土浦8人殺傷事件〈金川真大被告〉 第3回公判 被告人質問 3

2009-06-05 | 死刑/重刑/生命犯

土浦8人殺傷事件〈金川真大被告〉 被告人質問2 (第3回公判) ⇒

 《女性裁判官の質問が続いている。金川被告の性格を見極めようとしているのか、内面を探る質問を繰り返す》
 裁判官「高校ではずっと弓道をやっていましたが、部活を辞めたことで変化はありましたか」
 金川被告「ないです」
 裁判官「いつもやっていたことがなくなって、何かつまらないなという感情はなかったですか」
 金川被告「ないです」
 裁判官「『彼女や友人がいたらいいかな』という話をしていますが、どういう友人が良かったんですか」
 金川被告「刎頸(ふんけい)の友とか、管鮑(かんぽう)の交わりとか、そういう関係が築ければ、いたほうがよかった」
 《金川被告は中国の故事を引き合いに出して答弁するが、裁判官が具体的にその意味を問いただす》
 金川被告「お互いによく理解し合って助け合える関係。そこまで親しく理解し合える人とは出会えていない」
 裁判官「これからも出会えないと思いましたか」
 金川被告「それは分からないです」
 裁判官「調書の中に『人から賞賛される仕事をしてみたい』とありますが、そういう気持ちはありますか」
 金川被告「少しはあります」
 裁判官「今回の事件は賞賛されると思いましたか」
 金川被告「それはないですね」
 裁判官「人から注意されることや、指示されることは好きですか。嫌いですか」
 金川被告「それは嫌いです」
 裁判官「指示されるとイライラするという感情はありますか」
 金川被告「ないですね」
 裁判官「友人の調書には『感情を出さないように押さえ込んでいるようだ』とありますが、そういうところはありますか」
 金川被告「自然とそういう感じになります」
 裁判官「あえてそうしているのですか」
 金川被告「あえてという感じではない。そういう風に育ったので」
 裁判官「家庭が関係していますか」
 金川被告「バラバラだと言われているので。関係が希薄だと言われているので、そういうところが多少影響している」
 裁判官「運命はもう決まっているという考え方ですが、(人間を中傷するような内容を書いたという)沖縄旅行の感想文が関係していますか」
 金川被告「関係ないです。適当に書いた。イタズラな感じで書いたので」
 裁判官「いつも思っているわけではない?」
 金川被告「はい」
 裁判官「事件の計画を(昨年)1月から3月にかけて考えたということですが」
 金川被告「事前の準備としては当たり前のことです」
 裁判官「楽しいとか大変という感情はなかったか」
 金川被告「別にないです」
 《裁判官の質問は、事件当時の心境を聞く内容に移っていく。まず、JR荒川沖駅の連続殺傷事件の4日前に三浦芳一さんを殺害した後、母親に「犯行声明」ととれるメールを送った場面だ》
 裁判官「(メールを送った)理由は?」
 金川被告「母から何通かメールが来ていたので、うざいと思っていた。その時点では犯人と確定的に分かっていなかったようだから、宣言してやろうと」
 裁判官「メールを送ったらどうなると思いましたか」
 金川被告「メールが来なくなると思った。(母親からのメールが)邪魔くさいと思っていた」
 裁判官「余計に心配してメールが来ると考えなかった?」
 金川被告「考えなかったですね」
 裁判官「メールを送ることで、みんなに知ってもらいたかったのですか」
 金川被告「ないですね」
 裁判官「荒川沖駅では、人を傷つけている現実感はあったのですか」
 金川被告「あります」
 裁判官「ゲーム感覚とか」
 金川被告「それはないですね」
 裁判官「(荒川沖駅で殺害された)山上(高広)さんを刺したことは覚えていないのですね」
 金川被告「すれ違ったところは何とか思い出したのですが、刺しているシーンはまったくないです」
 裁判官「『あまり手応えがない』と言っているのに、なぜ交番に行ったのですか」
 金川被告「もういいかなと。7人目で首を刺したので、『これで何とかなるのかな』と割と早くあきらめました」
 裁判官「事件後、家族が面会に来ていますが、どんな話をしますか」
 《改めて両親との関係について確認する》
 金川被告「おれからは何も話すことはないです」
 裁判官「お父さんやお母さんが一方的に話しているということですか」
 金川被告「はい」
 裁判官「面会に来ることはどう思っていますか」
 金川被告「別に何とも思わない」
 裁判官「『来るな』という感情は?」
 金川被告「別にないですね」
 《金川被告はこれまで「ファンタジーの世界の主人公になりたくて仕方がなかった。ファンタジーの世界がすべてだった」などと繰り返し供述している。裁判官は「ファンタジーの世界」を理解しようと努める》
 裁判官「ファンタジーの世界というのは?」
 金川被告「あなたが理解できるものでいえば、『ロード・オブ・ザ・リング』ですね」
 裁判官「あれは魔法を使っていますね」
 金川被告「まぁ全員は使っていませんが」
 裁判官「ゲームとかにも出てくる。『ファイナルファンタジー』とか」
 金川被告「そのほうがなおいいです」
 裁判官「ファンタジーの世界で何をしたいのですか」
 金川被告「単に冒険ですね」
 裁判官「主人公のように」
 金川被告「はい」
 裁判官「24年間で戻れるなら、どこに戻りたいですか」
 金川被告「事件前ですよ」
 裁判官「どの段階?」
 金川被告「(三浦さんを殺害した)19日ですね」
 《金川被告は先ほど、事件を起こしてもすぐに死刑になれないことについて不満をもらしており、この発言が殺人自体への後悔を指しているかどうかは不明だ。質問者は向かって左側の男性裁判官に交代。連続殺傷時の心境について、改めて質問をぶつける》
