イチョウが好きで、今書いている小説にも出てきます。これからの黄葉の前に、読んでおこうと思いました。少しでも、小説を深めるためにも。
なぜ、私はイチョウが好きなのか? その答えは、この読書では出ませんでした。これからもずっと触れ合って、少しずつわかってくるものなのかもしれません。
いや、そもそも「好き」に、理由などないのかもしれません。
ともかく、イチョウの歴史を知ると、より一層好きになります。
まず、イチョウは絶滅危惧種でした!
約2億年前に誕生したイチョウは、恐竜たちとともに繁栄した。葉や実を、草食恐竜に食べられ、種を運んでもらっていたようです。
しかし恐竜もいなくなり、氷河期が来ると中国の一部を除いて、野生のイチョウは絶滅してしまった。
中国では、食用や薬として重宝されていた。その存在を知った日本からの留学者が種を持ち帰ったとされる。
神社や寺にイチョウが多いのは、僧侶が持ち帰ったからとも言われています。
またイチョウは、大変燃えにくい。葉っぱに火をつけても白い煙が出るばかりなのだそうです。
広島で、原爆でも焼け落ちなかったイチョウも現存しています。
木材としても優れ、排気ガスや害虫にも強い。防火もかね、見た目の美しさもあって街路樹として広まった。
本の帯にあるように、出島からヨーロッパにイチョウは伝えられた。生きた化石として、注目の的でした。
葉っぱは虫除けにもなる。ヨーロッパでは、もっぱら記憶増強の薬として発展した。
ただ大変なのは、落ち葉と実の後片付け。全て自然に還る環境にあればいいのですが、街路樹としては葉はスリップの原因ともなってしまう。
植える段階で、雄か雌かの区別をつけるのは難しいそうです。
そうそう、木なのに精子が泳ぐ。不思議です。植物が泳ぐのは。
こんな、大変独特な木。人とともに生きてきた木。
イチョウは成熟すると乳を垂らしもします。
実際は「乳」ではありませんが、枝から下に向かう流れが生じ、地に達するとそこからまた芽吹くという。
なので女性の守り神としても大事にされてきました。
イチョウの巨木を見に行くという楽しみができた。
まずは、東京大学付属小石川植物園のイチョウかな。
そこは何度か行ったことがあるけど、黄葉の季節はまだなので。
ピーター・クレイン 著/矢野真千子 訳/河出書房新社/2014
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