勝川駅前開発と宮田屋

　日本に帰ってきた。

　僕の住む春日井市の勝川駅前は、このところ急開発が進んでいる。

　JRの駅は高架に改装され、駅前にはホテル、高層マンションが増え続けていく。



　勝川は、名古屋駅まで20分、千種まで10分。地下鉄で乗り継げば30分で栄に行く。しかも電車は地下鉄に負けないくらいの本数が走っている。

　更に道路も便利で、東名阪のインターまで5分。この東名阪を使えば、東に行くには東名へ、名古屋へ入るには名古屋高速にアクセスすればよく、そしてそのまま東名阪を走れば関西方面、北陸方面に行ける。又、中央高速のインターも10分ほどの距離にあり、長野方面へ行くにも便利だ。

　死んだ養父は、工場といい、自宅といい絶妙の場所をみつける天才だった。
　うちの工場のロケーションは何処も良い。

　そして、親父の家の裏に作った僕の家も、駅まで徒歩で3分の距離だ。

　ともかく、こんな便利な場所が放置されていたことが不思議で、今、ようやく開発が進みつつある。

　開発が始まる前から、駅前通りには、鄙びた商店街があった。いずれの店も儲かっている様子はなく、歯が抜けるように一軒づつ店が閉まり、うら寂しい雰囲気が漂っていた。この開発によって商店街は息を吹き返すのだろうか？

　その中で、僕が20年近く贔屓にしている店がある。
「宮田屋」といううどん屋さんだ。
　
　開発のあおりで１年以上別の場所に仮設の店を出して営業を続けていたが、この度、商店街に戻ってきた。

　祝開店、そしてお祝いの胡蝶蘭の鉢などが置いてあるのが、昔を知る僕には「似合わねー」と毒づきたくなるが、味は変わりないのでホッとした。

　僕はここへ、週に一回、「ビッグ・コミック・オリジナル」を読むために、否、美味しいざる蕎麦、味噌煮込み、カレーうどん（この三品がお勧め）を食するためにこの店に行く。

　ちなみに蕎麦の時は熱燗、それ以外はビールを一本だけ頼み、ちびちびと飲みながらコミックを読み、蕎麦やうどんを待つ。

　読むのは、後ろのページから。「風の大地」「はぐれ雲」「あぶさん」この三つは外せない。最近はバイオリニストが主役の「ハレルヤ」というのも面白い。