産経ニュース 2016.3.12 10:00更新
【栃木女児殺害事件公判・第2週】「もう無理!」検察官の追及に被告は激しく取り乱した 緊迫の取り調べビデオに固唾を飲む法廷(3月4~10日)
平成17年に起きた栃木県今市市(現日光市)の女児殺害事件で殺人罪に問われた栃木県鹿沼市、無職、勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判は3月4日の第5回公判で、自白の任意性について冒頭陳述があり、自白供述に関する審理が始まった。自白の任意性は裁判での大きな争点の一つ。証人尋問のほか、9日の被告人質問、10日の取り調べの録音・録画の再生などで審理が続いた。
●3月4日
公判前では「第三者が殺害」。被告は供述をたびたび変遷させた
【検察側】任意性が争われているのは「検察官1人に対する自白」。そのほかの取り調べではない。26年6月11日に被告は同検察官に対して自白し、その後、5通の供述調書が作成された。被告は取り調べを通じて、記憶と違う点や否定したい点ははっきり否定していた。調書の作成を拒む場面もある。検察官の違法、不当な言動もない。
【弁護側】強制的、不当に長く勾留された末の自白で任意性は認められない。パニックになり、供述調書にサインをした。警察官に右手で左ほほを平手うちされ、頭をぶつけてけがをした。商標法違反事件を利用した違法な取り調べ。別件逮捕から自白まで身柄拘束は123日間に及び、不当に長く拘束された。
また、検察側は4日の被告人質問で、勝又被告の公判前整理手続き中の供述の変遷について問いただした。
検察側によると、逮捕時に殺害を認めていた勝又被告は、殺人罪で起訴された後、供述が変遷。被害者、吉田有希ちゃんを連れ去ったことを認める一方、殺害したのは第三者と話していた。
公判前整理手続きで、被告は「無理やり有希ちゃんを車に乗せ、布テープで縛って口をふさぎ、スタンガンを当て、目に布テープを貼り、わいせつ行為に及んだが、そこに第三者がやってきて、バタフライナイフで有希ちゃんを刺し殺した」との趣旨で事件を説明。第三者とは誰を指すのか明らかにするよう求めた検察側に対し、被告は弁護人を通じて「(第三者を)かばうため明らかにできないという意思がある」と返答したという。
昨年5月ごろからは連れ去りやわいせつ行為も含めて全面否認し、第三者の話は嘘だったと主張を翻した。勝又被告はこの日の公判で「弁護士から矛盾を指摘され、自分でも変だなと。ちゃんと話さないとちゃんとした裁判を受けられない」と説明。実在しない第三者をかばうと主張した理由を問われると、「存在しないから明らかにできない」と答えた。
●3月8日
遺体解剖の医師は「殺害現場と遺棄現場は違うはず」と、自白の矛盾を指摘した
第6回公判。吉田有希ちゃんの遺体を解剖した本田克也筑波大教授(法医学)が出廷、被告の自白が遺体発見時の状況と矛盾する点があることを証言した。
検察側は「被告は17年12月1日午後、有希ちゃんを車で連れ去り、2日、車で山林に連れていって同日午前4時ごろ、ナイフで刺して殺害、遺体を山林内に投げた捨てた」としている。
だが、本田教授は、死因が失血死だったのに、遺棄現場のルミノール反応は「指を切ったか鼻血程度の量。大量の血液が出た場合は血だまりなどができるはずで、この場だと説明できない」と述べ、血液が凝固する前に遺棄された可能性を否定。「林道で刺して、十数メートル離れた場所に投棄した」という被告の自白について、「殺害現場と遺棄現場がほとんど変わらないというのはありえない」と述べた。
また、傷の深さから凶器は刃渡り約10センチ前後の刃物と推定。遺体の傷は胸に集中しており、「手足にはテープが巻かれたとみられる痕があった」と証言。右首筋の傷について、検察側がスタンガンによる傷と主張しているのに対し、本田教授は「ひっかき傷。細い線があるので、爪を立てた痕とするのが妥当だ」との見方を示した。押収品と同じ型の製品を自らの手と腹部に当てて実験したという。
