芦原やすえの気まぐれ便り

原発のない町つくりなど、芦原やすえの日々の活動をご紹介します。

松江市教育委員会議「はだしのゲン」閉架指示撤回

2013-08-27 00:42:28 | 日記
 本日、松江市教育委員会議が開催され、「はだしのゲン」を小中学校の図書館で閉架扱いにした問題について協議が行われ、「この指示が出された平成24年12月17日以前の状態に復すること」という結論が出されました。その理由は「手続きに不備があることから」というスッキリしないものでした。

 この結論を出すために、各委員から以下の6項目について意見が述べられました。
①はだしのゲンの内容及び表現について
②子どもの知る権利について
③著者の表現の自由について
④学校と教育委員会の関係について
⑤教育委員会議と教育長の関係について
⑥手続きについて

「意見」
①について
「平和学習に使われるものとして有効」「平和の尊さ、命の尊さを学ぶものとして価値がある」「歴史認識について、改めて問題にすることはない」「一部の過激な描写は全体に影響を与えるものではない」「過激な部分があるが、一律に見せないというのは問題」といった意見が出されました。教育長は、「過激な部分については、発達段階に応じて考慮すべきだ」と述べていました。

②について
「子どもの受け止め方は様々。子ども自主性を尊重しながら、発達段階を考慮しなければならない」「児童の多様な情報を知る権利は、有害図書など制限できないわけではないが、教育委員会の一部が検討して学校にお願いするのは問題」「一定のものを制限するのは、子どもの知識に偏りを生じる。我々がコントロールするのは問題」といった意見が出されていました。

③について
総じて「撤去していないので、表現の自由を侵していない」という意見でした。

④について
「お願いだったのに、ほとんど閉架となった。学校が指示と受け止めている。強制と受け止めても仕方ない」「学校の管理は、本来教育委員会の権限であり、違法性はない」「人事権や予算に関する権限を持つ教育委員会からのものは指示と受け止められる。」といった意見が出されました。教育長からは「事務局からの要請は軽率だった」と反省の言葉が聞かれました。

⑤について
「子ども知る権利、表現のお自由、歴史認識等含んでいた。全国的な問題となったが、ことの重大性を判断できなかったのか」と問われると、教育長は「大きな誤りはない。制限をかけたことは慎重に考慮すべきだった」とし、「教育委員会議に報告がなかったのが少し問題だった。」との認識を述べていました。

⑥について
学校図書館は学校が運営する。支持派問題。議会が不採択にしたのだからお願いする必要はなかった。」「不採択とした議会の議論をないがしろにしたのは問題」などの意見が出されました。

 こういった意見を基に、教育委員長が結論の素案を出し、決定されましたが、その理由は本質的な問題を避けた結論だと言えます。委員は「はだしのゲン」について、平和学習の図書として価値を認めながら、暴力シーンを見せるのに発達段階に応じた考慮が必要だと言います。戦争や原爆は事実として暴力的です。「怖い」と思うほど暴力的だからこそ「、はだしのゲン」を見て、二度と戦争を起こしてはならないと多くの方が学んだのではないでしょうか。その暴力シーンをつまみ出して閉架指示に直結するのか?教育委員会議は委員から意見を出したまま、その違いを放置するのでなく、もっと掘り下げて議論をすべきなのではないかと思います。子どもの知る権利についても同様です。そうすれば、結論に至った理由は、もっと違ったものとなったに違いありません。さらに言えば、市民も交えて議論してもよかったのではないでしょうか。大切な問題について、深く考えることのできる良い機会でもあったはずです。