「世界に1つだけだったあいりの命と同じように、被告の命にも意味があるのではないか」揺れる被害者父の思い 2008/11/22

2008-11-26 | 死刑/重刑/生命犯

毎日新聞 2008/11/21
広島・小1女児殺害:事件から3年 揺れる被害者父の思い 「死刑でも喜べぬ」
 広島市安芸区で小学校1年、木下あいりちゃん(当時7歳)が殺害された事件から、22日で3年。自衛官の父建一さんが毎日新聞の取材に応じ、「もう3年たったのか、という気持ち。いろんなことにあいりの意思を感じます」と話した。
 また、ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告に対しては、「被告のように人を殺すの(を求めるの)は本意ではないが、無期懲役だと納得できないと思う」と複雑な心境を語った。
 建一さんはこれまで、一貫してトレス・ヤギ被告の死刑を求めてきたが、取材には「時がたつにつれ、被告の生命も、あいりの命も、私の命も、一人一人大切なものではないかと考えるようになった」「控訴審で死刑が出ても、単純に喜べない。もし死刑が出なかったらホッとするかもしれない」と述べた。
 その一方で、無期懲役について「もし彼が出所して誰かを傷付けたら、誰が責任をとるのか。一生、中にいてほしい」とし、「同じように被害に遭った人や支援者のためにも、無抵抗な女の子が性犯罪で殺されるという事件を許してはいけない」と話した。(毎日新聞11月21日)

 「一貫して極刑を望んできた自分は正しかったのか」。法廷での陳述や取材を受けることを通してあいりさんの命の大切さを訴えてきたことが、被告の命を奪うことになるかもしれないという「矛盾」が建一さんを苦しめるという。