81歳母“ゴミ屋敷”で餓死、体重18キロの残酷 「私なりにベストは尽くした」55歳息子の言い分

2015-03-18 | Life 死と隣合わせ

 産経WEST 2015.3.18 07:00更新
【衝撃事件の核心】「私なりにベストは尽くした」55歳息子の言い分…81歳母“ゴミ屋敷”で餓死、体重18キロの残酷
 今年1月、奈良県内の住宅街で、住民の81歳女性がミイラのようにやせ細った姿で死亡しているのが見つかった。県警は死体遺棄容疑で、同居する55歳の息子を逮捕。その後、殺人容疑でも再逮捕したが、奈良地検は「殺意を認めるに足る証拠を収集できなかった」として殺人罪での起訴を見送り、保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪で起訴した。発見時の女性は身長134センチに対して体重18キロで、死因は栄養失調だった。自力で歩くことも食べることもできない母を死なせた息子は、遺体を5日間も放置したことは認める一方、「私なりにベストは尽くした」と話した。(橋本昌宗、浜川太一)
*「森の家」と称される“ゴミ屋敷”
 起訴されたのは、同県の無職、保田顕被告(55)。起訴状などによると、母の晴さん=当時(81)=が1月15日ごろ、食事の摂取量が減少し、手の震えが著しくなるなど極度に衰弱していると知りながら、医師の診察を受けさせるなど必要な措置を取らずに22日ごろ、栄養失調で死亡させたなどとしている。
 顕被告は晴さんと県内の住宅街で2人暮らし。周辺はきちんと手入れが行き届いた立派な“豪邸”が建ち並ぶが、2人の自宅は建物を覆うほどに木が生い茂っていた。庭には山積みされた段ボールの上に落ち葉が散乱しており、たくさんの野良ネコが出入りする“ゴミ屋敷”だった。近所の子供たちは「森の家」と呼んでいた。
 今年1月、奈良県内の住宅街で、住民の81歳女性がミイラのようにやせ細った姿で死亡しているのが見つかった。県警は死体遺棄容疑で、同居する55歳の息子を逮捕。その後、殺人容疑でも再逮捕したが、奈良地検は「殺意を認めるに足る証拠を収集できなかった」として殺人罪での起訴を見送り、保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪で起訴した。発見時の女性は身長134センチに対して体重18キロで、死因は栄養失調だった。自力で歩くことも食べることもできない母を死なせた息子は、遺体を5日間も放置したことは認める一方、「私なりにベストは尽くした」と話した。(橋本昌宗、浜川太一)
 捜査関係者によると、もともとこの家には晴さんが十数年前から居住していた。だが、昨年5月に買い物で大阪市内を訪れた際、タクシーを降りるときに転倒して右足を骨折。自力で歩くことが難しくなり、タクシーで通院するようになったことに伴って、大阪市内で暮らしていた顕被告が身の回りの世話をするために8月ごろから同居するようになった。
 福祉担当の職員によると、顕被告は役所に介護についての相談に訪れたこともあったが、介護保険制度などを説明した後は音沙汰がなくなったという。職員が数回にわたって顕被告宅を訪ねて晴さんに足の手術を勧めたが、晴さんが拒否。その後は、顕被告が「来ないでくれ」「電話もするな」と“断固拒否”の姿勢で訪れた職員を追い返していたという。10月以降は病院にも姿を見せなくなった。
 顕被告の供述などによると、晴さんは12月ごろから自力で食事ができなくなったという。だが、その後の顕被告はほとんど食事を与えなかったとみられる。
*体重18キロ、「ミイラ状態」で発見
 今年1月27日午前9時ごろ、顕被告が県内の総合福祉センターを訪れ、「母親が死んでたんやけど、葬式とかどうしたらええんや」と興奮した様子で問い合わせてきた。センター職員の連絡で捜査員が顕被告宅を調べると、晴さんの遺体を発見した。捜査関係者によると、家の中はごみが散乱し、晴さんはごみだらけの台所であお向けの状態で寝かされていた。司法解剖の結果、死因は栄養失調と判明した。捜査関係者は「要するに餓死だ。生きたままほぼミイラのような状態になっていた」と話す。
 顕被告は逮捕当初、「死んでいるのは分かっていたが、放置した」と容疑を認め、晴さんが体重18キロになるまで放置したことについて「死んでも構わないと思った」など供述。このため、県警は顕被告が「放置すれば死ぬことが分かっていながらあえて放置した」として、「未必の故意」を適用、殺人容疑で再逮捕した。
 だが、再逮捕後の顕被告は一転して容疑を否認。晴さんが死亡した経緯について「ルーズで不適切な(面倒の)見方だったかもしれないが、見ていた」「しっかり(面倒を)見なかったから(死んだ)というのはあります」「私なりにベストは尽くした」などと話したという。
 結局、奈良地検は「殺意を認めるに足る証拠を収集できなかった」として殺人罪での起訴を見送り、保護責任者遺棄致死で起訴した。
 厚生労働省によると、家族や親族による高齢者虐待の被害者は平成25年度の1年間で1万6140人に上る。加害者は、被害者の「息子」41・0%、「夫」19・2%、「娘」16・4%で、息子が最多となっている。
 捜査関係者は「何週間も食事を与えなければ死ぬことは、誰にでも分かること。『見方がルーズだった』では通用しない」と話している。
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