<介護事業所>職員確保へ公費支援 厚労省

2008-08-18 | 社会

 人手不足が深刻な介護職員を確保するため厚生労働省は、職員の能力や資格、経験に見合う賃金制度を導入した介護事業所を公費で支援するシステムを09年度に創設する。介護未経験者の介護業界への就職を目指し、未経験者を採用した事業所が対象の助成制度も設ける。介護報酬の引き上げに加え、労働政策面でも人材確保を図ることにした。

 介護保険は00年度の開始当初から民間企業の参入を促していた。「保険料を払っているのにサービスを受けられない」との批判を避け、事業者の数を確保する観点からだった。しかし、それは業者間の過当競争を招き、標準モデルがない中で、きちんとした昇給制度がないままに低賃金を強いる事業所を多く生み出す結果となった。

 07年の厚労省調査によると、男性の福祉施設介護職員(勤続4.9年)の平均月額賃金は22万5900円で、全産業平均の37万2400円(同13.3年)の6割にとどまる。離職率も全産業平均(16.2%)よりも介護職(21.6%)は高い。

 具体的には、昇給制度を導入した事業所への公費助成に加え、中小事業主を対象に、職員のキャリアに賃金を反映させる必要性や、労働関係法令の理解を深める講習、雇用管理に関する研修などを業界団体を通じて開催する。複数の事業所が共同で研修を実施するモデル事業を始めるほか、全国の3カ所程度に介護職員向けの「拠点ハローワーク」を整備する。

 3337の介護事業所を対象に行った厚労省調査(07年度)で、人手不足感を訴えた事業所は全体の59.7%。訪問介護に限れば75.2%に達し、一般の中小企業(27%)の3倍近くに達している。【吉田啓志】 (毎日新聞 - 08月16日 15:11)


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