さゆりのひとり言-多発性骨髄腫と共に-

多発性骨髄腫歴20年/'08年4月臍帯血移植/「病気は個性」時にコケながらも前向きに/はまっこ代表/看護師/NPO所属

人生の醍醐味をふと考える

2007年06月26日 23時05分24秒 | MM闘病記
最近、また体重が減っている。
やつれている減り方ではないから、結構パッと見は理想的な減量、っていうところ。
学生時代の、通過点でしかなかった体重。
ある意味、初めてのダイエット成功!?みたいな。。。
それもこれも、モルヒネによる食欲低下のなせる業。
人生初の食べられない状況、
最近、そんな自分に酔いしれているのかもしれない、
と思ってみたりもする。

最近、肝炎で20kgくらい減量した先輩が、
リバウンド気味で体重増加中。
私としては、大きな身体で包み込んでくれるような雰囲気のあった、
以前の先輩が好きだった。
なので、
あからさまにリバウンドを期待していたのだが(汗)
そんな先輩が
「ダメだね~夜中に食べたくなっちゃうのが止まらなくってさ~
目が覚めると、食べないと寝られないんじゃないかと思っちゃうんだよね~」
なんて話す。
ちょっとうれしいのだが、
一応、健康管理センターと名のつく所のボスなので、
体重コントロールは必至なのだ。

で、
「なんかさ、インターフェロン使ったら、また痩せられるんじゃないかと思っちゃうんだよね~」
と。
肝炎の治療で使っていた薬の副作用で、体重が減ったのだった。

勿論、なりたくてなったわけでもなく、
楽しい治療ではなかったのも当然のこと。
しかし、ふと、そんなことを考えてしまう心理。
わからなくもない、と思ってしまう。

そんな話をすると思い出す、
まだ、ナースになって3年目の時に出会った患者さんがいる。
その患者、Tさんは、いわゆるがんの末期の状態だった。
しかし、急激に悪くなっていく状況でもなく、
緩やかに、悪化していた。
入院も長くなり、
家族の面会も減り、
当然、Tさんにとっては、変化の少ない単調な日々になりつつあった。

そんな折、
Tさんが声かけに余り反応を示さなくなってきた。
聞こえていないのかなあ。。。
転移性のもので聞こえなくなっていたりするのかなあ。。。
ナースのさまざまな試行錯誤と共に、耳鼻科や神経内科などの専門的な立場からの検査なども進められていった。
そして、出された結論。

「Tさんの聴力は全く問題ありません。
ただ、聞こうとしていないだけです。」

Tさんはちゃんと聞こえていた。
しかし、聞きたくない、という気持ちや思いから聞こえていても聞こえない、という状況を招いていた。
あえて知らん振りしているのではない。
もう、完全に聞こえていないのだ。
本当は聞こえていても。

そう、Tさんは心を閉ざしてしまったのだ。
だから、もう、何も聞こえない。
全ての音や声が聞こえてはいるのに、
Tさんにとっては全てがBGMのように流れているだけの音。。。

当時看ていたナース一同、担当医はその結論に愕然とした。

Tさんは、どれほどの苦悩を抱えていたのだろうか、と。

しかし、今、見方を変えて思うのは、
Tさんは、自分自身を守るために聞こえなくなった、ということ。

「聞こえない」というのは、一般的には病的なこと。
しかし、Tさんにとって「聞こえない」状況は、自分の身を守るために、
自らが選択した事。
それが、Tさん自身でも「なんで聞こえないんだ!」と思っているとしても。

勿論、なりたくて病気になる人なんて一人もいないし、
選択して病気になる人だって聞いたことがない。
でも、だからこそ、この経験から学ぶことがたくさんあるんだろうと思う。
本人も含めて、今の世の中の価値観!?からしたら「病気」であっても、
それは、自らの身を守るために、自らが導いた状態、だから。

だから、病気になることで気付くことがたくさんあるんだろうと思う。
もちろんそれは、病気に限ったことではなく、さまざまな人生の失敗、成功、といった経験するすべてのことから。

ん~当たり前のことなんだけどね。

当たり前のことで、繰り返し繰り返し思うことなんだけど、
全ての経験がとても貴重なもので、
そこから考えたり学んだりすることって、
それこそが、人生の醍醐味なんだろうな~って思う。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>まり猫さんへ (さゆり)
2007-07-01 13:44:29
裏路地をうろうろ・・・
なんだか、ほのぼのしますね。
いいな~そういうの!
人生所詮、ないものねだり・・・
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Unknown (まり猫)
2007-06-26 23:16:46
三十路の若者がそんな風に人生を捉える事ができるってすごい!
還暦近い老猫はまだまだ路地裏をうろうろしています。
なんか良い事ないか?子猫ちゃん、ってね。
好奇心満載で歩きつづけましょう。
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