皇室の将来

2009-12-09 | 雲上

記者の目:「皇室の将来」に対し、両陛下ら発言=真鍋光之
 「皇室の将来」について最近、天皇、皇后両陛下や秋篠宮さまから発言が相次いだ。天皇陛下は、11月12日の即位20年に際しての会見で「皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要と思います」と述べ、秋篠宮さまは同30日の44歳の誕生日前の会見で「将来その当事者になる皇太子ほかの意見を聞くという過程も必要ではないか」などと語った。
 皇室は両陛下と21人の皇族で構成されている。今後、結婚で女性皇族が皇籍を離れるなどして「先細り」していくことは確実だが、女性天皇を認めるかどうかで数年前には活発だった皇室典範改正論議は、下火のままだ。両陛下、秋篠宮さまからの発言が続いた今、その将来を考えるよい機会ではないかと思う。
 「陛下はいろいろなことにお心を使われ、心を痛めている。ご心労、ご心痛といっていいのだと思います」。昨年12月9日、宮内庁は天皇陛下に不整脈があり、胃と十二指腸に炎症が確認されたと発表した。皇室の医療責任者、金沢一郎・皇室医務主管は、陛下が体調を崩したのは、単に公務の忙しさからではなく、心労が原因ではないかと述べて波紋を呼んだ。
 その2日後の羽毛田(はけた)信吾・宮内庁長官の会見で衝撃が走る。長官は「私なりの所見」とした上で、陛下の心労の原因が「皇統(皇位継承)の問題をはじめとし、皇室にかかわるもろもろの問題」で、陛下はそれを「憂慮しているご様子」と述べたからだ。
 1947年に施行された皇室典範は、第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定め、女性天皇を認めていない。
 小泉政権当時の05年、首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、安定的な皇位継承などについて論議した。男系男子の継続を維持するために、旧皇族の子孫を皇族に復帰させるなどの考えも検討されたが、最終的には継承順位を「長子優先」とし、女性・女系天皇を容認する意見書をまとめた。政府は改正案作りを進めたが、06年9月に秋篠宮ご夫妻に長男悠仁(ひさひと)さまが誕生し、改正案の国会提出は見送られた。昨年末の羽毛田長官の発言で「皇室の将来」への課題が多くの人たちに再認識されたが、1年後の今、それに関する論議が活発だとは言い難い。
 ただ、両陛下の会見での発言を聞くと、両陛下が次代を担う皇太子さまや秋篠宮さまを信頼し、皇室の将来を託そうとしている気持ちがよくわかる。陛下は、皇位の安定的継承が難しくなる可能性がある現状を認めながらも「(皇太子と秋篠宮の)2人は長年私とともに過ごしており、私を支えてくれました。天皇の在り方についても十分考えを深めてきていることと期待しています」と心情を示した。皇后さまも「これからも2人がお互いを尊重しつつ、補い合って道を歩み、家族も心を合わせてそれを支えていってくれることを信じ、皇室の将来を、これからの世代の人々の手にゆだねたいと思います」と気持ちを表した。
 秋篠宮さまが誕生日前の会見で、皇室の将来に関して発言する可能性があることを明らかにしたのも、今後、皇太子さまと話し合う機会を作っていく必要があると話したのも、両陛下の気持ちを受け止めているからであろう。
 次の天皇となる皇太子さまも、機会があれば、皇室の将来について自らの考えを示すに違いないし、国民の多くもそれを期待している。
 皇室典範改正については、「有識者会議」の結論を踏まえて議論を進めるべきだと思うが、秋篠宮さまは先の会見で、皇族の数が減ることに対し「国費負担という点からみますと、決して悪いことではないと思います」との見解を示した。さまざまな意見を勘案していくことが必要だ。
 羽毛田長官は11月の会見で「今の(皇室典範の)制度である限りは、将来、皇位継承が不安定、ないしは安定的皇位継承ということからは問題含みの状態になるであろう」と述べ、現行制度に課題が残っているとの認識を示した。
 一部からは、この発言が「皇室典範を改正し、女性天皇誕生を意図したものだ」というような批判が出たが、羽毛田長官の真意はそうとは思えない。皇位の継承は、皇太子さま、秋篠宮さま、悠仁さまと続くが、皇族の人数が減少し、数十年後に悠仁さまを支える皇族がだれもいなくなる状況も考えられる。「皇室の将来」への課題を認識し、議論していくことは必要なことだろう。
 私たちにとって皇室とはどのような存在であり、その将来はどうあるべきなのか。次世代に先送りするのではなく、私たち一人一人が考える時期に来ていると感じている。(東京社会部)
 毎日新聞 2009年12月9日 0時18分(最終更新 12月9日


1 コメント

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Unknown (あなた)
2009-12-11 19:22:18
中国「うちの要人が行くから、天皇に出迎えさせろ」 鳩山「ははー!仰せのままに」

習氏の陛下との会見を特例で要請/副主席訪日で中国政府

 中国政府が14日の習近平国家副主席訪日に向けて、所定の手続きを経ずに、
天皇陛下との会見を特例的に認めるよう日本側に求めていることが11日、分かった。
複数の日本政府関係者が明らかにした。

 外国要人と陛下との会見については、1カ月前までの文書での正式申請が前提。
中国側からの申請は11月下旬だったが、鳩山由紀夫首相は民主党の小沢一郎幹事長らの働き掛けを受けて、
9日に平野博文官房長官に会見が実現できないか検討を指示したとされる。

1カ月前までの申請を各国に求めているのは、
多忙な天皇陛下の日程調整をスムーズに行うため。過去10年間で、
在京大使が緊急離日する際の例外的な会見が1、2回あったのを除き、ルールは守られてきたという。

http://www.shikoku-np.co.jp/national/political/article.aspx?id=20091211000060
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