6月27日 松下幸之助一日一話
策を弄する
世の中には、事をなすに当たって、いろいろ策を弄する人があるようです。「弱肉強食は世の習い」とかで、ボヤボヤしていたのでは激烈な生存競争に敗北してしまうということから、何としても人より一歩でも先んじたいという気持が嵩じて「策を弄す」ことになるのかもしれません。しかし、こうした小細工は自然の理に背く場合が多く、結局成功することも少ないのではないかと思います。
「策を弄する」とは、私は智恵才覚をもてあそぶことだと思います。智恵才覚は人間に与えられた偉大な特質ですが、これはあくまでも正しい目的のためのみに使われるべきもので、よこしまな策謀に使ってはならないと思うのです。
2013年6月27日 天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
天声人語
ナメクジを見たお孫さんが言ったそうだ。「カタツムリも外で遊びたいんだな」。別のお宅のお孫さんは訪ねた田舎でカタツムリを見つけ、「ナメクジが貝からぬけなくなってる」。頬のゆるむ話はどちらも、かつて本紙の投稿欄に載っていた
▼幼い子の目はやさしい。だが世間一般となると、両者の境遇は天と地ほど違う。片や紫陽花(あじさい)とともに雨の季節の風物詩だが、もう一方は嫌われ、塩をまかれる。似たもの同士なのに――とナメクジは身の不幸を嘆いていようか
▼嫌われ役としての歴史は古い。清少納言も「枕草子」で「いみじうきたなきもの」の筆頭に「なめくぢ」を挙げている。その彼女が悲鳴を上げそうな外来種の大型ナメクジが、日本に上陸して繁殖を始めているそうだ
▼体長は10センチを超え、15センチの大物もいた。しかも豹柄(ひょうがら)で迫力十分のようだ。分布確認は今のところ茨城、福島、長野の3県だけだが、さらに増えれば農作物の被害が心配されると専門家は話す
▼思えば、この手の生き物の表現には「ぬ」で始まる擬態語が欠かせない。「ぬるぬる」「ぬらぬら」「ぬめぬめ」……色々ある。「ぬけぬけ」や「ぬらりくらり」は、もっぱら人間の生態。このタイプは全国の津々浦々に分布する
▼〈誰からも好かれぬ自由なめくぢり〉仲寒蝉。実は、殻のないナメクジの方がカタツムリから進化したのだそうだ。裸になったナメクジは粘液だけを頼りに乾燥と戦っているのだと聞いた。塩をかけにくくなってきた。
松下幸之助一日一話
6月26日
冷静な態度
人間というものは誰しも、困難に直面すると恐れたり、動揺したりするものである。指導者とても人間だから、ときに不安を感じ、思案に余るのは当然であろう。しかし、内心で感じても、それを軽々に態度に出してはいけない。指導者の態度に人は敏感なものである。それはすぐ全員に伝わり、全体の士気を低下させることになってしまう。
だから、指導者たるものは日ごろから事に当たって冷静さを失わないようにみずから心を鍛えなければならない。そして、どんな難局に直面した場合でも、落ち着いた態度でそれに対処するよう心がけることがきわめて大切だと思うのである。
天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
2013年6月26日
選手時代はブラジルの国宝的な存在、いまも「サッカーの王様」と尊敬されるペレは、貧しい少年時代を送った。いつも裸足で、捨てられた服を拾って着ていたそうだ。7歳で靴磨きをやり、靴下を丸めたボールを蹴って遊んだと、『ペレ自伝』(伊達淳訳)にある
▼食べるものがないといった、生活につきまとう恐怖は、数ある恐怖の中でも最悪のものだと本人が語っている。だが近年は、経済成長や救済策で数千万の人が貧困層から抜け出したという。結構なことだが、それがデモの背景の一つらしい
▼ブラジルを揺らすデモの参加者は中間層が多いと見られている。極貧からたたき上げた前大統領以来の政策で、貧しい人は手厚く保護された。片や中流は負担ばかりで恩恵は乏しい。不満のガスをためこんでいた
▼「自分たちの税金を貧困層にばらまいている」といった声もあると聞く。サッカーが最高のガス抜きという国で、コンフェデレーションズ杯開催中のデモの激化に、政府の動揺は小さくなかろう
▼金満と貧困について、こんな言い方を聞いたことがある。「世の中には2種類の人がいる。食欲以上に宴会をこなす者と、食欲を満たす食事ができない者だ」。ブラジルにとって、スラム街に象徴される貧困は根の深い問題とされてきた
