵制があった)のように軍隊と代替役務を選択できるようにすればいいのではないか」
--代替役務のあり方は
「警察、消防、福祉業務などの選択肢がありうるが、国防を第一義に考えてほしい。戦後『人命は地球より重い』ということが言われてきたが、本来の日本人の価値観ではないはず。命より重いものがある、それが公であり、そのために命を捧(ささ)げることは美しいとされてきた。国家の背骨となっている憲法を、自分たちの手で日本らしい姿に戻すことが大事だ」
--世界的には軍の少数精鋭化で、徴兵制は減りつつある
「たしかに仮に日本で徴兵制を導入した場合、第一線の隊員を訓練の教官に取られてしまい戦力的にマイナスになるとの声もある。一方で徴兵制があれば、民間企業にありがちな国防への無理解もなくなるだろう」
--国防の義務、徴兵制というと反対の声も出てきそうだ
「軍国主義国家になる、との声がありうるだろう。ただ個人や家庭でも、意見の合わない相手がいたとして口論で済めばいいが暴力に訴えられたときに、対抗できる自分の力を備えていなければ相手のなすがままにされてしまう。戦後教育を受けてきたらそういう考えになってしまうのは分かるが、万一の事態に備えるべく、そろそろ現実を直視してほしい。そうでないと国が滅びかねない」
○合宿生活が重要だ
--国防の義務があれば、若者の教育上も効果があると考えるか
「日本では少子化が進み、幼い頃から個室を与えられる者も増えており、軍隊などの集団生活で、自分を律しつつ心身を鍛える意義は大きい。『若い時の苦労は買ってでもしろ』という。若者が心身の逞(たくま)しさを取り戻せば、それが国の自立にもつながるはずだ」
◇
≪田嶋陽子氏≫
■憲法に入れるかは熟考を
--9条改正をどう考えるか
「9条は絶対に手を触れてはならない日本の宝物だ。現在の自衛隊は法で規定したこと以外はできないが、仮に軍隊化されれば法で禁止されていること以外は何でもできるようになってしまう。自衛隊という名前はそのままに、災害緊急援助隊的な役割でならどんどん海外に出て活動していい」
●「国防」は避けて
--国防の義務については
「若者のための修業期間を人為的につくるのはいいと思うが『国防』という言葉には違和感を覚える。国防というと変にナショナリズムを刺激しかねないし、拡大解釈も怖い」
--かつてのドイツは徴兵制がある一方、消防や介護などの代替役務を選択することもできた
「私がイギリス留学中に出会った北欧出身の若者たちは、大学入学が決まった後、海外で1年間の国際協力をするなどしてから進学していた。それが義務とのことだった。日本も大学に入る前に1年、消防隊や自衛隊や介護の分野、あるいは海外ボランティアなどを義務づけてもいいと思う」
--民間役務ならあっていいか
「なぜそれが必要か理論付ければ、あってもいい。保育も含め賃金の低い領域に、若い人が入って苦労してもらい、厳しい人間関係の中で自分を鍛えるということは課していいかもしれない」
●徴兵制は時代錯誤
--消防や介護などの現場で若者が集団生活を送ることについて
「いいことだと思う。介護なら人間のいろいろな面が学べるし、消防なら人間の生き死にが関わってくる。ただ徴兵制は時代錯誤であり、不要だ」
--徴兵制について海外では、男性のみに課される国が多い
「本質的に男が作った軍隊システムに女が入っていくのは無理がある。軍隊でも日常生活の延長で、仕事は性別役割分担になりかねない。また女性が前線でどんどん死んだら子供を産む人がいなくなってしまう。女性の兵役は任意というスイスのような方式は評価できる。いずれにしても、私は徴兵制には反対だ。徴兵制廃止は世界的な流れでもある」
--民間役務を義務とするなら男女ともにすべきか
「男性に限る理由はない。その場合、能力に応じた適材適所にすべきで、性別役割分担にならない方向がいい。それにしてもなぜ今、民間役務が話題となるのか」
--今後も巨大地震が想定される中、訓練された若者をすぐ投入できるようにとの提案がある
「それは名案だ。ただ若者に限定する必要はない。誰でも訓練を受けられるシステムがあるといい。ただしそれを憲法に盛り込むのかは、よく考えたほうがいい」
◇
【プロフィル】葛城奈海
