民主党は歳入に触れずに美味しいことを並べ、恥ずべき買収選挙をやった=ポピュリズム選挙

2009-09-24 | 政治

野中広務元幹事長「党の変質 反省から出発」
自民再生--処方箋を聞く
--自民党はどうして負けたのでしょうか。
 自民党は負けるべくして負けた。もちろん麻生太郎という総理大臣にふさわしくない首相の連日の失敗や失政、失言が、自民党の歴史の終焉をもたらしたという面もあるだろう。しかし、私は94年の自民党の政権復帰がやや早すぎたことが大きな原因ではないかと思っている。それが党の思い上がりにつながった。
--当時、野中さんは野党自民党にあって政権奪還の立役者の一人でした。
 野党というものがどんなものであるかということを皆がよくわからないままに、非自民政権が偶発的に10ヵ月で終わってしまった。自民党が再建のためのきちっとした処方を作らないまま政権を取り返し、その上にあぐらをかいてしまったというのは反省されるべきだ。
--それでも、05年の総選挙で自民党は大勝しました。
 小泉内閣は構造改革、特に郵政や道路の「改革」の呼び声に踊らされて驚異的な議席を得た。小泉内閣のやりたい放題の中で、日本の伝統が壊され、都市と農村の格差が広がった。加えて、衆院で3分の2の議席を得たことで、参院で法案が否決されても衆院で再可決するというやり方を繰り返した。
 国民の期待に沿うような政策やこれからの国家づくりのデザインを考えようとせず、目先のポスト争い、あるいは選挙にどのようにして勝つか、そういうことばかりに追われるようになった。
--麻生首相は「保守」を強調しました。
 自民党は平和を守り、国民の多くが中産階級という社会を目指す政党になればなればいい。
 自民党は戦後、経済を優先し、軍事大国への道を回避してきたが、だんだん変質し、(麻生政権下のアフリカ・ソマリア沖の海賊対策では)まだ法案も通ってないのに海上自衛隊を海外へ派遣してしまうような国になった。
 中国の各地を歩けば、戦争の傷跡が残っている。しかし、そういうことを考えず、金を出せば常任理事国になれるという錯覚を持った外交が行われている。こうしたことへの謙虚な反省や、分配政党として役所とぐるになってやってきたことへの反省が野党としてのスタートにあっていい。
--再生策はありますか。
 再び政権党に復帰できるか非常に疑問がある。けれども民主党のマニフェストは、歳入には触れずに、こんなおいしいことをよくこれだけ並べたなというようなものだ。民主党は取り返しのつかない、議会政治としては恥ずかしい買収選挙をやってしまった。
 これから民主党の政権運営にもいくつかの無理が出てくるでしょう。来年の参院選をひとつの目標にしながら、どのようにして民主党のねじれた状況を突いていくか。これがひとつの政局につながっていくのではないか。
 10年間政権を共にした公明党のことも忘れてはいけない。この10年間、自民党の暴走で内部から批判が起きるという苦悩を公明党はいくたびか味わったと思う。
 自民党内部には「公明と10年やったからこんなになったんだ」と言う人たちもいるが、この10年の政権は、公明党の協力と辛抱があったからこそやってこられた。自民党が友党への配慮なしに政権を取り戻すのは難しいだろう。(聞き手・円満亮太)朝日新聞2009/09/23Wed.

「世論と空気」 09政権交代「リーダーも熱狂もないまま揺れたポピュリズム選挙」


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