本田教授は弁護側の最後の質問に対し、「再鑑定をすれば絶対真犯人が見つかる」と熱弁。有希ちゃんの頭に付着していたガムテープから採取されたDNA型について、有希ちゃんや警察関係者のものを除き、不明なものがあると説明。勝又被告のDNA型は採取されなかったという。
公判後、弁護団の一木明弁護士は「最低でも2人分、説明のつかないDNA型が検出されている。粘着面から検出されているのでテープを貼るか剥がすかした人物のもので、真犯人の可能性もある」と述べた。
●3月9日
殺害認めた自白について担当検事は「質問に動揺、被告は震えていた」。被告は「怒鳴られて否認できず」と反論
第7回公判の被告人質問は、初めて殺害を自白したとされる26年2月18日を中心に取り調べが適正だったかどうかを焦点を当てて行われた。
弁護人の質問に勝又被告は、「殺していないと話すと、検事に怒鳴られ、否認できなくなった」とし、パニックになり、自白を認める供述調書にサインしたと証言した。
一方、午後に検察側証人として出廷した男性検事も26年2月18日の取り調べについて証言。「殺人について聞くと、被告はガタガタ震え始めて動揺した」と説明。被告は呼吸を荒らげ、むせび泣いたと振り返り、「殺していないのなら、あんな態度は取らないと思った」と述べた。供述調書の署名の強要などの威圧的な取り調べはなかったとし、被告との説明とは大きく食い違った。
《弁護人と勝又被告の主なやり取りは次の通り》
--2月18日午前、検事に「人を殺したこと、あるでしょ」や「君にしか考えられない事件がある」と言われて、どうした
「『殺してません』と答えた。『殺したこと、あるでしょ』『ないです』と2、3回繰り返すと、検事は怒り始めた。『いいかげんにしないと家族に迷惑がかかるぞ。大変なことになるぞ』と言われた。声は大きく、怒鳴られた。机の上の書類をバンとたたきつけた」
--被告はどうなった
「怖くて縮み上がった。事件が何のことか分からなかったけれど、何の事件なのか考え始めた。頭が混乱してパニックになった。けれど、『していない』というと怒られるから、それも言えなくなった」
--考えて、「事件」とは何か分かったか
「以前、家に刑事が来た今市事件のことかなと」
--2月18日の夕方の取り調べは録音・録画がされていたのを知ってるか
「あ、はい」
--午前と夕方で検事の態度は変わったか
「優しくなった」
《検察官と男性検事の主なやり取りは次の通り。同じ取り調べの状況について被告の説明と大きく食い違った》
--黙秘権は告知したか
「毎回した」
--2月18日の取り調べは?
「この日も『言いたくないことは言わなくていい。黙秘権があるから』と告知したら、うなずいていた。(商標法違反事件の取り調べ中は)落ち着いた様子」
--今市事件を想定していたか
「はい。どういう反応をするか勘を取ろうと『人、殺したことある?』と聴くと、『えっ』と言って目を宙に泳がせた。質問を続けると、ガタガタと震え始め、動揺していた。商標法違反事件とは違う反応で、『何でそんなに動揺しているの』と聴くと、『やってない』みたいなことを言った。『殺してないなら何でそんなふうになったの』と聴くと、『あーっ』と声を上げ、むせび泣いた」
--その後は
「なぜ事件を起こしたのか聴いた。『大沢小近くで誘拐したのか』と聴いたが、なかなか答えなかったり黙ったりしていた。遺体に殴られた痕があったので『殴って拉致したのか』と聴くと、首を振って『それはしていない』と。『凶器を捨てた』というのは被告から。『刃物で刺して殺したのか』は私の方で誘導したが、うなずいていた。聴いた内容をまとめ、事務官がパソコンに打ち込んだ。2枚くらいになったものを被告の机に置いて示した」
--被告は調書を読んでいたか
「ゆっくり読んでいた。間違いないか確認すると、うなずいていた。署名するまでにひと呼吸あった」
--早く署名しろと迫ったことは
「ないです」
--ファイルをたたく、怒鳴ることは
