年金・医療改革なしに増税幅は語れぬ/首相交代を一番待っていたのは財務官僚じゃないか

2010-06-22 | 政治

年金・医療改革なしに増税幅は語れぬ
日本経済新聞 社説2010/6/22
 消費税問題が参院選の焦点に浮上した。その税率について自民党は政権公約で10%への引き上げを打ち出した。菅直人首相は記者会見でこれを「ひとつの参考にする」と呼応し、党派を超えた協議を提案した。
 国・自治体の長期の債務残高は国内総生産(GDP)の1.8倍を超す。おまけに高齢化は先進国中で最も早く進んでいる。放っておけば年金や高齢者医療、介護費を中心に社会保障費は拡大する一方だ。消費税増税を含めて納税者の負担を増やさなければ財政は立ちゆかない。首相が選挙前に、早ければ2年後に消費税増税すると述べたのは前進だ。
 だが政権党が野党案を所与として増税幅を論じる姿勢には違和感を覚える。幅を語る前に、首相自らが繰り返す「強い社会保障」の中身、つまり年金、医療、介護や子育て支援の改革像を示し、それと一体で税制改革を推し進めるのが筋だ。
 民主党政権はいまだに、低所得者向けの最低保障年金やすべての国民が等しく入る一元化年金の設計図、後期高齢者医療制度の廃止後の姿を明らかにしていない。参院選の政権公約にも具体的な記述がない。
 国民負担を増やす前提は、制度の効率化や一定の給付抑制を含め、年金や医療を少子化・長寿化が進む人口構造に耐えうる形に改革することだ。改革像をはっきりさせて初めて増税幅が具体的になる。納税者や年金受給者らの納得感も高まろう。
 野党時代の民主党は年金改革を国政選挙の争点にして与党に切り込んだ。岡田克也外相が党代表のときは消費税を3%上げて最低保障年金を制度化すると公約した。だが政権に就いたとたん、あいまいにした。
 首相発言は増税分を社会保障のためだけに使うように聞こえる。赤字の削減や国債減額をどう実現するのかにも、答えを出す必要がある。
 自公政権はその末期、国民負担の増大を表面化させずに介護給付などを拡大させ、財源に赤字国債や特別会計の準備金など「埋蔵金」を充てた。今の高齢者がもらう社会保障の財源を将来世代につけ回しした。
 自民党は新しい政権公約でその路線を転換した。10年以内に国・自治体財政の基礎的収支を黒字化するとともに、年金の国庫負担や社会保障費の自然増と消費税以外で賄っている分を考えて消費税率10%を明示した。つけ回しに終止符を打とうという姿勢は評価できる。
 政権を担う民主党はより具体的な改革案を早く出す責任がある。その際は高齢者にある程度の痛みを求める改革もタブーにすべきではない。
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夕歩道
2010年6月22日
 おいおい消費税はどうなっている。覚えていないのか。かつて竹下首相が消費税導入を決めた時、大蔵省は彼を「国の恩人」と持ち上げたが、民衆は物を買って役人も養うのかと嘆いたことを。
 3%から5%への引き上げは構造改革の橋本政権。国の赤字を減らし高齢化社会に備えます…。聞き飽きた。税率上げ前日、百貨店で一番売れたもの。化粧品、紳士服、家具。この涙ぐましさ。
 国の財政があぶないというのは今じゃ子供でも知っている。でも心配なんだ。また、だまされるんじゃないかと。首相交代を一番待っていたのは、役人ならびに財務省主計局なんじゃないかと。


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