『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

◎ディスカウント・ショップ:上

2010年11月15日 17時59分28秒 | ■男と女のゐる風景

 

 《……Mストアの67円の納豆を買うため、今から自転車で行きま~す。普段は77円なのよォ~!》

 つい数日前の朝、「携帯メール」が届いた。送り主は私の「建築塾」塾生OGのN嬢。アラフォオーの彼女はシングルであり、つい最近、住宅メーカーとしては全国有数の「住宅建設会社」を辞めていた。

 自ら「プー太郎」という彼女。緊縮財政を発動中のようだ。何処に行くにも、すぐに車で移動する彼女がチャリとは……。すぐにはその情景が思い浮かばなかった。

 そのため、「ビンボーな筆者」にも歩調を合せよとのメッセージだろうか……。このところ、“その筋のメールや電話” が来る。

 ……『スーパーの折込みチラシは見ていますか?』。筆者は仕事柄、分譲マンションや一戸建、それに仲介業者のチラシには目を通す。だが「スーパーのチラシ」など、まともに見たこともなかった。

            ★

 つい先日、勉強のため彼女と一緒に「住宅フェア」へ行った。その帰り、“夜の海” でも見ようかということになった。走り始めてすぐ、彼女から “確認” のための質問が飛んだ。

  『スーパーの折込みチラシ、見てます?』。 

 ……筆者は首を横に振った。次の瞬間、助手席から彼女は敢然と言い放った。『今からディスカウントショップ(DS)に行きましょう!』。すぐさま近くの「DS」行きを命じられた。ロマンチックムードは瞬時に吹っ飛び、筆者は慌てて車をUターンさせた。

            ☆

 …………安い……とにかく安い。DSショップの入口に積み上げられた「29円」の缶入りウーロン茶やコーラに、まず驚かされた。自宅近くのスーパーで求める同じ商品の味噌や醤油も、とにかく安い。「DSショップ」は初めてではなかったが、これまで(の人生において)、何回行っただろうか。

 次に「5kgの県産米」の値段を見て衝撃が走った、全く同じ「米」が、自宅近くのスーパーよりほぼ500円も安いのだ。しかもその「米」の横に並んだ同じ「米」の袋には「新米」のシールが貼ってあり、こちらの価格は、筆者がスーパーで買ったものとほぼ同じ値段だった。

  つまり、筆者が買ったものは「古米」であり、おなじ銘柄の同じ「古米」が、このDSではほぼ500円安いというわけだ。信じられないほどの価格差に驚きながら、自己の無知と対応の甘さに “愕然” とした。そこへN師匠曰く。

 ――“精米” した日付もちゃんと見なくちゃ。

 安い、安いと半ば興奮気味に買い込むため、籠はたちまち一杯になった。レジにおいて師匠曰く。


 ――これ、わたしの「ポイントカード」につけてもいいですか? でも惜しいわ。昨日だったら、ポイント3倍だったのに……。

 

            ★

 「勉強」のためにと、別のスーパーに連れて行かれた。あれこれ籠に入れようとするたびに、厳しい眼差しの師匠の声が飛ぶ。

 『だめ……それは、金曜日が安いの……』『……これは○○○店の方が安いから……』『……あの底値は○○円なの!……今日買っちゃだめよ……』。それはもう、説教される子供同然だった。
 
 2店で結構な金額となり、その分かなり節約できた。少なくとも20%安く買えたのでは……と頭の片隅で計算しながら、お礼の意味を込めて師匠に言った。

 『お陰で今日はかなり得をしたね。ありがとう。コーヒーくらいおごろうかな……』。 

 だが、間髪いれず入れず、師匠から叱責の言葉が返って来た。

 ――そんなことをしたら、何にもならないでしょ!

 今年1月、或る「新年会」の福引で「5kgの米」(※註)を引き当てたことを想い出しながら、わが身の「学習能力」の乏しさに再び “愕然” とするばかりだった。

  だが筆者の「学習能力の乏しさ」は、実はこんなレベルではなかった。       

 
  ◎2020年12月11日午後 加筆修正 花雅美 秀理



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