激しい苦痛伴う焼身自殺をなぜあえて選ぶのか 中国に抗議=チベットで1人デモ頻発 (SAPIO2016年4月号) 

2016-03-13 | 国際/中国/アジア

チベットで1人デモ頻発 理由は電気と水の供給停止
 NEWSポストセブン 2016.03.09 16:00
 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世のチベット帰還や信教の自由を求めるチベット人の焼身自殺者は2009年2月から昨年4月までの約6年間で143人にも及んでいる。チベット亡命政権の政治的最高指導者、ロブサン・センゲ首相はインタビューに応じ、現状を語った。中国内では昨年4月以来、新たな自殺者は出ていないものの、これは中国政府が自殺者を出した町や村に対して、電気と水道の供給を停止するという容赦ない厳罰を科しているためであることを明らかにした。ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。
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  昨年の年末も押し迫った中国四川省の甘孜(カンゼ)チベット族自治州の州都・康定市の中心部で、チベット仏教僧が1人で「ダライ・ラマは永遠に」「チベットの自由、独立を」などと叫んでデモを行った。しかし、その10分後には警官隊によって身柄を拘束され、いずこかに消えた。その後、彼を見た者はいない。カンゼでは、その2か月前にも同じような光景が展開されたが、その際のデモ抗議者もいまだに消息不明だ。
  センゲ氏によると、チベット自治区や四川省や青海省などのチベット人居住区では僧侶や尼僧、学生や遊牧民、あるいは主婦らチベット人市民による「たった1人の抗議デモ」が盛んに行われるようになった。その理由が電気と水の供給停止だ。
  そもそも、2009年以降、チベット人による焼身自殺がなぜ頻発したのか。その前年の2008年3月10日、チベット自治区の区都ラサで、中国の圧政に抗議するチベット人による大規模な騒乱が起き、中国全土のチベット人居住区に抗議行動が拡大した。この年の3月10日は1959年のダライ・ラマ14世のチベット脱出の契機となった「チベット蜂起」の49周年記念日だった。
  当時の胡錦濤指導部が人民解放軍や武装警察を出動させた結果、チベット人に多数の犠牲者を出し、騒乱は鎮圧された。チベット亡命政府はチベット人の死者は203人、負傷者は千人以上で、少なくとも5715人が拘束されていると発表。中国はこの騒乱以後、厳しい弾圧に乗り出すことになる。
  その後、軍などの僧院封鎖網は厳しさを増し、多くの僧侶が国家反逆罪などで逮捕されるなど中国側の弾圧はますます激しくなっていった。
  僧院ではこれに対して、焼身自殺という手段で抗議する者が多発した。
 ※SAPIO2016年4月号

チベット人 激しい苦痛伴う焼身自殺をなぜあえて選ぶのか
 NEWSポストセブン 2016.03.10 16:00
 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世のチベット帰還や信教の自由を求めるチベット人の焼身自殺者は2009年2月から昨年4月までの約6年間で143人にも及んでいる。チベット亡命政権の政治的最高指導者、ロブサン・センゲ首相は本誌のインタビューで、中国内では昨年4月以来、新たな自殺者は出ていないと説明。その代わりに「一人デモ」が相次いでいるという。しかし、そもそもなぜチベット人は焼身自殺という手を取らざるを得なかったのか。ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。
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  1985年から亡命政府の専属建築家としてインド・ダラムサラに住み、チベット問題専門のニュースサイト「チベットNOW@ルンタ」で、中国内のチベット人の状況を詳細に伝えている中原一博氏はその著『チベットの焼身抗議 太陽を取り戻すために』(集広舎刊)のなかで、次のように書いている。
 「焼身は自殺の中でも最も激しい苦痛を伴うものと言われている。体液は沸騰し、眼球は膨張し破裂する。息をすれば、気管と肺は焼け、激しい痛みと共に呼吸困難に陥る」(同書6ページ)
  つまり、自殺の方法として焼身を選ぶことは、激しい苦痛を伴うことから、しっかりとした覚悟がいる。生半可な決意では、その苦痛を耐え忍ぶことはできないし、生き残ってしまえば、全身にやけどの跡が残り、その後死ぬまでまともな生活を送ることができない。そのような覚悟を中国側に見せて、「われわれは絶対に中国には屈服しない」ということを中国側に分からせるために、焼身という手段をとるのだ。
  これについて、センゲ氏は「激しい苦痛を伴っても、生きているよりも死んだ方が楽だから焼身自殺を図るのだ。チベット仏教では死ぬことは最終的な終わりを意味しない。死ねば、必ず生まれ変わる。輪廻転生だ」と表情をゆがませた。
  さらに、センゲ氏は「たしかに、この1年間、焼身自殺は起きていないが、だからと言って彼らの不満が消えたわけではない。いや、彼らの不満は年々増幅しているのだ」と語り、その証拠にたった1人の抗議デモが頻繁に起きていると強調した。
  官憲に捕まれば、牢獄でのひどい拷問が待っている。拷問で指がなくなり、足がなくなり、手もなくなることもある。眼球が抉り出されたり、歯が全部なくなる例も報告されている。
  耐え難い苦痛が待っていることも分かっているとして、「しかし、これこそ死を覚悟した抗議行動だ。生命を賭けても、抗議せざるを得ない状況に追い込まれているのだ。それは、僧侶であろうが、一般市民であろうが、社会的にも、政治的にも、経済的にも厳しい差別や弾圧が日夜繰り広げられているからだ」とセンゲ氏は声を詰まらせた。
※SAPIO2016年4月号

 ◎上記事は[NEWSポストセブン]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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