中国新聞 '07/9/18
山口県光市・母子殺害事件の差し戻し控訴審公判が十八日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で開かれ、元少年(26)=事件当時(18)=は「結果的に人を殺してしまったことを『殺人』と認識していた。傷害致死という言葉自体知らなかった」と述べ、捜査段階から殺意は認めていなかったと主張した。
本村弥生さん=当時(23)=と長女夕夏ちゃん=当時(十一カ月)=が殺されたこの事件で、元少年は捜査段階や一、二審で殺意や性的暴行目的を争っていなかったが、差し戻し審ではこれらを否認。弁護側は「傷害致死にとどまる」と主張している。この日の公判では、これまでの供述の変遷について弁護側による被告人質問が行われた。
元少年は「(捜査段階で)検事に『性的暴行が目的でないと言い張るなら死刑の公算が高まる。生きて償いなさい』と言われ、検事のつくった調書にサインした」と述べた。一審の検察側冒頭陳述について「違和感を覚えたが、異議を申し立てる権利を知らなかった」と話した。
「孤立状態は深かったか」と弁護人に問われた元少年が「大変深いものがあった。自分以上に苦しんでいる人がいるので、自分の苦しみを公言できなかった」とすすり泣く場面もあった。
被告人には障害をもっているから、なかなか文だけでは様子の伝わらない所がありますね。