10月30日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
使命感半分、給料半分
人間には、“欲と二人連れ”という言葉もあるように、自分の利によって動くという面と、使命に殉ずるというか、世のため人のために尽すところに喜びを感ずるといった面がある。だから人を使うにしても、給料だけを高くすればいいというのでなく、やはり使命感というものも持たせるようにしなくてはほんとうには人は動かない。もちろん使命感だけで、給料は低いというのでも、これはよほど立派な人でない限り不満を持つだろう。普通の人間であれば、使命感半分、給料半分というところだと思う。
そのようなあるがままの人間性に則した処遇をしていくところに、適切な人の使い方があると言えよう。
筆洗
2013年10月29日(東京新聞TOKYOWeb)
▼野田秀樹さんの新作『MIWA』は美輪明宏さんの『愛の讃歌』が流れて幕を閉じる。知っている歌詞とは違った
▼作詞家の岩谷時子さんが亡くなった。記憶にあったのは岩谷さんが訳詞したエディット・ピアフの『愛の讃歌』だった。<あなたの燃える手であたしを抱きしめて>。一時期、結婚式の定番でもあった
▼美輪さんは岩谷さんの訳詞が好きではなかったという。美輪さんが訳した方は結婚式にはおよそ向かない。男が望めば<宝石だって盗みに行くわ><愛する祖国も友達もみんな裏切ってみせるわ>。壮絶である
▼ピアフは妻子あるボクサーと恋愛していた時期にこれを書いたとされる。映画の「エディット・ピアフ 愛の讃歌」で描かれるような悲劇の人生を思い、美輪さんの訳詞を好む人もいる
▼岩谷さんは日本人に向けた分かりやすさを考えて大胆に訳した。一連の作品の魅力はその明快さにある。照れがなく堂々としている。曲の方に詞を合わせる作詞方法によって口ずさみやすく、子どもでさえ<わたしの恋は空を染めて燃えたよ>(ピンキーとキラーズ『恋の季節』)と、歌っていた
▼シナトラの『マイウェイ』。岩谷さんの訳詞がある。<私は私の道を行く>。カラオケで熱唱するのは野暮(やぼ)だといわれた時代もあるが、まっすぐな詞は潔く、説得力がある。九十七歳。堂々たる人生の幕が下りた。
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