随思録

日々思うことを記す。

インターネットという魔物

2006-02-02 16:53:55 | Weblog
山本夏彦はインターネットに興味を持っていた。

人間は産業革命以来あらゆる角度から時空を無に近づけて成功しました。だから私はインターネットに挑戦しようと思うのです。(略)
それにひきかえインターネットは広く深く、政治、経済、倫理を根本からゆるがします。あれは魔物じゃないかと疑っています。
(『百年分を一時間で』)

なんだかこのブロクを読んでいたら、不意に思い出した。

京都新聞が間違って在日の犯罪を報道しちゃったので、削除して改変した記事を掲載する
(mumurブルログ)

こうした視点は、インターネットが普及しなければここまで広まらなかったのではないかという気がしたからだ。たとえばテレビや新聞がまともな報道をしていないなんてことは、少なくとも一部の書物以外では指摘されてこなかった。
韓国・北朝鮮を嫌悪し、中国を危険視し、政府の弱腰や、マスコミとの癒着具合を指摘する。国益というものを最も重要なものとしてとらえる。
私的には至極真っ当な言説を書くブログがたくさん出現し、頼もしい。もちろんいくつかは巡回先に入っている。
ただどうもこのままだと、極東アジア嫌いだ、ふざけるなと騒ぐだけの人が多くなってしまいそうで、困る気もする。
私は「自分で考える」ということがあまり得意ではないので、すぐ人の話に感化されてしまいがちで、そう感じたのも内田樹の文を読んだからなのだが。

靖国というコントローラー
(内田樹の研究室)

実際にはこのブログをまとめた『知に働けば蔵が建つ』を読んだ。目から鱗。
だから今度は米国を嫌えというわけではなく(いや私はアメリカ大嫌いというより軽蔑しているが)、結局得た情報を狭窄な判断で処理したのでは、マスコミの垂れ流す情報を鵜呑みにするのとかわらないのではないか、と(自戒をこめて)。
最近考えているのは、「いま」日本と韓国・北朝鮮(在日)、中国、そして米国は、こういう関係なんだけれども、過去は違ったときもあるし、未来はそうではないかもしれない、と。
だからそのことをふまえて、押したり引いたり考えよう、と。
だから山本夏彦を読もう!(お、つながったぞ。)

同時に山本夏彦は、こんな風にも書いていた。

これをIT革命とアメリカ人はいっています。産業革命以上の革命です。そのプラス面を彼は数えますが、僕は数えません。知恵あるものは知恵で滅びます。もう時間はありません。その本質を見破って、ひと口で言うにはそのデテールまで知らなければなりません。及ばずながら試みるゆえんです。
(同掲書)

なんとこのとき夏彦翁は八十五歳。二年後に亡くなってしまうのだが、インターネットについての話を、聞いてみたかったなあ。