ハンセン病回復者と妻の物語 ドキュメンタリー映画に 戸田ひかる監督は19年5月~20年2月、夫妻に密着

2021-04-24 | Life 死と隣合わせ

 ハンセン病回復者と妻の物語 ドキュメンタリー映画に   差別に耐えーーー愛に救われ
 中日新聞 夕刊 2021年4月24日

 結婚五十年を迎えたハンセン病回復者の石山春平さん(85)と妻絹子さん(82)=川崎市宮前区=の日常を追ったドキュメンタリー映画が完成し、今月からインターネット上で公開されている。戸田ひかる監督(37)=大阪府=が十カ月にわたり夫妻に密着して製作した。春平さんは「仲間のためにも、差別意識を払拭したい」と出演を決意した理由を語る。 
 ドキュメンタリーは、長年連れ添った6カ国のカップルの日常に焦点を当てる「マイ・ラブ:6つの愛の物語」の日本編として製作された。動画配信大手「ネットフリックス」でネット配信されている。 
 後遺症で手が不自由な春平さんのひげそりを手伝う絹子さん。団地の庭で盆栽の手入れをし、保育園児の列に手を振る姿など、穏やかな夫妻の日常が伝わってくる。 
 ハンセン病患者が受けてきた差別を語る春平さんの講演の場面。「私は小学6年で学校から追放され、大切な学び場を失いました」。苦悩する父親の姿や、社会から隔離された15年間の療養所生活を振り返った。職員として働いていた絹子さんからプロポーズされたのをきっかけに、32歳で社会復帰。1970年に結婚した。 
 当時、健常者との結婚まれだった。(中略)
 夫妻は生まれた子どもが差別を受けないようにと、社会復帰後も元患者であることを周囲に知られないように生きてきた。ハンセン病を公表したのは、隔離政策は違憲として国に賠償を命じた2001年の熊本地裁判決の後のことだ。
 「汚い病気、と言われてずっと追いやられてきた。映画に出るのはためらいもあった」。春平さんは本紙の取材に明かした。「でも、仲間のためにもハンセン病への差別意識を払拭したくてね。今は治るし、決して怖い病気じゃないと知ってもらいたい。もう85歳。自分を恥じることはないし、記録に残したいとも思った」と語る。
 監督の戸田さんは19年5月~20年2月、夫妻に密着。「ハンセン病による強制収容や家族への差別といった問題を知るほどに、自分たちのマジョリティーの加害性をより強く意識するようになった」と話す。
 新型コロナウィルス禍でも差別や分断は起き、ハンセン病の問題と今は地続きにあると感じている。
 「問われているのは映画を見る側の視点。私が受け取った夫妻の優しさや心(しん)の強さを感じてもらい、その人が社会や他者に向けるまなざしへとつながっていけばと願う」

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2021.4.24 Satur〉
 人類は「差別」しないでいられない原罪をもつ。コロナ禍でも、つくづく感じてきたことだ。この国では「天皇制」が何千年にわたり存続し、雲の上の人たちとその周辺への興味関心も尽きない。人類とは、つくづく因果な動物だ。アメリカでは「黒人差別」。
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