イスラム世界におけるシャリア、その解釈と適用 石打ちによる死刑など 2019/5/5

2019-05-07 | 死刑/重刑(国際)

イスラム世界におけるシャリア、その解釈と適用

2019年5月5日 10:00 発信地:香港/中国 [香港 アジア・オセアニア

   

    エジプト・ハルガダにあるモスク(2018年8月25日撮影、資料写真)。(c)Mohamed el-Shahed / AFP

【5月5日 AFP】ブルネイで4月、シャリア(イスラム法)に基づく厳格な新刑法が導入された。不倫や同性間の性交渉に対して石打ちによる死刑を科すことなどが盛り込まれ、世界中の人権団体から批判の声が上がっている。

 イスラム国家の大半は、自国の司法制度にシャリアの要素を取り入れているが、「ハッド刑」と呼ばれる厳格な刑罰を科している国はほとんどない。

 シャリアとは何か、また、世界のイスラム国家でどのように解釈されているかをまとめた。

■シャリアとは

 シャリアは、イスラム教の聖典コーラン(Koran)と預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の言行録「ハディース」を基に作られたイスラム教の法律。シャリアをどのように現代社会に適用するかについては、世界中の保守派ムスリム(イスラム教徒)と進歩派ムスリムの間で論争の的となっている。

 だが、金融関連などその適用が広く受け入れられている分野もある。欧米企業でさえ、ムスリムの顧客向けにイスラム金融商品を提供している。

 ハッド刑は、不倫やレイプ、同性愛、窃盗、殺人などが対象となっている。だが、自白に基づく証拠あるいはムスリム成人男性数人の証言が求められることも多く、極刑が科されることはまれだ。

 厳格に解釈したシャリアを導入している国を以下にまとめた。

■サウジアラビア

 シャリアはサウジアラビアのすべての法律の基礎を成しており、ごく最近まで一般的に厳格なハッド刑が公の場で施行されていた。

 同性愛的行為は、違法というだけでなく死刑が科されることもあるが、通常はむち打ち刑や禁錮刑にとどまる。

 子どもに対するレイプなど特に悪質な犯罪の場合には、死刑後はりつけにされることもある。

 他人を負傷させた場合には「キサース」と呼ばれる刑罰によって、「目には目を」という報復主義に基づき加害者に同様の苦痛を与えることが許されている。また、殺人被害者遺族が犯人を許すこともできるが、賠償金の支払いによることが多い。

■アフガニスタン

 アフガニスタン憲法はシャリアに基づいているが、その解釈は地元の慣習と部族の伝統に影響を受けた複雑な歴史の上に成り立っている。

 旧支配勢力タリバン(Taliban)は政権の座にあった1996~2001年、残忍な解釈をしたシャリアを導入した。例えば、女性たちは家に閉じ込められ、男性に付き添われ全身をブルカ(イスラム教徒の女性が着用する衣服)で覆っている時のみ外出が許可された。

 ハッド刑も全国的に広く行われていた。

 タリバンの支配地域は現在、2001年来の広範囲に及んでいる。タリバンは最近、復権したら厳格なシャリアの適用を一部緩めると示唆していたが、今でも支配地域では厳格に解釈したシャリアを強制している。

■インドネシア

 スマトラ(Smatra)島の最北端に位置するアチェ(Aceh)州は、世界最大のイスラム人口を持つインドネシアで、唯一シャリアを施行している。アチェ州は2001年に一定の自治権が認められて以来、シャリアを適用している。公開むち打ち刑は、ギャンブルや飲酒、不倫、同性間の性交渉など幅広い罪に対して一般的に執行されている。だが、政府は昨年、殺人罪に斬首刑を科すというアチェ州の計画について、インドネシアの既存の法律で禁じられていると警告した。

■スーダン

 スーダンは1983年にシャリアを導入したが、その施行は不規則だと活動家らは指摘している。投石による死刑も定められているが、ここ数十年は執行されたことがない。一方、活動家らは、毎年、何百人もの女性たちが「不道徳な行為」によってむち打ち刑に処せられていると指摘している。

■パキスタン

 軍事独裁政権を敷いていたジアウル・ハク(Zia-ul-Haq)大統領は1979年、国の完全なイスラム化を目指してフドゥード法を導入し、各方面から批判を浴びた。シャリア法廷は、同国で主流となっている英国の影響を受けたパキスタン刑法も参照し、不倫や冤罪(えんざい)、窃盗、薬物やアルコール摂取などを扱っていた。2006年、レイプや不倫はシャリア法廷ではなく通常の法廷で裁くことを定めた女性保護法が圧倒的多数で可決された。現在、シャリア法廷で出された判決に対して通常の法廷に上訴することも可能となっている。

■ナイジェリア

 ナイジェリアでは36州のうち約12州で、刑事裁判にシャリアが導入されている。その他の州では、英慣習法と伝統的な法律が混ざり合った司法制度となっている。

■カタール

 カタールでは、イスラム教徒のアルコール摂取や違法な性行為に対する刑罰として、現在もむち打ち刑が行われている。不倫に対してはむち打ち100回が科される。また、ムスリム女性と非ムスリム男性の不倫は、死刑が科されることもある。

■イスラム国

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は国ではないが、「カリフ制国家」樹立を自称し、シリアやイラクの支配地域において独自の法廷を開き、厳格に解釈したシャリアに基づいた裁判を行った。斬首や石打ち、手足の切断などの残虐な刑罰を執行し、同性愛とされた男性たちを建物から突き落とすこともあった。(c)AFP

   ◎上記事は[AFPBB News]からの転載・引用です

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不倫と同性愛行為に投石死刑、ブルネイのシャリア刑法 国王が適用猶予表明 2019/5/5

◇ ブルネイ、2019年4月3日から「石打ちによる死刑」など導入…イスラム法を厳格に守るため

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