神に与えられし我が命
わずかに灯る命なら
指折り数える残り日を
ともにあなたと生きましょう
黒髪結った 夏の午後
祭りの太鼓 蝉時雨
母のお下がり 赤い下駄
すました顔で 背伸びする
橋のたもとの細い道
あなたを待った 星の夜
不安とときめき交互に
小さな胸が波打った
神に背けぬ我が命
余命短い命なら
清き乙女の胸の絵を
ともにあなたと描きましょう
近づく影に胸躍り
浴衣のすそを直すふり
高鳴る胸をすれ違う
ため息こぼれた 夏の夜
待てど暮らせど訪れぬ
はがゆい胸の隙間から
せつない想い込みあげて
思わず泣いた 風の夜
神に染められし 我が命
思うままない命なら
あなたの好きな その色に
すべてを染めてみせましょう
橋のたもとに背を預け
小石を蹴った月の晩
浴衣の裾がひらひらと
風に舞った 銀の夜
息を切らして 手を振った
あなたのもとに駆け寄れば
ただひとこと ”ごめんね”と
震える私の背を抱いた
夏を彩る風物詩
夜風の音色 星の道
無情に時は過ぎゆけど
褪せることない宝物
あなたとともに生きた人生(みち)
あなたとともに泣いた人生(みち)
あなたを愛せた喜びを
胸に閉まって封をする
思い出詰まった 夏祭り
思い出重ねた 夏の夜
先立つ今宵 ひそやかに
天の橋が舞い降りる
瞳に映る 天の川
儚く消える 時の河
命の灯火 身代わりに
線香花火が花を咲す
神に清められし我が命
涙に濡れた 恋い人の
幸せ願う 鶴のよに
天の橋を渡りましょう
天の国へ
向かいましょう
星の寿命からすれば
命の一生は
あっという間の流れ星
だからこそ
あなたの命も
私の命も
慈しみ深いもの
風香