高温多湿の亜熱帯気候の地域ではスパイシーな辛いものを好む
傾向があるが、沖縄には辛い食べ物があまり見当たらない。
しいていうなら食堂のテーブルおかれている「クース」くらいなもの。
オバァの家の庭にもクースがなっていた。
鳥が運んでくるそうだ。
種子を食べた鳥の身体を通らないと発芽しないといわれている。
クースとは唐辛子のことで文字通り「唐」から来た「辛子」のこと。
高麗胡椒ともいう。豊臣秀吉の時代、朝鮮出兵のさい、種子を
持ち帰ったといわれている。
もう一つは南からのルート説。
方言名は「コーレーグース」。高麗胡椒に由来する。
古い文献には薩摩から伝わったと書かれてある。
九州の名産品の「柚子胡椒」は柚子の皮と塩、そして唐辛子から
作られている。胡椒は入っていないのに「胡椒」という表記があるのは
「辛子」の意味。辛み成分はカプサイシンで殺菌作用、
身体を温め血液の循環をよくする働きがある。
食欲不振の改善効果もある。唐辛子を泡盛に漬けたコーレーグースは
沖縄ソバの薬味には欠かせない。
ソバだけではなく味噌汁やチャンプルーに添えることがある。
刺身にもクースがよく使われる。天日に干した唐辛子を泡盛に
漬けるだけなので、沖縄の家庭には自家製を問わず、
必ず一本、一瓶は置いてある。