真夜中、猛烈に喉が渇いて目を覚ます。
おそらく、登山で想像以上の水分を失っており、そこにアルコールを入れたからだろう。
民宿の自販機でスポーツドリンクを買い、飲んでから再度寝る。
朝、軽い二日酔なのか、頭痛がする。
食欲はあったので、朝食をとり、それでも8時、荷物をまとめても9時。
高速船は12時発でまだ随分時間があったが、部屋にいても仕方ないのでチェックアウトする。
まずはお礼参り。
それから地元の本屋「書泉フローラ」で雑誌「Number」を購入。
旅先では必ず本を買うが、この書店は昔のバイト先2つが合成した名前で、非常に縁を感じる。
次いで「観光センター」で、会社向けと、自分向けの土産を購入。
まだまだ時間があったので、舌の肥えている実家向けのお土産は、いわゆる“みやげもの”ではなく、地元の和菓子屋の菓子にすることにした。
益救神社通りの商店街に、和菓子屋が1軒ある。
港から近道を通っていこうとしたら、前方を歩いている人影が。
どうやら背格好からすると、若い女性のようだ。
もしかしたら昨夜話した人だろうか。
変なことを言ってしまったが、もしそうなら一言挨拶だけして、離れたほうがいいな……と追い抜きつつ横顔を確認しようとしたら、ものすごく顔を伏せていた。
それで彼女だと理解した。
「あら、偶然ですね。一緒に回りましょう」などという浅見光彦的な展開を夢想していなかったと言えば、嘘になる。
ただ、そんなわけないじゃんと、いい大人なんだから、考えるでしょう。
正直に言おう。
顔なんて覚えていなかった。
風呂上りのすっぴんと会話したので、化粧してたらまったくわかりません。
気づかないフリして追い抜きつつ、どっぷりと落ち込む。
もしあれが彼女だったとしたら、警戒されているし、かえって迷惑をかけてしまった。
なんか森見登美彦の小説にこういうエピソードあったなあ、と苦笑。
※
↑の法則を忘れていたぜ。
反省しつつ和菓子屋へ。
そこで土産物として出荷していない、地元の人向けの和菓子を買う。
これが本当のお土産ではないか。
目的を果たして港に向かうことにするが、土産物屋や、海岸の散策ルートなどは、実に狭いエリアにあり、何度も彼女とニアミスになりそうになる。
ここで度胸があれば、いっそ付きまとってしまうのも手かもしれないが、妙に紳士なので、フェリー乗り場の2階に隠れ時間を潰す。
高速船も、彼女らしき人物と時間帯をずらして乗船する。
ただ、あまり気にしすぎてもバカらしいので、鹿児島からは自由に行動。
遅い昼食に鹿児島ラーメンを食べてから飛行機に乗るのだ。
リムジンバス乗り場に一番近い「ガルフ」というラーメン屋を選んだのだが、これがどうもイメージと違う。
なんというか鹿児島ラーメンを標榜しているが、天下一品みたいなラーメンだった。
以前鹿児島来たとき偶然入った店は、やさしい風味の野菜とんこつで絶品だったのだが……
ともかく汗だくで満腹になったので、リムジンバス乗り場へ。
もうこのあたりで二日酔は吹き飛んでいいはずなのだが、頭痛は続く。
このときは気づかなかったが、どうやらすでに風邪をひいていたようだ。
飛行機は17時25分発なので、かなりの余裕がある。
時間をもてあましたが、空港でもお土産を買ったり本屋に寄ったりして、待ちわびた搭乗。
無事帰還した。
帰り道、ipodから流れるのはe.s.t.「Tuesday Wonderland」。
――旅を終えて。
大株歩道に入ると、屋久杉がたくさん見られる。
有名なのは大王杉、夫婦杉、メデューサ杉……
そして……倒れてしまった翁杉。
研究のため、痕がそのままにされている。
私が仕事の都合をつけ屋久島を訪れたのも、この倒木が理由のひとつだった。
「いつか」「そのうち」と思っていると、すべて消えてしまうのではないか。
そんな恐怖があったからだ。
縄文杉のデッキで男子学生2人組が、無邪気に杉を見上げ話していた。
「でけーなあ」
「絶対倒れそうもないよな~」
なぜかその言葉が心に残った。
私は、変わらないものがまだこの世には残っていることを確かめに、屋久島まで行ったのかもしれない。
