『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

◎ディスカウント・ショップ:下

2010年11月20日 20時04分31秒 | ■男と女のゐる風景

 
 ブログの原稿(前回)については、ちゃんとN嬢に目を通してもらうことになった。  

 折しも、彼女は「経営レポート」作成(不動産関係)の指導を受けるため、筆者のもとに来ていた。彼女の「レポート原稿」を筆者がチェックし、筆者の「ブログ原稿」を彼女がチェックするという、なんとも不可思議な場面となった。

 だが彼女の原稿をチェックする筆者の「静けさ」に比べ、筆者の原稿をチェックする彼女には「勢い」があった。いささかの躊躇もなく「赤ペン」を入れて行く。気になってのぞいたとき、まず缶入りコーラとウーロン茶の「59円」が「29円」に訂正されていた。

 『59円なんて……』と、半ば呆れ顔で筆者を見つめながら曰く。『59円なんて、ちっとも安くありません! 29円だったのでは?……』 え!と驚いて聞き返す筆者。何と「29円」を「59円」と見間違えていたのだ。しかもその「59円」をめちゃくちゃ安いと感じていた甘さ……。

            ☆

 それからきょうまでのほぼ1週間、毎日何本もの「ディスカウント・アドバイス」が、「写メール」付きで入って来る。まず筆者がブログアップした原稿に対してのものが来た。

 ≪29円のウーロン茶は27円!≫

 ……となっている。「写真」は「価格の真実」を如実に伝えていた。「29円」のコーラの横に「27円」のウーロン茶が写っている。両者を並列させるため、カメラアングルとトリミングにこだわったようだ。

 ウーロン茶を手前に、コーラをその奥に配置した「斜め遠近法」が憎い。「学習能力に乏しい」演劇好きの弟子には、やはりこのくらいの演出が必要との師匠の覚悟だろうか。

 ≪テレビもエコポイントにより、駆け込み需要が増えるからでしょうか。10月より高くなっています≫ 

 ……なるほど。「PRICE」なるものも、のほほんと同じ「数値」に安住せず、たえず上がったり下がったり、宥(なだ)めたり賺(すか)したり……と忙しそうだ。

 ≪新米1590円でした。無洗米でも1790円≫ 

 ……しかし、判断材料を持たない「乏しい学習体験者」には、安いのかどうか判断がつかない。 

 ≪1週間で(価格)状況は変わるわ。ディスカウント店は他店の価格を調べているので、書いてある価格から値引きして販売するの!≫ 

 ……なるほど、これは判る。一応、電気製品で「学習」して来た。だが「DS(ディスカウント・ショップ)」でもそういうことがあるとは、やはり今回の「学習の成果」だ。

            

 ……1週間で価格が変わる……。ふと頭をよぎるものがあった。つい半月前、ある不動産業者が、「自社物件」の価格について、『150は落さないかんでしょうな』と語ったことを思い出した。

 翻訳すれば「150万円の値引きはやむをえない」と言っている。

 一本のタバコが煙と消える間に決定された「1,500,000円」のプライスダウン

 かたや「1円」そして「2円」の「ディスカウント・プライス」。“苦笑いの溜息” が150万円の「値引き」に変わる間に、チラシの「1円」に一喜一憂する “健気な女性たち”……。

 この “世界” いや “世界観の違い” をどう考えるべきだろうか。
 どちらの “世界” にも “身の置き所” がなさそうな「アラカンの弟子」……。その五体を持て余しながら、「師匠」への「返信メール」を力なく綴った。

 ≪ついていけそうにもない。落ちこぼれるだろうね。「学習能力の乏しい」この親父は。さっきも反省していたよ。今日(日曜)のチラシを条件反射的に処分したことを。でもあとで(チラシを)広げてみよう……≫

 ……≪あとで広げてみよう≫と殊勝に綴ったものの、どれだけ「学習実行能力」があることやら。だが絶対に「師匠」からの「確認メール」が来ると踏んだ弟子は、「チラシ」と向き合う決心を固めた。

  そして廃棄処分のチラシの束を回収しに行った。だが肝心のスーパーのチラシが1枚もない。おやっと? と思っているところへ師匠からのメールが来た。 

 《スーパーのチラシは木曜か金曜に見ましょう。土曜でもいいのですが日曜はあまり入っていないかも。

 ……ああ。それに日替わりで安くなるのもあるし、タイムセールがあるってことも……》 (了)

 

   ◎2020年12月11日午後 加筆修正 花雅美 秀理



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