胃瘻の話

胃瘻というのは、食事が経口摂取できなくなった方に胃に穴をあけて直接食物を入れることで栄養を維持しようとする処置です。
胃瘻をするに至る理由は色々あって、嚥下障害で食べ物が呑み込みにくくなり、そのために肺炎を起こすことを防止するためや、口腔がんなどで一時的に経口摂取する機能が難しい方に栄養維持のために処置することなどがあります。
しかし、高齢者で飲み込む力が衰えてくると、食事に時間がかかり、十分な栄養が摂取できないためや、認知症や他の病状から経口摂取より安易であるとの考えで胃瘻を勧める場合がかつては多くありました。
したがって、日本ではイギリスの１０倍の方が胃瘻の処置を受けているとのことで
そのため厚生労働省では、２６年度の医療報酬改定で胃瘻に対しては減算、経口摂取を促進することについては増額し、加えて来年度の介護報酬では胃瘻から経口摂取にするための訓練などについて報酬を新たにつけることになったとのことです。このように胃瘻をするにいたるまでに様々なハードルを課して結果的に胃瘻にならない方向に誘導することは有意義と考えます。
そもそも、人間は終末期を迎えると自然と低栄養でも生きていけるようになり、それで亡くなった場合には、自然の摂理と考えるのが正常であると思います。
これを人間の作った科学の力で操ってしまうので、世の中の流れが乱されているのだと思うのは私だけなのでしょうか・・・