Daddy’s Birthday～思い出をつまんで～

街の景色も

すっかり冬支度の装い

木の枝にも寒が降り

凍える寒さに

身を縮める葉っぱ達

マフラーのない

むき出しの首に

容赦なく吹きつける

冷たい風が私をすり抜け

落ちた枯れ葉を巻きあげている

そんな中

近くの中学校から

元気あふれる子供たちの声

午後五時の校庭はひんやりと

野球部員達を包みこんでいる


私の父も

中学の野球のコーチだった

たくさんの子供達を

二十年もの間指導してきた

仕事の帰りに

どんなに疲れていても

一日も休まずに・・


賑やかだったあの頃

学校から帰ると

玄関のドアが閉まりきれない程の

野球部員の靴

手料理を振舞うのが

父の趣味だったので

うちの狭い家は

野球部員の汗の匂いでいっぱいになった

時には

教師や　教頭先生まで・・

年頃の私には辛かったけど

でも　父の喜んでる顔を見ると

怒る気にもなれなくて・・


お父さん・・

天国でも野球してるかな

みんなを集めて

ワイワイ　がやがやと

笑っているかな・・


私とも

あの頃の思い出を肴に

一緒に語り合ってくれる？

私ね

野球を教えてたお父さんが

本当に自慢だったの

誇りだったの

今だって・・


今日は　そんな父の誕生日

遅くなったけど

お父さん

誕生日　おめでとう・・






　天国に届くように、大きな声で言わなくちゃ

　　お父さん・・誕生日、おめでとう


　風香・・