KEVINサイトウの一日一楽 

人生はタフだけれど、一日に一回ぐらい楽しみはある。

オーケストラ・アンサンブル金沢(その2)情熱のスペイン人のこと

2005年10月13日 | Music,Movie & TV
 カルメン組曲が始まると、その情熱に皮膚が粟立つ。
 エキゾチックな旋律に、未だ行った事のないスペインの情景が目に浮かぶ。

 カルメンを聞き、スペインに想いを寄せるうちに、僕の思考は変な方向に彷徨っていった。

 先日の中国、東南アジア出張の帰りに、飛行機のVIDEOで世界のアスリートを特集するシリーズをやっていた。
 
 今回のハイライトは、スペインの産んだ英雄、天才ゴルファー”セべリアーノ・バレステロス”であった。

 ゴルフといえば、今やタイガー・ウッズだが、僕のアイドルはセベだった。今でも、僕の記憶の中で彼のゴルフはもっともファンタスティックだ。

 スペイン人らしい精悍でハンサムな顔。ピンを狙って燃え上がるように光る攻撃的な瞳は、美しく若き闘牛士が猛牛の眉間を一撃で突く瞬間に煌めく目の輝きと同じだ。

 バレステロスは、テイー・ショットをかなりひん曲げることが多かった。
 しかし、信じられない悪状況の中で放つセカンドは、見事にピンに絡んでいった。
 22歳のセベは、テイー・ショットを曲げ続けながら、その年マスターズも、全英オープンにも勝ってしまった。まさに”衝撃”のゴルフだった。

 日本に来ても、メジャーの日本オープンで軽く2連勝して、鼻唄を歌うように帰っていった。

 せべは、腰を痛めて一線から消えるまでにマスターズ2勝、全英オープン3勝を挙げている。

 全英オープンにおける2度の死闘は、今も記憶に鮮明に残っている。血祭りにあげられたのは、最初はトム・ワトソン、次はニック・プライスという千両役者達だ。

 ウイニング・パットを決めて、こぶしを何度も振り上げて勝利の雄たけびを上げた姿は、まさしく大物をしとめたマタドールの情熱が迸っていた。

 「情熱」。これほど、セベのゴルフに似つかわしいものはない。

 タイガー・ウッズを頂点とする今のパワー・ゴルフは確かに凄い。
 しかし、何かロボットのような感じがしないわけではない。色気にすこし欠ける。

 セベも勿論、飛ばし屋だった。振り回すドライバーはフォルテシモのオーケストラの高鳴りであり、信じられないように巧みなアプローチやパットは繊細なるピアニシモの調べだ。

 カルメン組曲を聞きながら、僕はセベのゴルフのことばかり考えていた。

 セベのようにゴルフが出来たなら・・・。

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