さゆりのひとり言-多発性骨髄腫と共に-

多発性骨髄腫歴20年/'08年4月臍帯血移植/「病気は個性」時にコケながらも前向きに/はまっこ代表/看護師/NPO所属

ピロリ菌の話

2005年06月21日 23時02分11秒 | ナースのお仕事
近年話題沸騰中のピロリ菌。
分かるようで分からない、謎が多いと思いませんか?
実際、医療の世界でもはっきり分かっていないことも多くて、世間のほうが騒ぎすぎていて困っていることもあるようなんです。
先日、消化器内科の専門の先生が教えてくれました。
ちょっと忘れてしまったところもありますが、情報の一つになれば・・・。

人間ドックに来る受診者の方にも「ピロリ菌の検査は出来ないんですか?」って聞かれることもあります。ちなみに、うちの病院ではドックで検査はしていません。
それは何故か。
ピロリ菌が見つかったところで、それをどう扱うかの問題が世界的にも解決されていないからです。

まずはっきりしていることは、
1)ピロリ菌は人口の50%くらいの人が持っている(感染している)
2)胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる人のほとんどがピロリ菌に感染している。
わずかながらにピロリ菌に感染していない人が潰瘍になるケースもあるが、その場合、難治性の場合が多い。
3)胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発を予防する効果がある
ピロリ菌を除菌した群と除菌していない群とで比較すると、どこかの大きな地震があった地域(つまり大きなストレスがかかった状態)で明らかに再発の有無に優位差が見られた。
確か、未除菌の場合の再発率は60%、除菌済みの場合は10%くらいだったかな。
4)つまり、ストレスで潰瘍になるというのも明らかになった。

ということは、人口の50%がピロリ菌に感染しているが、そのうち潰瘍になる人は5%ほど。
再発を予防する効果は明らかにあるので、保険適応になってもいる。
が、無症状の保菌者を明らかにしたところで、そのまま放置するのか、積極的に除菌するのかの方向性が示されていない。
除菌はやはりお金がかかること。保菌者全員に保険で除菌するとなると・・・
計算したところ何兆円ものお金がかかる。
それを国で負担するのか?
まあ、そんなことが明らかになっていないので、健康診断や人間ドックではピロリ菌の検査をしていないところのほうが多いのです。

それから、ピロリ菌が胃がんの原因となるか否かの問題についても、今の段階では明らかにされていません。
中国で行われた調査では明らかな優位差は無い、とされたようです。

まあ、何の答えというか情報にもなっていないかもしれませんが、
今のところ、「何で人間ドックでピロリ菌の検査をしないのか」
については、見つかったところでどう処理するのかの方向性が見出されていないからです。
というところでしょうか。
もちろん、繰り返しになりますが、潰瘍の再発予防の効果は充分にあるようです。
なので、一度潰瘍になった人が除菌することには大きな意味があるということ。
それから、とにもかくにもストレスは大きな誘引になること。

日々の生活の中で出来ることは、
やはり、何においてもストレスのない、ストレスをためない生活を送ることなのかもしれませんね。

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