複数の妻がいた父

複数の妻がいた父

男という生き物は本能的に女を追う生き物で、金や暇が余ると、つい新しい女に目が行くらしい。
成功者だった父は、私の母にも手を出し、二人の子どもを授かった。
傍目から見れば、男にとって羨ましい話だろうが子どもは大変で、いわれのない差別を受け、低くみられる社会的な偏見と戦わざるをえないのだ。
バカにされないように善人レールを歩き、更に能力を磨き、他人に同じ嫌な思いをさせないよう心がけてきた。それでも、いつもこちらの譲歩で倫理に縛られ、他人を差別するあまり努力しない人々のやりたい放題に、いささかやるせなく、それでも自分の気持ちを殺して倫理に従った。
後天的な本人の努力を無視した心の狭さは、重い鉛の様に、自分を飛べなくさせるだけだ。
飛べないのは、飛べるようになった私の存在のせいではなく、一緒に飛ぼうとする気持ちを棄てているからだ。
私に成りすます鶏女が飛べないのを憐れむよりも、飛んでいる私が飛べる理由を、素直に受け入れるだけで、心も体もすっきり軽くなるだろう。
自分の飛び方を、見つけるだけで良いのだ。