弁護士 不安消えず ~ 制度開始まで1ヵ月
2009/04/21中日新聞
連日開廷、準備も重荷に
対象は殺人、強盗致傷など最高刑が死刑が死刑か無期懲役の事件と、保護責任者遺棄致死、危険運転致死など故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件。
「態勢が十分に整ったとはいえない」。裁判員制度開始まで1ヵ月に迫る中、中部地方の弁護士会は、国選弁護での複数弁護士態勢や弁護士の事情に配慮した開廷日設定などを求めている。しかし実現は不確定で、各弁護士からは不安の声も漏れる。一方、愛知県弁護士会が全国に先がけて量刑データベース(DB)を整備するなど、最善の弁護を尽すための試みが続く。
「なんとか頭数はそろった」。裁判員裁判の年間想定数が約200件と中部最多の愛知県弁護士会は、裁判員裁判を担当する国選弁護人登録者として会員約1000人のうち、約250人を確保した。
裁判員に分かりやすい弁護の準備と連日開廷という二重の負担がのしかかるが、天野太郎副会長は「とりあえず弁護人が決まらない事態は避けられそう」と胸をなで下ろす。他の弁護士会も「弁護士数にはめどが立った」と口をそろえる。
愛知県弁護士会が新設した自前の量刑DBは、類似事件の判決内容を弁護の具体的根拠として裁判員に示すのが狙い。「同種の事件ではもっと軽い量刑の判決が出ている」などと対抗する“武器”と期待しており、将来は中部地方の各弁護士会が共有できる内容に充実させる考えだ。
裁判員裁判の連日開廷に対し、三重弁護士会は「多くの弁護士はほかの裁判や仕事を抱え、3日でも連続で予定を空けるのは大変」と懸念。同会の塚越正光・裁判員制度対策委員長は「裁判所は連日開廷にこだわらず、臨機応変に日程を決めて」と求めている。
裁判員裁判では、弁護人の負担が増すとして、各弁護士会は複数の国選弁護人を選任するよう各地裁と協議している。国が弁護費用を負担する国選弁護人が1人しか選任されない場合、福井弁護士会は弁護費用の1部を弁護士会で負担し、複数態勢を維持できるようにする意向という。
会員の協力に不安を抱える弁護士会も。長野県弁護士会は総会で制度推進の方向を確認したものの、「反対派も国選弁護人名簿に入っている。それがどう影響するかは未知」と原山邦章・刑事弁護センター委員長。東濃地方の国選弁護人登録者が著しく少ない岐阜県弁護士会は、同地方の事件も他地域の弁護士に担当させるなどしてカバーする。
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