かつらぎ・なみ 昭和45年、東京都生まれ。42歳。東大農学部卒。女優、キャスターとして活動し、北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」でアナウンスを担当。日本の自然、尊厳を守る民間団体「やおよろずの森」代表。予備陸士長で、予備役ブルーリボンの会広報部会長を務める。合気道五段。
【プロフィル】田嶋陽子
たじま・ようこ 昭和16年、岡山県生まれ。71歳。女性学研究家。津田塾大大学院博士課程修了。法政大教授をへて、平成13~15年に参院議員(社民党→無所属)。近年はシャンソン歌手としても活動している。著書に「女は愛でバカになる」「田嶋陽子の我が人生歌曲」など。
=========================================
◆ 「憲法9条」櫻井よしこ氏 福島瑞穂氏/核を巡る世界情勢が大きく変わっている中で日本だけは取り残され 2012-08-31 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
【金曜討論】「憲法9条」 櫻井よしこ氏、福島瑞穂氏
産経ニュース2012.8.31 07:40
北方領土、尖閣諸島、そして竹島…。近隣諸国がわが物顔で日本固有の領土を侵食するなか、改めてクローズアップされているのが憲法9条の存在だ。“平和憲法”の名の下に、戦力の不保持を明記した条文を抱えたまま祖国を守れるのだろうか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏と、社民党党首の福島瑞穂氏に考えを聞いた。(内藤慎二)
◇
≪櫻井よしこ氏≫
■改正せずは国民への背信
--9条について
「最も速やかに改正しなければならない。最大の理由は自衛権が明記されていないことだ。私の試案では『日本国は自らの独立と安全を守り、国民を守るため国防軍を持つ』と明記した」
○中韓露は公正なのか
--9条の理念で他国から国土を守れるか
「憲法の前文と9条は一体だ。前文には『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』とあるが、中国、韓国、ロシアの公正と信義は一体どこにあるのか。3国の動きを見る限り、前文と9条は国民に対する責任放棄で背信以外の何物でもない」
--戦後、「9条を守れば外国から攻撃されない」と訴える政治家も少なくなかった
「その種の意見を政治家が口にすれば国際社会の笑いものになる。政治家の責務は日本国民の命、領土・領海、いわゆる国益を守ることだ。相手が攻めてこないとの前提に立って、対策を講じないのは知的怠惰の極みだ」
--尖閣はどう統治すべきか
「警察官や研究者らを常駐させて目に見える実効支配を実現し、周辺の海の警備は海上保安庁が担うべきだ。自衛隊は少し離れた海上にいて、緊急事態のときに速やかに対応できるようにする」
--9条が戦後の日本人に与えた影響は
「自衛隊や軍備の話題になるだけでおどろおどろしい印象を抱く人が少なからず生まれてしまった。日本人の『責任ある人間として生きる道』が否定されて、本来とは異なる人種になってしまったような気がする」
--国防は「米国頼み」の印象が強い
「何か起きれば『自分が解決するにはどうすべきか』を論ずるより前に『日米安保条約は適用されるのか』と問う。一方、『オスプレイは嫌だ』『基地は無くせ』と主張する。卑劣で身勝手すぎるのが心配だ」
○核武装論議も避けるな
--あるべき国防論議とは
「今は反原発運動が盛んだが、核武装に至るまで議論は避けるべきではない。テロリスト勢力にも核兵器が渡る可能性がある時代に生きていることを、われわれは認識しなければならない。『究極の生き残り』のために国家はあらゆる手法を考えるべきだ」
--日本人は自衛意識が低いとの声もある。韓国のように徴兵制を取り入れるべきか
「憲法に『公に尽くす義務』を盛り込むべきだ。数年間他者のために、公のために、日本のために尽くすことを義務付ける。それは自衛隊、消防隊、海保、福祉の現場、なんでもいい」
◇
≪福島瑞穂氏≫
■尖閣で自衛権行使は疑問
--9条の意義とは
