「教科書誤報事件」

2013-06-20 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【産経抄】6月20日
産経新聞2013.6.20 03:38 [産経抄]
 産経新聞が創刊80年を迎えた。その歴史については記念別冊でお読みいただくとして、当然のことながら紙面づくりがすべて順風満帆だったわけではない。忸怩(じくじ)たる思いで振りかえることも多い。昭和57年の「教科書誤報事件」がそうだった。▼この年の6月、産経新聞など各紙がそろって文部省の教科書検定結果を伝えた。その中で、ある高校用教科書が「日本軍が(中国)華北に侵略」としていたのを、検定で「進出」に書き換えさせられたとあった。完全な誤報だった。教科書は最初から「進出」としていたのだ。▼当時の文部省記者クラブが分担して膨大な検定資料を読み、情報交換していたためのミスだった。だが「書き換え」は事実として独り歩きを始める。中国や韓国が「日本は歴史を改竄(かいざん)した」などと抗議した。当時の鈴木善幸内閣は事実を確認しないまま、右往左往する。▼あげく、宮沢喜一官房長官が「近隣諸国との友好親善を進める上で批判に耳を傾ける」という談話を発表する。誤報に基づいた隣国の圧力に屈したものだった。中国、韓国が今も、歴史認識をふりかざし日本を攻撃するのもこの「屈服」に根ざしている。▼9月になって、この「誤報」を最初に指摘したのは、当時上智大教授の渡部昇一氏だった。それでも他紙が誤りを認めたがらない中で、産経新聞だけは「読者に深くおわびします」という謝罪記事を掲載、誤報の経緯を書いた。4段見出しという異例の大きさである。▼残念ながら談話は出た後だった。それでも小紙はこれを機に、歴史認識や歴史教科書問題を大きなテーマとして取り組んできた。多少とも戦後の自虐的史観の是正につながったとすれば、「名誉ある謝罪」として80年の歴史に加えていい。