▼来年はサッカーW杯が、その2年後には南米初のリオデジャネイロ五輪が控える。世界が待ちに待つ祭りである。注視を浴びながら、失敗のできない舵取(かじと)りを政府は続けることになる。
松下幸之助一日一話
6月25日
報告する
何かを命じられて使いに行き、帰ったら、「あれはこうでした」と、必ず報告しているでしょうか。
何か問題が起こったという場合はもちろん、何事もなかったときでも、何もなかったのだからそれでいい、と考えるのではなく、まず報告する。また、それがいい結果であったら、それはそれで報告する。そうすると、報告を受けた方も「それは結構やったな」と非常に愉快になるし、安心もします。
打てば響くというか、以心伝心というか、肝胆相照らす仲であれば、命じた人の気持を察して必ず報告するものです。そのちょっとした心がけから信頼感も生まれてくると思います。
天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
2013年6月25日
天声人語
沖縄県の与那国島は日本の西の果てに浮かぶ。その島にある久部良(くぶら)小学校1年、安里有生(あさとゆうき)くんの朗読する詩に、目頭を熱くした人もいたのではないか。沖縄慰霊の日の追悼式場から、あどけなくもきっぱりした言葉が、大人の心を洗うように届けられた▼「へいわってすてきだね」という題が、まっすぐに響いてくる。〈へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。おともだちとなかよし。かぞくが、げんき……ねこがわらう〉▼朗読をテレビで聞きながら、与那国島の出身で、沖縄初の「軍神」になったある大尉を思い出した。陸軍士官学校を出てガダルカナル島で戦死した。那覇市での県葬には1万人が参列し、児童6千人が行進したという。かつて、その人の遺族に取材したことがあった▼顕彰運動はむろん、県民の戦意高揚が狙いだった。そうした果てに沖縄戦があった。住民は根こそぎ動員され、「鉄の暴風」といわれる戦火の中で多くの人が死んでいった▼与那国島を訪ねると、小高い崖に戦時中の詩のプレートが今も残る。詩の作者は島を「南海の防壁」と呼び、〈おお汝(なんじ)は 黙々として 皇国南海の鎮護に挺身(ていしん)する 沈まざる二十五万噸(トン)の航空母艦だ〉と言葉を結んでいる▼戦争が終わって68年、安里くんは、島の道ばたにあるものが「平和」なのだと気づく。〈やぎがのんびりあるいてる……よなぐにうまが、ヒヒーンとなく〉。平和という言葉についた手垢(てあか)を、小さな詩人に洗い流してもらったような気になった。
6月24日(月)放送予定
ほっかほか 噺の朝ごはん
京都の魅力をランニングと観光で再発見
ランナーの方々でつくったグループ「観ラン社」 代表 山地秀夫さん
あっちこっちほっかほか便り
この季節の お花を楽しみましょう
ささやま玉水ゆり園・あじさい園
兵庫県篠山市
都もはんなりおこしやす
薫のおきらく京都案内
6月25日(火)放送予定
ほっかほか 噺の朝ごはん
陸前高田市の保育所に遊具を贈ろう
支援イベント「みんなのちから」
宇治市を拠点に復興支援活動を続ける市民グループ「Fugue」 代表 山本千景さん
あっちこっちほっかほか便り
この季節の お花を楽しみましょう
余呉湖あじさい園
滋賀県長浜市
都もはんなりおこしやす
今朝のみそひともじ
歌人 林和清さん
6月26日(水)放送予定
ほっかほか 噺の朝ごはん
ひげの人同士、交流しませんか
ひげを愛する人が集まって結成された「愛髭会」 事務局長 巽敏郎さん
あっちこっちほっかほか便り
この季節のお花を楽しみましょう
ききょうの里
京都府亀岡市
都もはんなりおこしやす
ちょっといい話
僧侶 川村妙慶さん
6月27日(木)放送予定
ほっかほか 噺の朝ごはん
南三陸町のラジオ局の挑戦を描く映画、京都で公開へ
「ガレキとラジオ」
あっちこっちほっかほか便り
この季節の お花を楽しみましょう
蓮園の公開
京都府宇治市 三室戸寺
都もはんなりおこしやす
あ~お腹いっぱい おかわり
薫ノ巻
6月28日(金)放送予定
ほっかほか 噺の朝ごはん
日本語を学ぶ外国人学生とメール交換で添削ボランティア
アジアの新しい風
あっちこっちほっかほか便り
この季節のお花を楽しみましょう
バラの小径 ローズウオーク
兵庫県神戸市 六甲山カンツリーハウス
都もはんなりおこしやす
映画を観よう
京都シネマ 横地由起子さん