「9条がなければ戦争ができる国になっていた。韓国の若者がベトナムに従軍したように日本も戦地に若者を送ったはずだ。韓国軍はベトナムで憎まれている。戦後の日本が戦争で人を殺さなかったことは誇ってよい。日本が今後、米国の利害に引っ張られて戦争への加担を強いられたときに、『NO』と断れるのが9条の効用だ」
●9条守れば攻撃されず
--他国からの攻撃にはどう対応するか
「9条で『世界を侵略しない』と表明している国を攻撃する国があるとは思えない。攻撃する国があれば世界中から非難される」
--中国政府に尖閣諸島を侵略される可能性はないか
「尖閣は民間人の所有だ。侵略は所有権侵害にあたり、領土侵犯に当たる。今(7月27日現在)のように経済的に両国の関係が密接ななか、中国政府は戦争という手段が取れるだろうか」
--尖閣に自衛隊を常駐させる案が浮上している
「問題をこれ以上緊迫させるべきではない。尖閣は日本の領土であることは間違いない。日本には海上保安庁もある。自衛隊を置く必要はない」
●海外派遣は違憲状態
--尖閣が攻められたとき、自衛隊を派遣することは自衛権の行使に当たるか
「刑法で正当防衛を認めているように日本にも個別的自衛権はある。四国や九州が攻撃されれば反撃は許される。しかし尖閣は人が住んでいない。個別的自衛権や9条の問題というより領土をめぐる問題として冷静に対処すべきだ」
--具体的には
「国際的な交渉の舞台で解決を図るべきだ。侵略を未然に防ぐ外交努力も必要だ」
--閣僚時代に自衛隊の憲法上の位置付けについて「合憲」との認識を国会答弁で示した
「社民党は自衛隊の存在について合憲か違憲か答えていない。外国にまで派遣できる状況は『違憲状態』と考えている。組織改編や規模の見直しは必要だ。ソ連崩壊後の北海道に今ほどの数の戦車を置く必要はあるのか。任務も災害救助などに比重を移すべきだ」
--村山富市政権時に党は「合憲」と打ち出していた
「自衛隊、安全保障に関する党の見解は平成18年にまとめた社会民主党宣言で整理した。今もその見解が維持されている」
--平和への思いを
「父は特攻隊の生き残りだった。子供の頃、終戦記念日に涙する父の姿を見た。戦争で傷つくのは父のような庶民だ。戦争に負けて手にした平和憲法や、戦争はしないという誓いは大切にしなければならない」
◇
【プロフィル】櫻井よしこ
さくらい・よしこ 昭和20年、ベトナム生まれ。66歳。ハワイ大歴史学部卒。ジャーナリスト。国家基本問題研究所理事長。憲法改正を目指す「『21世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(民間憲法臨調)代表。著書に「気高く、強く、美しくあれ-日本の復活は憲法改正からはじまる」など。
◇
【プロフィル】福島瑞穂
ふくしま・みずほ 昭和30年、宮崎県生まれ。56歳。東京大法学部卒。弁護士、参院議員(当選3回)。社民党幹事長を経て平成15年から党首。消費者・少子化担当相(鳩山由紀夫内閣)などを歴任し、現在は参院憲法審査会委員。対談集「憲法を手に格差と戦争をくいとめよう」など。
=========================================
〈来栖の独白2012/8/31 Fri.〉
>「9条で『世界を侵略しない』と表明している国を攻撃する国があるとは思えない。攻撃する国があれば世界中から非難される」
なんという手前勝手な錯覚、無責任であることだろう。正気とは思えない。こんな人に政治は預けられない。石原慎太郎氏は次のように言う。
“尖閣諸島への中国の侵犯に見られる露骨な覇権主義が、チベットやモンゴルと同様、まぎれもなく、この国に及ぼうとしているのに最低限必要な措置としての自衛隊の現地駐留も行わずに”
同様に藤原正彦氏は言う。
“「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と美しく飾ってみても、残念なことに「国益のみを愛する諸国民の権謀術数と卑劣に警戒して」が、現実なのです。”
憲法前文・9条が日本を守ってくれるなどと根拠のない楽観を決め込みたい人びとは、中国によるチベット侵略を思うとよい。チベットが果たして好戦的な国であったか。武器を蓄え、先制に出る国であったか。
