ベジタブルハイツ物語 著:藤野千夜
アパートの部屋名が野菜で構成されていて、
その部屋の人間と大家一家の日常話。
特に盛り上がる箇所がある訳ではない。そこが好き。
どこにでもありそうな、でも少し悲しいような
そんな日々がゆっくりと綴られています。
本といえば、どうしても思い出すのが
「私を抱いて、そしてキスして」って題の本。
読んだ当時はHIVなどという単語を何となくしか知らなかったし
そんなに報道等もされていなかったと思う。
ただ、畏れるという感情を覚えた。
今回読んだ、ベジタブルハイツ物語は
そういった「何か」があるという訳ではないけれど。
誰かから見た自分・自分から見た誰か。という視点の差が
すっと書かれていて、それが個人的に面白いなぁと思った。
感情のすれ違いがあった。
と、双方が理解できるのは、例えばケンカや話し合いがあったからで。
そういった話し合いが無いと、こうしてすれ違いが起きるのだろうなぁと。
だからといって、それが決定的な問題になる事もなく。
ただゆっくりと、時間が流れていくのだろうと。
そんな風に思ったのでごじゃいましたとさ。おちまい。