魏志倭人伝における一里がどれくらいの距離なのか、私にはわかりません。
そこで今回は乱暴なやり方で、末慮国から伊都国までが５００里なのでその３倍程度（帯方郡から伊都国までの距離を引いた残りの１５００里）南へ行った場所に邪馬台国を探してみたいと思います。
どうも佐賀平野や筑後平野ではおさまりきらず、熊本は菊池平野あたりまでたどり着けそうです。
糸島・福岡平野をフル無視して、唐津から佐賀平野を進んだとしても、熊本へたどり着きそうです。
免田式土器の出土分布からすれば、佐賀平野ルートのほうが自然でしょうか。
通説では菊池は狗古智卑狗が「菊池彦」と理解され、狗奴国に比定されることが多いですね。
菊池が狗奴国とされるのは、多くの場合、佐賀や筑後などに邪馬台国を比定したときに「たまたま」南に狗古智卑狗に似かよった地名があったからという理由のようです。
菊池川と方保田川に挟まれた台地上に広がる弥生時代後期から古墳時代前期の方保田東原遺跡は、幅８メートルの大溝をもつ全国屈指の規模を誇る環濠集落です。
出土土器からみて出雲や畿内、瀬戸内とも交流があったようで、鉄器の製作をしていたと考えられ、出土物からもこの地の繁栄がうかがい知れます。
邪馬台国は７万戸もあるので、菊池平野にとどまらず肥後山都の方までずっと、熊本県全体を邪馬台国と仮に考えてみます。
陸行１月の日数については熊本までだと使い切れなさそうなので、韓国内陸行説を採用し、朝鮮半島内でも使ってもらいましょう。
私は魏の使者は邪馬台国までは足を運んでおらず、不彌国までは実際に行ったのだと考えています。
または至と到の字の違いから、伊都国までは行ったとするもよいと思っています。
その理由は、
・不彌国までは里数で書かれているのにそこから先は日数で書かれている
・不彌国までは「有」千余戸と断定しているのに対し、投馬国・邪馬台国は「可」５万余戸、「可」７万余戸と、７万戸くらいという表現になっている
・投馬国や邪馬台国の様子が書かれていない
・クライマックスのはずなのに卑弥呼と会ったことが書かれていない
というようなところです。
邪馬台国が熊本なら使者は何故、邪馬台国まで行かなかったのでしょうか。
これは熊本でなくても邪馬台国を北部九州のどこかに比定した場合、全てに当てはまる疑問です。
ネットの地図アプリで糸島から玉名へ徒歩で向かうと、１１３キロ、２０時間５７分と出ました。
邪馬台国の時代ですと、これはどのくらいかかったとみるのでしょうか。
熊本でさえ「近い」と感じてしまうのです。まして…。
私は高木彬光氏の「邪馬台国の秘密」が好きです。
初めて読んだ時には心が躍るとはこういうことかと思いました。
宇佐が邪馬台国、宇佐八幡の鎮座する小倉山（亀山）が卑弥呼の古墳であってほしい思いもあります。
その一方で、それでも「魏志を信じるなら」宇佐だと近すぎるという思いが拭いきれません。
あくまで私がそう思うというだけなのですが。