「ないです」
●3月10日
取り調べの録音・録画が再生される。「気持ちの整理」「後で話す」-被告は何度も逡巡した
10日は、取り調べの際の録音・録画が初めて再生された。自白の信用性、任意性が争点となる中、この日は商標法違反事件で勾留中だった平成26年2月18日午後と同21、25、27日の4日間の取り調べの映像が計110分再生された。
勝又被告は同18日午前、初めて被害者、吉田有希ちゃん=当時(7)=の殺害を自白して供述調書にサインしているが、この際の状況は記録されていない。同日午後の取り調べでは、勝又被告が調書にサインしたことを「覚えていない」と震えながら答える様子や、男性検事に「早く話して楽になりたい」とこぼして涙を流した様子も映し出されていた。25日には、厳しい取り調べに耐えきれず、「もう無理」と窓に突進する様子も。映像を見ていた勝又被告は時折、顔を紅潮させながらメモを取っていた。
この日の公判で再生された取り調べの主なやり取りは次の通り。
《2月18日午後の取り調べから映像が再生された》
検事「今から聞くのは吉田有希ちゃん殺害事件。カメラがあって録音・録画している。言いたくないなら言わなくていい。殺人事件については逮捕していないので取り調べに答える義務はない。体調は大丈夫か」
被告「まあまあ」
検事「震えているけど大丈夫か」
被告「はい」
検事「午前中の取り調べで、やりましたと話したよね」(被告は無言のまま)
検事「そうだったよね」
被告「覚えていない」
検事「覚えていないの。午前中のことだよ」
被告「パニックになっちゃった」
検事「今市事件は栃木県内で有名になっていることは知っているよね」
被告「うん」
検事「君が起こしたということでいいのかな。無理なら言う必要はないが、正直にしゃべってほしい。午前中言っていたじゃないか」(被告は無言を続ける)
検事「私としゃべったことは覚えているか」
被告「しゃべっていたような感じ。真っ白…」
検事「何で覚えていない。書類を作ったのは覚えているか。(被告は首を振る)覚えていないの。(被告がうなずく)午前中の取り調べを覚えていないか」
被告「思い出せない」
《場面が切り替わる》
検事「午前中は置いといて、8年前の事件を聞かざるをえない。拓哉(被告)が殺しちゃったのは間違いないってことでいいんだよね。(被告は無言)こっちもある程度分かっている。大変なことをやってしまったと思う。後悔しているだろう。今までつらかったろう」
被告「ちょっと時間…」
検事「そしたら話してくれるのか。(被告がうなずく)殺したかどうかだけ聞かせてくれ」
被告「はー、はー」(息が荒くなる)
検事「やっていないのにやったとは言うなよ。ただ、被害者や遺族もかわいそうだろ。そう思わないか」
被告「2、3日…」
検事「2、3日待ったらちゃんと話すか」
被告「うん」
検事「分かった、今日は終わりにしよう。(被告が泣き始める。検察事務官を制止して)何で泣いているの」
被告「はー、はー」(息が荒くなる。息を深く吸い込む。答えずに終わる)
《場面は2月21日の取り調べに切り替わる》
検事「殺人事件について聞く。震えているけど大丈夫か」
被告「うん」
検事「言いたくないことは言わなくていい。カメラがあって録画している。商標法違反事件で勾留しているけど、こっちとしては聞かざるをえない。体調は大丈夫か」
被告「ああ、大丈夫」
検事「8年前の事件。君が起こした事で間違いないよね」
被告「ふー、ふー」(息が荒くなる)
検事「震えているけど、どうして。(被告は泣き始め、手で涙をぬぐう)2、3日前には話してくれると言ったよね」
被告「ふー、ふー」(息が荒くなる)
検事「話せることだけでいい。やっていないんだったら、やっていないとはっきり言ってくれ」
被告「思ったより気持ちの整理に時間がかかる」
《被告は家族のことを心配していることなどを途切れ途切れに話す》
検事「寝れているか」
被告「悪夢を見るから」
検事「どんな」