日高義樹氏はその著『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』のなかで、日本人特有の主観・思い込みについて、次のように言っている。
“1930年代の日本は、満州で戦いを続ける一方で、1941年12月8日、真珠湾を攻撃して乾坤一擲の勝負をアメリカに挑んだが、このころアメリカでルーズベルト大統領をはじめ専門家たちが原爆をつくるために全力を挙げていることには、考えも及ばなかった。日本が現在に至るも世界の動向には疎く、日本の外で起きていることに注意しないまま、自分勝手な行動を取ることが多いが、こうした国民性は第2次大戦以前から変わっていない。”
===========================================
◆『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』日高義樹著《ハドソン研究所首席研究員》
2012年07月25日1刷発行 PHP研究所
p1~
まえがき
日本の人々が、半世紀以上にわたって広島と長崎で毎年、「二度と原爆の過ちは犯しません」と、祈りを捧げている間に世界では、核兵器を持つ国が増えつづけている。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に加えて、イスラエル、パキスタン、インドの3ヵ国がすでに核兵器を持ち、北朝鮮とイランが核兵器保有国家の仲間入りをしようとしている。
日本周辺の国々では核兵器だけでなく、原子力発電所も大幅に増設されようとしている。中国は原子力発電所を100近く建設する計画をすでに作り上げた。韓国、台湾、ベトナムも原子力発電所を増設しようとしているが、「核兵器をつくることも考えている」とアメリカの専門家は見ている。
このように核をめぐる世界情勢が大きく変わっているなかで日本だけは、平和憲法を維持し核兵器を持たないと決め、民主党政権は原子力発電もやめようとしている。
核兵器を含めて武力を持たず平和主義を標榜する日本の姿勢は、第2次大戦後、アメリカの強大な力のもとでアジアが安定していた時代には、世界の国々から認められてきた。だがアメリカがこれまでの絶対的な力を失い、中国をはじめ各国が核兵器を保有し、独自の軍事力をもちはじめるや、日本だけが大きな流れのなかに取り残された孤島になっている。
ハドソン研究所で日本の平和憲法9条が話題になったときに、ワシントン代表だったトーマス・デュースターバーグ博士が「日本の平和憲法はどういう規定になっているか」と私に尋ねた。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
私がこう憲法9条を読み上げると、全員が顔を見合わせて黙ってしまった。一息おいてデュースターバーグ博士が、こういった。
「おやおや、それでは日本は国家ではないということだ」
これは非公式な場の会話だが、客観的に見ればこれこそ日本が、戦後の半世紀以上にわたって自らとってきた立場なのである。
このところ日本に帰ると、若い人々が口々に「理由のはっきりしない閉塞感に苛立っている」と私に言う。私には彼らの苛立ちが、日本が他の国々とあまりに違っているので、日本が果たして国家なのか確信が持てないことから来ているように思われる。世界的な経済学者が集まる会議でも、日本が取り上げられることはめったにない。日本は世界の国々から無視されることが多くなっている。
日本はなぜこのような国になってしまったのか。なぜ世界から孤立しているのか。このような状況から抜け出すためには、どうするべきか。
「初心に帰れ」とは、よく言われる言葉である。したがって、六十余年前、日本に落とされた原爆の問題から始めなければならないと私は思う。(略)
日本はいまや原点に立ち戻り、国家と戦争、そして核について考えるべき時に来ている。日本が変わるには、考えたくないことでも考えなければならない。そうしなければ新しいことを始められない。
