http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/hikari5.htm
たとえば今回のように、わずか2週間しかなく、しかも本人は事実は違うと言っている、証拠を見直さなければいけないというときに、2週間で準備できるはずがありません。それでも、裁判所は弁論を強行し、結審し、判決を出そうというのです。こういうときに、私たちは、準備なしに裁判所に出かけていって、まともな弁護もできないまま裁判を結審せざるをえないのでしょうか。私たちは、弁論期日の延期を求めましたが、裁判所は即座にこれを拒否しました。しかし、14日ではとても準備ができませんし、すでに他の変更できない重要な仕事も入っています。それで、14日は欠席せざるを得ないと判断したのですが、そのことについて、事前に欠席届けを出すことなく、前日の13日の午後になるのを待って欠席届を出しました。それは、前から出しておけば、出ないおそれがあるということで違う弁護人を選ばれるおそれがあったからです。ですから、今度は、翌月の18日だと一方的に指定してきたときに、再度、異議を言おうかと思ったのですが、出ていかざるをえないと決断したわけです。もしそうすれば、別の弁護人が選ばれることになって、結局、被告人の弁護を受ける機会が実質的に奪われてしまうからです。このことからも、分かっていただけるように、私たちは、被告人の弁護を受ける権利を裁判所に人質としてすでにとられてしまったのです。この新法によって、闘えば、被告人の権利が侵害されるという、ジレンマに私たちは突き落とされてしまったのです。
裁判の迅速化、あるいは裁判員制度と言われながらも、実は根底のところで、刑事司法は変えられてしまったんです。弁護人が被告人の権利を守ろうとしても守れないシステムがすでに出来てしまったんです。これが今の刑事司法です。
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http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/kyouaku4.htm
村上 ちょうど安田先生が例の光市の事件の最高裁の口頭弁論欠席の理由に日弁連の仕事を挙げておられましたので、話題になったのが実はこの模擬裁判です(笑)。そのときの司会が僕で、安田先生には解説していただきました。弁護士が裁判員裁判を迎えて、死刑事件にどうやって取り組むかというのを、実際我々がやってみたんですね。
そのやり方として、本来あるべき刑事弁護人がやらなければいけないことを体現する弁護人と、今一般に見られる弁護士の死刑に対する取り組み、つまり、陥りがちな弁護活動の二つを対比して、実際に捜査段階で被疑者に対してどういう対応をするか、あと公判前整理手続きが始まったときにどういうような方針でどうやって取り組んでいくか、それから裁判員裁判になったときに被害者遺族への尋問のあり方だとか弁論に対してどういうふうにやるかというのを実際に生でやってみたんですね。ですから、午前11時から午後5時まで、ぶっ続け状態で準備しました。その前日のリハーサルも朝から晩までぶっ続け状態で準備しました。これはもう日弁連の取り組みとして半年前から決まっていて、日弁連としては全国の弁護士に衛星中継で流しますので、お金もものすごくかかる大事業だったんですね。
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安田弁護士、処分せず=光市母子殺害-第二東京弁護士会
12月22日10時31分配信 時事通信
山口県光市の母子殺害事件で、殺人罪などに問われた元少年の弁護人2人が昨年3月の最高裁弁論を欠席し、遺族から懲戒請求された問題で、第二東京弁護士会は22日までに、主任弁護人の安田好弘弁護士を「懲戒しない」と決定した。
元少年の上告審で、最高裁は昨年3月14日を弁論期日と指定していた。安田弁護士らは弁護人に就任して間もないことから訴訟記録の検討が不十分として期日延期を求めたが、却下された。期日前日に「当日は日弁連による裁判員制度の模擬裁判のリハーサルに重なる」として欠席届を提出し、出廷しなかった。
遺族の本村洋さんが訴訟遅延行為に当たるとして、2人の所属弁護士会に懲戒請求を申し立てていた。