被告「地面から赤い手が自分を引っ張っていくような…」(この後の声は聞き取れない)
検事「怖いか」
被告「そう。2、3時間で目が覚める」
検事「どうしてこんな夢を見る。(被告は顔を手で覆い、「はー」「はー」と息が荒くなる)いつから見るようになった」
被告「しばらく眠れなかった。その後から」
検事「偽ブランド事件で取り調べたときと様子が違うよな。自分でも分かるだろう」
被告「うん。ありすぎて…」
検事「いろいろありすぎて分からない?」
被告「うん。全部に対して申し訳ない気持ちがある」
検事「全部とは」
被告「多すぎて」
検事「誰に対して」(被告の息が荒くなる。何か言っているが、聞き取れない)。何? いたずらした女の子か」
被告「はー、はー」
検事「いたずらした女の子がかわいそうじゃないのか」
被告「代わりに死ねばいい…、未だに無職の…」
検事「代わりとは、誰の代わり」
被告「ふー、ふー」
検事「吉田有希ちゃんのことか」
被告「生き返って…」
検事「拓哉、お前もつらいかもしれないが、被害者とか遺族は、もっとつらいんだぞ。(被告はむせび泣く)遺族が一番つらい。何があったか話すのは君の責任じゃないのか」
被告「はあ、はあ、あぁーっ、ごめんなさい。すいません」
《場面が切り替わる》
検事「お姉さんと会ったら事件について話すのか」
被告「会って自分の口から言いたい。今までお世話になった…」
検事「お姉さんと会ったら話してくれるか」
被告「それが最後の心のつかえ」
検事「お姉さんに言って、その後に話さないとは言わないか」
被告「ない」
検事「お姉さんに何と伝えるんだ」
被告「詳細は後でマスコミで分かるだろうけど、とんでもないことをやったって。ごめんねって」
検事「言うの」
被告「言う」
検事「具体的な事は言えるのか」
被告「言えない」
検事「お姉さんに言った後だったら話してくれるか」
被告「はい。早く話して楽になりたい」
検事「2、3日後に気持ちを整理して、しゃべってくれたらいいが、ほんの少しだけ、少しだけ聞かせてくれ。殺人はやっていないのか」
被告「ふー、ふー」
検事「やって…」
被告「それだけは本当に後にして下さい」
検事「知らない女の子だった?」
被告「知らない」
検事「どうやって車に乗せた」
被告「声を掛けた」
検事「どうやって」
被告「お父さんに頼まれた。お母さんが大変だ。だから乗ってくれと」
検事「お父さんとお母さんは知り合いか」
被告「知らない」
検事「どこに乗せた」
被告「後ろ」
検事「(被告が)車から降りたのか」
被告「車から(声を掛けた)」
検事「窓を開けて、しゃべったということだな。そしたら何て言われた」
被告「『えっ』て」
検事「どこに乗せた」
被告「こっち(後ろを指す)」
検事「真後ろの座席か」
被告「真後ろに乗った」
検事「女の子は一人だったか」
被告「うん」
検事「歩いていた?」(被告は無言)
検事「周りに人は?」
被告「いない」
検事「女の子に声を掛けて、何がしたかった」
被告「ふー、ふー。これは後で」
《場面が切り替わる》
検事「アパートに行くまで何をしゃべった。(被告は無言)どこに行くか聞かれたか」
被告「した。ふー、ふー。病院」
検事「何で病院と言った。母親が大変で病院ということにしたのか」
被告「うん」
検事「女の子は君の事を信じていたか」
被告「分からない」
《場面が切り替わる》
検事「車をどこに止めた」
被告「アパート」
検事「(女の子が)『病院じゃないじゃん』とか言わなかったか」
被告「分かんない」
検事「部屋に入った?(被告がうなずく)どうやって部屋に連れていった」
被告「はー、ふー。(顔を手で覆う)途中の詳細は後でお願いします」
検事「お姉さんに言ったら詳細をしゃべるんだな」
被告「うん。早く、言って、本当に早く言いたい」
検事「やってないということはないんだな。一言でいい」
被告「はー、ふー。それも後にして」
検事「そこも駄目なの。火曜は殺したって言っていたじゃん」
被告「本当に覚えていない」