私はこの本を書くにあたって、アメリカは何を考えて大量殺戮兵器である原爆を製造したのか、なぜ日本に原爆を投下したのか、歴史に前例のない無慈悲な仕打ちはどのように日本に加えられたのか、当時の記録に詳しく当たってみた。
原点に戻って、日本の人々に「考えたくないこと」を考えてもらうためである。
p22~
核分裂は、フランスやイギリス、ドイツ、アメリカ、ソビエトでは普通に得られる情報になっていたため、そこから原子爆弾の製造という構想が出てくるのは当然だった。日本では、核分裂や放射能についての関心はあったものの、爆弾をつくる計画には至らなかった。したがってルーズベルト大統領が日本に対して原子爆弾を使ったとしても、報復爆撃を受ける懸念はなかった。
1930年代の日本は、満州で戦いを続ける一方で、1941年12月8日、真珠湾を攻撃して乾坤一擲の勝負をアメリカに挑んだが、このころアメリカでルーズベルト大統領をはじめ専門家たちが原爆をつくるために全力を挙げていることには、考えも及ばなかった。日本が現在に至るも世界の動向には疎く、日本の外で起きていることに注意しないまま、自分勝手な行動を取ることが多いが、こうした国民性は第2次大戦以前から変わっていない。
===========================================
『日本人の誇り』藤原正彦著(文春新書)
p58~
「明治・大正・昭和戦前は、帝国主義、軍国主義、植民地主義をひた走り、アジア各国を侵略した恥ずべき国。江戸時代は士農工商の身分制度、男尊女卑、自由も平等も民主主義もなく、庶民が虐げられていた恥ずかしい国。その前はもっと恥ずかしい国、その前はもっともっと・・・」
占領後、アメリカは米軍による日本国憲法制定を手始めに、言論統制、「罪意識扶植計画」等により、日本をアメリカに都合の好い属国に造り替えてゆく。
p63~
GHQすなわちアメリカはまず新憲法を作り上げました。GHQ民生局が集まり1週間の突貫工事で作ったのです。憲法の専門家はいませんでした。まず前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書きました。アメリカは他国の憲法を自分達が勝手に作るというハーグ条約違反、そしてそれ以上に恐るべき不遜、をひた隠しにしましたが、この文章を見ただけで英語からの翻訳であることは明らかです。「決意した」などという言葉が我が国の条文の末尾に来ることはまずありえないし、「われら」などという言葉が混入することもないからです。いかにも日本国民の自発的意志により作られたかのように見せるため、姑息な姑息な偽装を施したのですが、文体を見れば誰の文章かは明らかです。そのうえ、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と美しく飾ってみても、残念なことに「国益のみを愛する諸国民の権謀術数と卑劣に警戒して」が、現実なのです。
ともあれこの前文により、日本国の生存は他国に委ねられたのです。
第9条の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」は前文の具体的内容です。自国を自分で守らないのですから、どこかの国に安全保障を依頼する以外に国家が生き延びる術はありません。そして安全保障を依頼できる国としてアメリカ以外にないことは自明でした。すなわち、日本はこの前文と第9条の作られたこの時点でアメリカの属国となることがほぼ決定されたのです。この憲法が存在する限り真の独立国家ではありません。中国に「アメリカの妾国」と馬鹿にされても仕方ないのです。(~p64)
p104~
南京大虐殺の不思議
「南京大虐殺」も実に不思議な事件でした。1937年12月13日に南京を陥落させた日本軍が、その後6週間にわたり大規模な虐殺行為を行ったというものです。(略)
=========================================
◆ 慰安婦問題の「主犯」は福島瑞穂弁護士 / 外務省の戦略なき政治決着 / アムネスティの人権侵害 2012-08-22 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