泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

イチョウ 奇跡の2億年史

2019-10-07 15:00:12 | 読書
 

 イチョウが好きで、今書いている小説にも出てきます。これからの黄葉の前に、読んでおこうと思いました。少しでも、小説を深めるためにも。
 なぜ、私はイチョウが好きなのか? その答えは、この読書では出ませんでした。これからもずっと触れ合って、少しずつわかってくるものなのかもしれません。
 いや、そもそも「好き」に、理由などないのかもしれません。
 ともかく、イチョウの歴史を知ると、より一層好きになります。
 まず、イチョウは絶滅危惧種でした!
 約2億年前に誕生したイチョウは、恐竜たちとともに繁栄した。葉や実を、草食恐竜に食べられ、種を運んでもらっていたようです。
 しかし恐竜もいなくなり、氷河期が来ると中国の一部を除いて、野生のイチョウは絶滅してしまった。
 中国では、食用や薬として重宝されていた。その存在を知った日本からの留学者が種を持ち帰ったとされる。
 神社や寺にイチョウが多いのは、僧侶が持ち帰ったからとも言われています。
 またイチョウは、大変燃えにくい。葉っぱに火をつけても白い煙が出るばかりなのだそうです。
 広島で、原爆でも焼け落ちなかったイチョウも現存しています。
 木材としても優れ、排気ガスや害虫にも強い。防火もかね、見た目の美しさもあって街路樹として広まった。
 本の帯にあるように、出島からヨーロッパにイチョウは伝えられた。生きた化石として、注目の的でした。
 葉っぱは虫除けにもなる。ヨーロッパでは、もっぱら記憶増強の薬として発展した。
 ただ大変なのは、落ち葉と実の後片付け。全て自然に還る環境にあればいいのですが、街路樹としては葉はスリップの原因ともなってしまう。
 植える段階で、雄か雌かの区別をつけるのは難しいそうです。
 そうそう、木なのに精子が泳ぐ。不思議です。植物が泳ぐのは。
 こんな、大変独特な木。人とともに生きてきた木。
 イチョウは成熟すると乳を垂らしもします。
 実際は「乳」ではありませんが、枝から下に向かう流れが生じ、地に達するとそこからまた芽吹くという。
 なので女性の守り神としても大事にされてきました。
 イチョウの巨木を見に行くという楽しみができた。
 まずは、東京大学付属小石川植物園のイチョウかな。
 そこは何度か行ったことがあるけど、黄葉の季節はまだなので。

 ピーター・クレイン 著/矢野真千子 訳/河出書房新社/2014
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 彼岸花 | トップ | 習慣を変えれば人生が変わる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事