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 【高校教科書検定】薄い「領土」…深まらぬ理解 目立つ中国、韓国の主張を強調した記述
2013.3.27 10:38
*歴史的経緯詳述なし
 日本固有の領土をめぐる問題が相次ぎ、子供たちへの領土教育の必要性が高まる中、検定結果が公表された高校教科書では北方領土、竹島、尖閣について歴史的経緯などを詳述したものはなかった。いずれも他国の教科書に比べ、領土に関する記述が薄く、子供たちが理解を深められるとは思えない内容だった。領土について、学習指導要領の解説書は「わが国の領土・領域について理解を深めさせる」ことを求めている。しかし、尖閣は6冊のうち3冊について検定意見が付いた。
 清水書院は日本固有の領土と明示しなかったため、「わが国の領土と理解しがたい」との意見が付き、「沖縄県に所属する」と書き加えて合格した。山川出版社と実教出版は、日本が実効支配し領土問題は存在しない尖閣と、韓国が不法占拠する竹島を同列に扱ったとして修正を求められた。
*他国の主張を強調も
 竹島について「韓国が不法占拠」という日本の公式見解を記述した教科書は1冊もなかった。領有権についても「中国や台湾当局が尖閣の領有権を主張しているという問題」などと自国に比べ他国の主張を強調する記述が目立った。北方領土でも「わが国の領土と理解しがたい」などとする意見が3冊で付けられた。
 これとは対照的に、中国や韓国では教科書の記述を充実させて領土教育を徹底している。韓国は中学教科書で、竹島に1ページを割き、「わが国の領土だが、日本が一方的に編入した」などと記述。中国では中学教科書で、尖閣は自国領である「台湾省」の一部だとした上で、「付近の海底で豊富な石油や天然ガス資源が近年みつかった」と記述。実際に地下資源の可能性が指摘されたのは1968年の調査で、中国や台湾が尖閣の領有権を主張し始めたのは、その直後の70年代だ。
 不十分さが指摘されてきたわが国の領土教育だが、最近は自治体が独自に、領土に関する学習資料を作成する動きも出てきた。東京都武蔵村山市は昨年12月以降、北方領土、竹島、尖閣に特化した学習資料を作った。歴史的経緯などの詳述で他国の主張の不当性を理解できる内容だ。
 東京学芸大教職大学院の今井文男特任教授は「どの教科書も不十分。内容も他国の主張はしっかり記述する一方、自国の主張は消極的で、どこの国の教科書か分からない。領土に対し国がどう対応していこうとしているか記述することが大事」と指摘している。
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【高校教科書検定】南京事件「30万人説」、自衛隊「違憲」…誇大、誤解招く記述も
2013.3.27 00:03
 今回の教科書検定では、南京事件の犠牲者について「誇大」とされる30万人説や、自衛隊を違憲だと強調するなど、疑問の残る記述もみられ、一部には検定意見が付いた。
■南京事件
 日中戦争で日本軍が多くの中国人を虐殺したとされる「南京事件」の犠牲者数について、国内では戦後長く数十万人以上の「大虐殺派」が主流だったが、過去十数年の研究では、数万人とする「中間派」や虐殺はなかったとする「事件否定派」も有力となってきている。山川出版社は昨年度の検定で、中国政府が主張する30万人説を「学者の間では誇大な数字と考えられている」と初めて記述し、検定も合格した。
 しかし、文科省は犠牲者数について、諸説あると示すことだけを求めており、これまで同様、今回も「30万人」や「20万人」といった誇大な数字が続出した。
 実教出版日本史Aは「少なくとも10数万人」「30万人以上」とだけ記述したため検定意見が付き、「約20万人や10数万人、またそれ以下など諸説あります」と修正して合格した。
■自衛隊
 自衛隊については憲法違反と強調する記述があったほか、軍事行動のため海外派遣を行ったかのように誤解する表現も相次ぎ、検定意見が付けられた。
 清水書院の現代政治・経済は、自国以外で活動可能になったことを「憲法や安全保障政策の原則に反するとの批判をまぬがれない」と断定的に記述したため意見が付き、「憲法の平和主義の原則やこれまでの日本の安全保障政策の原則に反するのではないか、との批判もある」と修正。実教出版最新政治・経済の「自衛隊が海外に基地をもつことは、憲法違反の疑いが濃厚」との記述にも意見が付き、「憲法違反との指摘もある」とした。
 東京書籍の日本史Bは「アフガニスタンでの軍事行動やイラク戦争の際には、自衛隊の海外派遣を行った」と記述したが、「自衛隊が軍事行動や戦争に派遣されたかのように誤解する恐れがある」との意見が付き、「後方支援や復興支援のため」と修正した。
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【高校教科書検定】尖閣「日本領」に不快感 中国
2013.3.26 23:17
 中国外務省の洪磊副報道局長は26日の定例記者会見で、日本の高校教科書検定で沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を「日本の領土」と明記した教科書が合格したことについて、「日本が歴史と現実を正視するよう望む」と述べ、不快感を示した。
 洪氏は「釣魚島は中国固有の領土であり、中国が主権を有することに議論の余地はない」と従来の主張を繰り返した上で、日本に対し「過ちを正して、両国関係の改善のために本気で努力するよう」要求した。
 習近平国家主席は23日、訪問先のモスクワで「(中ロ両国は)第2次世界大戦の勝利で得た成果と戦後の秩序を守らなければならない」と述べ、尖閣をめぐる問題で一切譲歩せずに、日本に圧力をかけ続けていく方針を明らかにしている。(共同)
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【高校教科書検定】強まる自虐史観 集団自決「軍強制」 慰安婦「連行」
2013.3.26 22:31
 26日に検定結果が公表された高校教科書では、沖縄戦での集団自決について「日本軍が強いた」との表現や、慰安婦について「連行」「強いられた」といった記述がみられ、現行の教科書に比べ自虐的な歴史観に基づく反日的な記述が強まった。いずれも検定意見は付かず、識者から疑問の声が出ている。
 集団自決を記述したのは日本史教科書9冊のうち8冊。実教出版の日本史Bは現行版では、日本軍により「県民が集団自決に追いやられたり…」としていたが、今回は「県民が集団自決を強いられたり…」と表現を強めた。さらに「軍とともに死ぬことを求められたりもした」との記述を「軍とともに死ぬことを強制された」とした。
 清水書院の日本史Bも、現行版は「日本軍の関与のもと…集団自決に追い込まれた人々もいた」としていた表現を「日本軍によって…」と変えた上、「日本兵による命令によっても集団自決をとげた」との記述も加えた。 平成18年度の検定では文科省が「日本軍が強いた」などと軍命令が読み取れる記述に初めて検定意見を付け、軍強制の記述がいったん削除・訂正されたが、沖縄県側が抗議の県民大会を開くなど強く反発。このため、文科省は訂正申請に応じ直接的な軍命令でなく住民が心理的に追い込まれたとの文意が含まれれば軍強制の記述を容認した。
 具体的には「強制的な状況」「強制集団死」といった記述が認められたが、今回の「強いられた」「命令」などは、直接的な軍命令とも受け取れる。文科省は集団自決へのとらえ方は前回と変わっていないとした上で「直接的な軍命令を表現したものではないと判断した」と説明している。
 集団自決に詳しい現代史家の秦郁彦氏は「明らかに軍命令があったと受け取れる表現で、修正を求めないのは検定の一貫性を欠く」と指摘。意見を付けない背景には「政府が米軍普天間飛行場の移設問題を進めるため、沖縄の世論を刺激したくないという考えがあったのではないか」とみる。
 日本による朝鮮半島統治時代の慰安婦については、日本史教科書9冊のうち8冊、政治・経済では7冊のうち6冊が記述した。
 日本政府は19年3月に「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す資料はない」とする答弁書を閣議決定しているが、清水書院の日本史Aは、「日本軍に連行され、『軍』慰安婦にされる者もいた」と記述。現行版の「慰安婦として連行される者もいた」との表現から強めたが、これも検定意見は付かなかった。
 文科省は「明確に強制連行されたとは受け取れない記述なので許容された」と説明している。
 教科書問題に詳しい拓殖大学の藤岡信勝教授は「左翼的思想を持つ教科書執筆者たちは、ギリギリの表現で自虐史観の記述に変えようと狙っており、毅然(きぜん)と検定意見を付けて正していかないと不適切な記述が増えていく」と指摘している。

 *上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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