盲導犬拒否、55%が経験 「障害者差別解消法」の施行から四月で1年 2017/4/29

2017-04-29 | 社会

2017年4月29日 朝刊
盲導犬拒否、55%が経験 障害者差別解消法1年
 障害者差別解消法の施行から四月で一年になるのを機に、日本盲導犬協会が全国の盲導犬利用者にアンケートしたところ、この一年間で55%が受け入れ拒否を経験したと回答した。レストランやバスだけでなく、市役所が会議室への入室を拒否した事例もあった。法律は盲導犬の受け入れ拒否を不当な差別として禁止しており、社会の理解が進んでいないことが浮き彫りとなった。
 協会が二月から三月にかけて百八十七人を対象に電話で聞き取り調査を行い、百七十人から回答があった。
 「盲導犬を理由とする差別(受け入れ拒否)はあったか」との質問に対し「はい」と答えたのは九十四人で、全体の55%に上った。法律の施行で「理解が変化したと感じるか」との質問には、74%が実感していないと答えた。
 受け入れを拒否したのは飲食店が最も多く七十三件。真冬に外の席を案内されたケースもあった。宿泊施設は二十件。バスやタクシーの乗車拒否は十一件だった。拒否回数で十回以上は二人だった。
 地方自治体は法律に差別解消を進める役割が規定されているのに、千葉県内に住む人が市役所の会議室に入れない事例もあった。福島県内の人は福祉施設に拒否された。視覚障害者の患者を受け入れたことがないとして、病院から健康診断を断られた人もいた。
 アンケートとは別に、シンガポールから盲導犬を連れて日本を訪れた人がドラッグストアで入店を拒否されたとの報告もあった。他の買い物客から抗議があったのが理由だった。
 障害者自身が法律の趣旨を説明しても改善されず、協会が対応した事例は五十四件。そのうち、83%は法律の趣旨を理解して改善した。ただ、三件は「受け入れを断固拒否する」と回答。六件は準備時間が必要などとして改善されていない。
 協会の担当者は本紙の取材に、アンケート結果について「法律に対する理解が進んでいない」と指摘。「目が不自由な人が安心して歩くのをサポートするのが盲導犬。盲導犬がいないと、その人の行動は制限されることを理解してほしい」と求めた。
 法律を所管する内閣府は「盲導犬の受け入れ拒否は差別にあたる。国、地方、民間事業者がきちんと当事者意識を持つ必要があり、働きかけていく」と語った。(城島建治)

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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