 裁判官「山上さんを刺したことを覚えていないと言いますが、今までにも一部の記憶がないということはありますか」
 金川被告「気分が悪くなったときにはありますが、それ以外にはないです」
 裁判官「犯行時にドキドキしたと言うが、同じようなドキドキ感はほかにもあった」
 金川被告「弓道の試合とかですね」
 裁判官「どっちがドキドキした」
 金川被告「同じぐらいですね。要はうまくできるかどうかですね」
 裁判官「事件後に『O』『Z』の記号を残そうと考えていたというが、どういう思いですか」
 金川被告「連続殺人を予定したので、すべて自分の犯行だと警察に知らせるためです。横浜でも(殺人事件が)あり、京都でもあり、3人の犯人がいることになる。いもしない犯人を探す警察がかわいそうだと思ったので」
 《金川被告は横浜、京都でも事件を起こすつもりだったとされている》
 男性裁判官「生活していく中で強烈に『これは嫌だ』ということはとり立ててなかったのですね」
 金川被告「ないです」
 裁判官「『魔法を使って』と話していますが、どういう魔法を、どう使いたかったのですか?」
 金川被告「モンスターを倒すときに使ったり…」
 裁判官「『未来は決まっている』ということと『人を殺すのは悪ではない』ということはリンクしているんのですか?」
 金川被告「リンクはしていません」
 裁判官「『なるようにしかならない』というのは『人生なるようにならない』という程度の意味ですか?」
 金川被告「何かしらの結果が起きたとき、文句を言っても仕方ないという感じですね」
 裁判官「『常識、概念は相対的なんだ』ということと『運命が決まっている』ということの関係は?」
 金川被告「別々ですね」
 《鈴嶋晋一裁判長が後を引き受け、まずは犯行時のことから聞き始めたが、金川被告は『思い出せない』と回答。質問は金川被告が見ていた夢に踏み込んでいく》
 裁判長「夢の話をしていましたね。小学校3、4年の頃から見だしたと。どんな夢でしたか?」
 金川被告「後から刺されたり、撃たれたり。戦うような夢で、防戦するけど勝てないですね」
 裁判長「頻繁に見ましたか? 事件の前とか」
 金川被告「ときどき見ますね」
 裁判長「やられている?」
 金川被告「はい」
裁判長「どの程度の割合ですか」
 金川被告「それは分からないですけど…」
 裁判長「今はやられている夢は?」
 金川被告「今度は勝つようになりました」
 《はっきりした口調で答えた金川被告。高校時代の心理についての質問にも淡々と応じていく》
 裁判長「高校を卒業するとか、しないとかいうこと(騒動)がありましたよね。その時、『先生や友達を殺したい』とは思わなかったですか?」
 金川被告「別に」
 裁判長「嫌なことをされているんですよね?」
 金川被告「…」
 裁判長「相当、怒りが募っていたんですよね。自殺してやろうとは思わなかったですか?」
 金川被告「別に。自殺しようとは決めていましたが、しばらく生きて楽しもうと思っていました」
 裁判長「感想文でも面倒なことになると思いませんでした?」
 《「感想文」とは、かつて金川被告が、沖縄への修学旅行の感想文で「人間を中傷するようなこと」を書いた、とされることを指しているとみられる》
 金川被告「問題はないと思いました」
 裁判長「『内容がひどいので書き直せ』と言われ、書き直したけど、大きく内容が変わらなかったと…。先生の記憶違いですか?」
 金川被告「先生の記憶違いですね」
 裁判長「『卒業の時に面倒なことになる』という気持ちは?」
 金川被告「ないですね」
 裁判長「『自分の思っていることを外に出すと面倒なことになるな』とは?」
 金川被告「思わなかったですね」
 《その後、負傷歴について質問され、金川被告は「記憶にはない」としながらも、1歳ごろに左肘の上を骨折したことがあると明かした。新聞や雑誌などの取材を受けていることについても質問が飛んだ》
 裁判長「マスコミの取材は嫌ではないんでしょう? 楽しくはないですか」
 金川被告「楽しくはないです」
 裁判長「自分の意見を話せて楽しくはないですか?」
 金川被告「はい」
 裁判長「表情を見ているとそんな感じがするんですけどね」
 《金川被告の回答は傍聴席には聞こえず、再びここで弁護人が質問を始めた。カレンダーを破ったこと以外にも、父親に激しく怒られたことがあったようだ》
 金川被告「小中学生のころ、父が2階で寝ていて、1階で弟と遊んでいて『うるさい』ということで木刀を持ってきて。畳を叩いていた」
 弁護人「どう思った?」
 金川被告「別に。大げさ過ぎますね」
 《ここまでで裁判長は被告人質問の終了を告げ、金川被告に自席に戻るよう促した。着席した金川被告は最初、首を左に少しひねり、その後、目を細め、右側の傍聴席を見回した》
 《金川被告が拘置施設内でボールペンを隠し持ったまま鑑定医の診察を受けていたことに関する書面などが検察側から地裁に提出された》
 《裁判長は午後4時13分、閉廷を宣言。金川被告は背筋を伸ばし退廷した。次回は6月19日午後1時半から、捜査段階に精神鑑定を担当した鑑定医・佐藤親次氏の証人尋問などが予定されている》
=(完)  
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土浦8人殺傷事件 被告人質問2 (第3回公判)
土浦8人殺傷事件 被告人質問3 (第3回公判)
土浦8人殺傷事件公判 金川被告の父親に対する証人尋問 1
土浦8人殺傷事件公判 金川被告の父親に対する証人尋問 2   
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