中日スポーツ 2007年10月17日 紙面から
中日・立浪和義内野手(38)が16日、ナゴヤドームでの練習中に落合博満監督(53)と立ち話ながら約1時間も話し合った。最初は監督から“代打の切り札”立浪への打撃アドバイスだったが、立浪も質問をぶつけた。18日から始まるクライマックスシリーズ(CS)第2ステージ(東京ドーム)の巨人戦に向けて、将と「竜の顔」であるベテラン打者が力を合わせる。来季の打撃コーチ兼任が内定している立浪が“前倒し”で、監督をアシストする。
話し合いはアドバイスから始まった。打撃ケージ裏、打撃練習を終えた立浪のもとへ落合監督が歩み寄った。バットを構え、身ぶりを示す監督の話を聞く立浪。5分、10分…。いつの間にか肩を並べて2人で話し込んだ。時折笑顔で、身ぶりも交えて話しているうちに、時計の針はどんどん進んで、終わったときは1時間もたっていた。
「バッティングの話をしてました。最近、上体が突っ込んでるんで」
立浪はすっきりとした表情だった。阪神相手のCS第1ステージの立浪の打撃成績は左飛と三飛。第2ステージへ向けて代打の切り札の勝負強さ復活へ、落合監督がアドバイス。そして、打撃を極めた者だから分かる話し合いへ。巨人を倒すために、立浪も知恵を出して監督に何らかの進言をしたのかもしれない。それほど濃密な時間だったが、立浪にとってはあっという間だった。
「長かった? こっちも聞きたいことがあって、聞いてたんで。それ以外は世間話ですよ。1時間? そんなにたったの」
野球が大好きな2人だからこそ、時間を忘れるほど話が盛り上がる。立浪は来年は打撃コーチ兼任が内定している。既に若手の打撃指導を積極的にしているが、監督と意見を交換したことで、自らの打撃だけでなく、他の選手の打撃も新しいところが見えてくる。
この日も立浪は平田にアドバイスを送っていた。第2ステージでも先発出場の可能性が高い平田の能力をさらに伸ばしたい。日本一まで勝ち抜くために、教えることも惜しまない。
「何? きょうは(試合が)休みだから何もないよ」と落合監督は会話の内容は何も話さなかったが、コーチ兼任内定の立浪に求められている仕事はその打撃力だけではない。将とグラウンドで肩を寄せてじっくりと語り合ったツーショットの姿は、日本シリーズ出場に向けた竜進撃を予感させた。 (山本諭)