検事「刺した包丁はどこ」
被告「やま」
検事「山? どこの山」
被告「はーはー。あー、これも後でお願いします」
検事「何で言えない」
被告「重い、重い」
検事「帰る時に車の中から捨てた? 山に」
被告「うん、うん」
検事「帰るってどこから」
被告「あー、あー、茨城」
検事「茨城の山に女の子の遺体を捨ててからか」
被告「帰り道に…」
検事「帰り道。女の子を捨てた場所とナイフを捨てた場所は近いか」
被告「分かんない。帰り道に迷子になったから」
《2月25日の取り調べ》
検事「新しい気持ちで話してな。吉田有希ちゃんを殺したよね?」(被告は深呼吸を繰り返す)
被告「昨日、姉と話せていろいろと心のつかえが取れて…。(深呼吸)それでその後すぐ弁護士が会いに来た。やっと弁護士にちゃんと話せた感じだった」
検事「君さ、被害者のこと考えてる?(被告がうなずく)自分のことと被害者とどっちが大事だ」(被告は無言。このようなやり取りが続く)
検事「遺族も君に一番話してほしいんだよ」
被告「はい」
検事「不利益におとしめようとか、そんなことないの。今、話してほしいわけよ。ずっと話さないつもりか。まぁ、いつまでも悪夢を見続けろって話だけど」
被告「あぁー…」
検事「いつまでも遺族とかいろんな人間に恨まれ続けて生きていけばいいよ」
被告「もう無理、もう無理、もう無理ーっ」(何回も叫ぶ。泣き叫んで腰縄で結ばれた椅子ごと立ち上がり、検事の後ろの窓に突進。取り押さえられる。画面から消えても3分ほど泣き声が続いた)
《2月27日の取り調べ》
検事「今日も吉田有希ちゃんの事件について聴きますから。黙秘権はあります。任意の取り調べで録音・録画してます。こないだ火曜夜は…(25日に突然、窓に突進したことについて)」
被告「すいません」
検事「どうしたんだ。(被告の答え、聞き取れず)別にいいよ。つらかったんだろ」
被告「うん」
検事「どんな気分になっちゃったの」
被告「飛び降りたら楽だなあって」
検事「自殺しようとしたの。(被告は首かしげる)この間、姉と会ったら話すって言っていたのに、火曜は言わないって…。信じてたのに。葛藤もあってパニクったんじゃないの。(被告は首かしげ、うなずく)何で後ろじゃなくて窓に…」
被告「何か(後ろに)壁があったから」
《場面が切り替わる》
検事「逃げたい自分がいるのか。(被告は何度も首かしげ)あれか、黙っていれば処罰されないんじゃないかみたいな一筋の希望を見出したのか」
被告「弁護士…。弁護士と話せば話しているほど言えなくなってきて…」
検事「自分どうなるか怖くなっちゃったの。それはみんな怖いんだよ。でも段階を踏むわけ。凶悪犯罪した人も被害者や遺族を思って話してるわけよ。話さない人もいるけどさ」
被告「話さない…、ずっと話さないつもりはない。自分でも耐えられないと思っている。ずっと話さないのは無理」
検事「じゃあ、今話せばって言ったら、こないだ、お姉ちゃんと会った後って言ってたけど」
被告「姉と話した後、弁護士が来た。それで弁護士にはちゃんと話せるようになったんだよね。話し始めたらもうどんどん姉と会った直後に全部飛んじゃって…」
検事「先週はさ、しゃべっていたじゃない。しゃべっていたところ録音・録画してたし、君は真っ白で覚えてないって言うけど、調書もあるんだよ。それ以外にも君が犯人と思う証拠あるんだけど。今さらしゃべんなくなっちゃうのはみっともないと思うの」
被告「いくら刑事に言われて、いくら思い出そうしても全然…」
検事「覚えてないの。パニクった?」
被告「いや、もう、どうしたのか全然覚えてない。思い出すように何回も言われたけど…」
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ 今市事件裁判・勝又拓哉被告 第1週(2016/2/29~3/4)終了 2週目は自白の任意性、本格審理へ
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