『聖書と典礼』2008年7月20日 年間第16主日 A年 (緑)

2008-07-20 | 日録

『聖書と典礼』表紙絵解説 (『聖書と典礼』編集長 石井祥裕)

 2008年7月20日 年間第16主日 A年 (緑) 
刈り入れまで、両方とも育つままにしておきなさい
(マタイ13・30より)

 終末の刈り入れ
福音書写本画
フィレンツェ  ラウレンツィアーナ図書・写本美術館  14世紀

 天使がラッパを吹いて終末を告げるところと、収穫の図とが組み合わされているこの絵を、終末の刈り入れをテーマとするきょうの福音のたとえ話(マタイ13・24-43)に関連させてみた。全体はもっと大きな絵で、その部分と考えられる。この絵に関しては詳しい解説資料がなく、以下は鑑賞文にとどまる。ラッパについて、マタイ13章には記述はないが、24章の人の子の到来(キリストの再臨)を予告する部分で、終末の訪れの合図として言及されている(31節)。ただ、この構図の中央に見えるのは、地上で収穫にいそしむ人の上に天使の右手から金色の粉のようなものが振りまかれているところである。マタイ13・39では刈り入れる者は天使たちとされている。とすれば、終末の裁きにおける天使による刈り入れを、地上の人間の労働風景として描いていることになる。収穫作業をしている人はろばを使い、犬を伴っている。ここではどちらも忠実な働きを表現する要素のように感じられる。収穫というテーマに関しては先週(2008年7月13日)の暦の挿絵(15世紀)も参考になる。そこでも、枠の装飾が華やかだったが、ここでも天と地の間の装飾には、明るい地に花が彩り豊かに描かれている。終末の裁きの到来はここでは恐ろしいものとしてではなく、救いの実り、完成の喜びとしてイメージされているようである。


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