「月……?」
問い返す私の、右の視界には、渋い顔をしてうつむいて首を振る翔伯さんがいた。
正面には、李両さんが笑っていて。
「そう、月へ。ここにきた新人さんは皆、そこに行くことになっている。撫子君も、まずそこへ行ってもらう」
「その前にしかるべき訓練を経て、だ」
間髪入れずに、翔伯さんが付け加えた。
「……」
李両さんが眉をしかめた。翔伯さんを見て、「駄目だ」と言った。
「連れて行って欲しいんだ。翔伯。私の言うことを聞いて欲しい」
「無謀だといっている」
「でないと、桔梗をけしかける」
桔梗、その名前を聞いた時。私の心は、跳ねた。
何か、言葉が、口から出そうになった。
それは燃えるような、
李両さんは私の頭を軽く二度叩いた。
「……」
私は驚いた。これはきっと、あやしたのだ。私の中の、なにかを。
李両さんは、同時に翔伯さんに「本気だぞ?」と言って左の口だけ持ち上げて笑った。
翔伯さんは、不承不承、うなずいた。
「……ああわかったよ」
問い返す私の、右の視界には、渋い顔をしてうつむいて首を振る翔伯さんがいた。
正面には、李両さんが笑っていて。
「そう、月へ。ここにきた新人さんは皆、そこに行くことになっている。撫子君も、まずそこへ行ってもらう」
「その前にしかるべき訓練を経て、だ」
間髪入れずに、翔伯さんが付け加えた。
「……」
李両さんが眉をしかめた。翔伯さんを見て、「駄目だ」と言った。
「連れて行って欲しいんだ。翔伯。私の言うことを聞いて欲しい」
「無謀だといっている」
「でないと、桔梗をけしかける」
桔梗、その名前を聞いた時。私の心は、跳ねた。
何か、言葉が、口から出そうになった。
それは燃えるような、
李両さんは私の頭を軽く二度叩いた。
「……」
私は驚いた。これはきっと、あやしたのだ。私の中の、なにかを。
李両さんは、同時に翔伯さんに「本気だぞ?」と言って左の口だけ持ち上げて笑った。
翔伯さんは、不承不承、うなずいた。
「……ああわかったよ」