おそらく、登山で想像以上の水分を失っており、そこにアルコールを入れたからだろう。
民宿の自販機でスポーツドリンクを買い、飲んでから再度寝る。
朝、軽い二日酔なのか、頭痛がする。
食欲はあったので、朝食をとり、それでも8時、荷物をまとめても9時。
高速船は12時発でまだ随分時間があったが、部屋にいても仕方ないのでチェックアウトする。
まずはお礼参り。
それから地元の本屋「書泉フローラ」で雑誌「Number」を購入。
旅先では必ず本を買うが、この書店は昔のバイト先2つが合成した名前で、非常に縁を感じる。
次いで「観光センター」で、会社向けと、自分向けの土産を購入。
まだまだ時間があったので、舌の肥えている実家向けのお土産は、いわゆる“みやげもの”ではなく、地元の和菓子屋の菓子にすることにした。
益救神社通りの商店街に、和菓子屋が1軒ある。
港から近道を通っていこうとしたら、前方を歩いている人影が。
どうやら背格好からすると、若い女性のようだ。
もしかしたら昨夜話した人だろうか。
変なことを言ってしまったが、もしそうなら一言挨拶だけして、離れたほうがいいな……と追い抜きつつ横顔を確認しようとしたら、ものすごく顔を伏せていた。
それで彼女だと理解した。
「あら、偶然ですね。一緒に回りましょう」などという浅見光彦的な展開を夢想していなかったと言えば、嘘になる。
ただ、そんなわけないじゃんと、いい大人なんだから、考えるでしょう。
正直に言おう。
顔なんて覚えていなかった。
風呂上りのすっぴんと会話したので、化粧してたらまったくわかりません。
気づかないフリして追い抜きつつ、どっぷりと落ち込む。
もしあれが彼女だったとしたら、警戒されているし、かえって迷惑をかけてしまった。
なんか森見登美彦の小説にこういうエピソードあったなあ、と苦笑。
※
↑の法則を忘れていたぜ。
反省しつつ和菓子屋へ。
そこで土産物として出荷していない、地元の人向けの和菓子を買う。
これが本当のお土産ではないか。
目的を果たして港に向かうことにするが、土産物屋や、海岸の散策ルートなどは、実に狭いエリアにあり、何度も彼女とニアミスになりそうになる。
ここで度胸があれば、いっそ付きまとってしまうのも手かもしれないが、妙に紳士なので、フェリー乗り場の2階に隠れ時間を潰す。
高速船も、彼女らしき人物と時間帯をずらして乗船する。
ただ、あまり気にしすぎてもバカらしいので、鹿児島からは自由に行動。
遅い昼食に鹿児島ラーメンを食べてから飛行機に乗るのだ。
リムジンバス乗り場に一番近い「ガルフ」というラーメン屋を選んだのだが、これがどうもイメージと違う。
なんというか鹿児島ラーメンを標榜しているが、天下一品みたいなラーメンだった。
以前鹿児島来たとき偶然入った店は、やさしい風味の野菜とんこつで絶品だったのだが……
ともかく汗だくで満腹になったので、リムジンバス乗り場へ。
もうこのあたりで二日酔は吹き飛んでいいはずなのだが、頭痛は続く。
このときは気づかなかったが、どうやらすでに風邪をひいていたようだ。
飛行機は17時25分発なので、かなりの余裕がある。
時間をもてあましたが、空港でもお土産を買ったり本屋に寄ったりして、待ちわびた搭乗。
無事帰還した。
帰り道、ipodから流れるのはe.s.t.「Tuesday Wonderland」。
――旅を終えて。
大株歩道に入ると、屋久杉がたくさん見られる。
有名なのは大王杉、夫婦杉、メデューサ杉……
そして……倒れてしまった翁杉。
研究のため、痕がそのままにされている。
私が仕事の都合をつけ屋久島を訪れたのも、この倒木が理由のひとつだった。
「いつか」「そのうち」と思っていると、すべて消えてしまうのではないか。
そんな恐怖があったからだ。
縄文杉のデッキで男子学生2人組が、無邪気に杉を見上げ話していた。
「でけーなあ」
「絶対倒れそうもないよな~」
なぜかその言葉が心に残った。
私は、変わらないものがまだこの世には残っていることを確かめに、屋久島まで行ったのかもしれない。